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彼氏という存在
「悠莉に、“彼氏”?」
「はぁ?―――BくんとCくんは?」
想定内の反応が返ってきた。
突然の彼氏ができた発言に、友子も栄子も信じられないという表情で私を見ている。
「…よくわからない」
「なにそれ」
栄子が呆れた声を出す。でも、よくわからないんだからしょうがない。
私だって、どうしてこうなったのかよくわかってないのだから。
「で、彼氏はどこの誰よ?」
会社の食堂でのいつもの恋ばなに、栄子が身を乗り出す。
「新キャラ?」
「藤田東吾くん、うちの取引先の会社員。で、同い年。」
私は小声で、彼のことを話す。
「へぇ、じゃあなかなかな物件じゃない。」
「顔は?」
栄子と友子の質問は止まらない。
「普通、かな」
私はそう答えながらも、“彼氏”という久しぶりの存在にドキドキしていた。
私に、“彼氏”ができた。
妄想でもなく、現実に、私と付き合ってもいいと思ってくれる人がいる。
例えそれが、まだ何も知らない人でも、
浮いた話が何もなかった私には嬉しいことだった。
嬉しいだなんて…そう思えた自分に、やっと秋を忘れて新たな恋に踏み出せたのだと、私は嬉しかった。




