クリスマス女子会
「24日って何か用事ある?」
クリスマスが近付いたある日の夜、私は彼にそうメールした。
「俺、予定もないのに有休とってやったぜ。」
外山くんからそんな変な文面が返ってきた。
(これは…チャンス?)
「え、本当?私もなんだよね。良かったら一緒に過ごさない?」
このメールを送った時、なぜかドキドキした。
なんで好きでもない相手にドキドキしていたのかは分からないが、とにかくドキドキした。
「いいよ」
そんな素っ気ない返事が返ってきた時、私はさらにドキドキしていた。
◆◆◆◆◆◆
「ってわけで、私は今年、ついにクリスマスは一人で過ごしませーん」
12月23日は、地元の友達と毎年恒例のクリスマスパーティー。
酔っぱらった勢いなのか、女子会だからなのか。
私はハイテンションでそう宣言した。
「マジで!?悠莉もついに彼氏出来たの?!」
中学からの付き合いである美紅も富美も、私の恋愛事情を全て把握している。
…もちろん秋とのことも。
「や、彼氏ではないです」
冷静にそう否定すると、美紅と富美が興味深げに前のめりに聞いてくる。
「なにそれ。でも、有力候補でしょ?」
「つうか付き合ってないのにクリスマス過ごすとか、脈ありに決まってるから」
脈あり?
いや、まさか。
「・・・それもない。」
「「え、ないの?」」
私が首を振ると、二人の声が綺麗に揃った。
「そんな驚かなくても…」
「いやいや、驚くだろ普通!」
「なにそいつ、彼女いるとか?」
「利用されてるだけってこと?」
「うーん、お互い様?…みたいな?」
へらっと笑って誤魔化そうとしたら、二人は呆れ顔になった。ちなみに二人とも、彼氏がいます。美紅なんて、彼氏が二人います。
「あんたさぁ…」
「秋くんのこと、まだ引きずってるの?」
富美が言いにくそうにため息をついて言葉を切ったその隣で、美紅がハッキリと言った。
その言葉に、心がぎゅっと締め付けられる。
「・・・・その話、やめてよ」
声が小さく、低くなる。
秋のことを、思い出させないで。
植え付けられた、私のトラウマ。
私の心の膿。
触れられるとまだジュクジュクで。
まだ何も治っていない。
――――弱くてもろい、心の膿。
(見ないように…してたのに…)
「もうさ。その人と、付き合えばいいのに」
富美の言葉に、私の心はトクンと動いた。
(――――本当にね…)
外山くんとなら、うまくやれると思う。
私は彼に、何も期待してないから。
お互いに、好きじゃないから。




