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ディナーデート
初デートから数日後、仕事帰りに一緒に食事に行くことになった。
「どこにしようか?」
彼氏である東吾から、そんなメールが届いた。
(え、また私がお店決めるの?)
一瞬うんざりしながらも、でもまぁ、どうせ割り勘だし…自分が行きたい店にしようと思い直して返信した。
「○○ハンバーグ店が良いなー」
「じゃあ、そこにしよう」
案の定、彼からの返事は同意のものだった。
その日の夜、会社の近くで待ち合わせて、彼の車に乗り、お店に着き、並ぶ。
そして、目の前に…大好きなハンバーグののった鉄板が置かれた。
それをナイフで一口サイズにして、口へと運ぶ。
(おかしいー―――…)
大好きなハンバーグ屋さんで、いつものハンバーグを頼んだはずなのに…。
(美味しくない…いや、美味しいんだけど…)
一緒に来る人がダメだとここまで味が変わるのかと、妙なことに感心しながらナイフを動かす。
「あの…さ。」
東吾が口を開く。
「はい?」
「何か、怒ってる?」
「え…、ううん。怒ってないよ?」
ギクリとした。私は作り笑いでそう答える。
(怒ってない…ただ、冷めてるだけ…)
どうしてダメなんだろう。
ダメだと思ってしまうんだろう。
自分の拗れてしまう心に…―――うんざりする。
(私って…誰も好きになれないんじゃないかな…)




