付き合うことになったけど
「良いなぁ笑里と悠莉は―」
“ただの遊び”から、まさかの彼氏持ちになってしまった私と笑里に、「覚えてない」と言われた、原島柚希が言う。
この“遊び”を言い出した柚希は、悲惨な結末にへこんでいた。
「と、言われても私は笑里みたく携帯電話も持っていないし…。付き合ってるといってもまだ会ってないよ?」
当時はまだ携帯電話を持っている中学生はあまりいなくて、
一人っ子のお嬢様である倉谷笑里と違って、私は携帯電話を持っていなかった。
「私は昨日さっそく会ったよ」
笑里が言いながら、携帯電話を見せてくれた。
「わ…プリクラ?すごい!!」
羨ましそうに柚希が言う。
(え…難易度高過ぎる…――――)
まだ小学校時代にケンカばかりしてた秋と、二年ぶりに会ってすぐプリクラなんて…私には絶対無理だ。
(だいたいどんな顔して再会すれば言い訳?)
というか、あっちもオッケーしたけど私のこと二年も会ってないのに…今の私見て幻滅しないかな…ーーー。
笑里はもともと美人で、少しギャルっぽい。
男ウケするのは、一目瞭然だ。
だけど私は…ーーーー。
「ね、悠莉も彼氏に会いなよ!」
柚希が言う。
「え!無理!」
(まだ心の準備が…ーーーー。)
「じゃあさ、私付き合ってあげる!彼の友達も誘って四人で遊べばいいじゃん!」
柚希がイキイキとした目で、私を見る。
(あ、誰か紹介しろってことね…ーーーー)
そう察した私は、頷くしかなかった。