爽やかイケメンAくん
合コンで知り合って仲良くなった“爽やかなイケメンAくん”こと、長浜匠くんは、建築士を目指すデザイン学校の非常勤講師。
同い年なのに、夢にまっすぐな彼に私は惹かれていた。
「そういえばこの間、隠れ家的な居酒屋見つけたから今からそこ行かない?」
会社帰りに一緒に映画を観た後、匠くんが言った。
「へぇ、行ってみたーい」
私が嬉しそうに言うと、匠くんが微笑んだ。
「じゃあ行こっか」
匠くんは多分、私のことが好きだと思う。
知り合って半年、何度か二人で一緒に映画を観たり、居酒屋で飲んだりしている。
二人でも緊張しないのは、私の根底に“男は信用できない”というトラウマがあるからだと思う。
だからこそ、匠くんとは疑似恋愛みたいで気楽で楽しかった。
カウンターしかない小さな居酒屋に、匠くんと隣り合わせで座った。
「俺のオススメはこれ、トマチーフライ」
メニューを見せながら、匠くんが言う。
「え、それって何?」
私が首をかしげると、
「トマトとチーズを挟んで揚げたやつ」
と、匠くんが言った。
「え、私トマトとチーズも苦手なんだけど」
私が店の人に聞こえないように小声で言うと、
「知ってる」
匠くんが悪戯に笑った。
「でもさ、トマトとチーズが苦手だからって、食べずに終わるなんて勿体ないよ?騙されたと思って、食べてみて?」
匠くんがあまりに爽やかに言うから…、私はおそるおそるそれを食べてみることにした。
「お…美味しい…」
一口食べて、私は驚いてしまった。
(これ、本当にトマトとチーズ?)
「ね、美味しいでしょ?」
匠くんが笑顔で私を見つめる。
(騙されるな…これは罠だ…ーーーー)
帰り際、酔っぱらってふらつく私に、匠くんが言った。
「あのお店、俺たちの行きつけにしようよ」




