ディナーのあとに気づくこと
(胃、胃が痛い…)
ハンバーグレストランを出て車に乗り込んだものの、さっきから胃が痛い。
(というか、胸が…気持ち悪い。)
「悠莉?大丈夫…?」
運転をしている東吾が、赤信号で停まった時に私の方を向いて心配そうな表情をする。
「あ、うん。なんか、仕事忙しかったから疲れがたまってるのかも…」
私は笑顔でそう答えながら、“だからもう帰りたいオーラ”を出す。
「家まで…送るよ」
彼はそう言って、また運転するために前を向いた。
「ありがとう…」
(早く帰って、一人になりたい!)
アパートの前に車を停めて、彼がシートベルトをはずした。
(え、わざわざ降りるの?)
「あ、じゃあここで…。ありがとう」
車を降りた私は作り笑いで、東吾に手を振る。
次の瞬間、車から降りてきた彼が私に近付こうとした。
(あ…)
私は同時に後ずさった。それは、自分でも驚くほど…反射的なものだった。
「じゃあ…また」
一瞬彼は傷付いた表情をしたが、笑顔で手を振り車へと乗り込んだ。
私は彼を見送ることもなくすぐに自分の家へと入る。
(――――…どうしよう…)
ドアを閉めて、扉にもたれかかる。
心がぎゅっと苦しくなった。
(彼は何も悪くない。――――悪いのは、私…)
彼の熱のある瞳を見た時、キスされると思った。
そしたら勝手に、逃げ出してた。
(こんなこと続けて…何の意味がある?)
男の人に好かれると、その気持ちを信じることが怖くて…その人のことのことが嫌いになる。
(こんな…根本的な所が解決しないのに。)
悔しくて悲しくて…涙が止まらなくなる。
「うぅ…っ」
しゃがみこんで、嗚咽が漏れる。
(私は…ずっと…秋のせいで男の人の気持ちが信じられないままだ。)




