私が悪い
それから二週間、彼とは会わずに過ごしていたが、
私はその日、会社帰りに彼を呼び出していた。
そこは、初めて行くイタリアンレストランだった。
私は二度と、この店に来ることは無いだろうなと思いながら案内された席に座る。
「それで、悠莉…。話ってなに?」
東吾が向かいに座ってすぐにそう訊ねた。
「まずは注文を…してからにしない?」
私がそういうと、彼は黙ってメニュー表を手に取り視線を落とす。
(言わないと…―ー―)
注文を終えると、東吾がこちらを向いた。
さぁどうぞと言わんばかりに。
後にすればするほど、私の心に重りが加算されていく。
(言わないと…―ー―)
「―――ごめん。別れたい」
声が…震えた。
そう告げてから、チラッと視線をあげて彼の顔を見た。
彼は、涙目で…絶句していた。
「ごめんなさい…」
私はもう一度謝って、頭を下げた。
「どうして?まだ1ヶ月しか付き合ってないし…。俺何かした?悪いところあるなら直すから…」
納得いかないよ、と言う東吾に私は言った。
「東吾は何も悪くない。―――私が悪いの。」
(人を好きになれないくせに、軽はずみに付き合おうとした私が悪い…)
「だから…ごめん。」
(私と付き合ったがために、不必要に傷付けて…。)
「………悠莉に、もう気持ちがないのなら…引き留めても意味がないわけだ…」
東吾は涙目でそう呟いた。
罪悪感でいっぱいになったところに、注文したパスタとピザが運ばれてきた。
彼との最後の晩餐も、やはり美味しくなかった。




