不倫がいい
「いやー、よく襲われなかったね」
「てか女だと思われてないんじゃん」
週末明けの月曜のランチタイムは、いつもの、食堂で恋話タイムである。
友子と栄子に、外山くんに抱き締められて徹夜した話をしたらかなり面白がられた。
「・・・・」
しかも、私達の間にはそれ以上何にもなかったと言ったら、二人が笑った。
それがなぜか、面白くなくてムッとしてしまう。
「悠莉さ、そろそろちゃんと好きな人探すべきだよ?」
「そうそう。時間だけが過ぎてくわよ」
さんざん笑った後に、二人からそんなありがたいようで、毎回同じな、アドバイスをいただいた。
「だったら私、不倫がいい」
「ブホッ」
友子が飲んでいたお茶を吹き出した。…汚いなぁ。
「バカじゃないの、そんなん良いこと何もないじゃん!!」
栄子が友子に台布巾を渡しながらそう非難する。
「だって不倫なら相手は私のことは絶対好きにならないわけだし、私もそれなら相手のことずっと好きでいられるかもしれないじゃない?」
最初から裏切られていれば、なんの期待もしなくて済むし、本命がいれば好きになられる心配もない。
うん、一石二鳥だ。
「あー…ダメだこりゃ」
頭を抱えて、栄子がため息をついた。
「何よー」
「悠莉、考え方から改めな」
友子も、真顔でそう言うから、私はそれ以上口にするのはやめた。
(いい案だと思ったのになぁ…。)
―――そんな私は、おかしいのだろうか?




