第21章 1mと紅蓮の指輪⑤
姫の顔が真っ赤に染まった。さっき見た指輪と良い勝負だ。
「日付が変わる頃、教会の裏口で待ってます!」
面会時間の終了は近づいている。早く打ち合わせをしなくては。
「ははははは、はい」
姫は真っ赤な顔で頷いた。
日付が変わる頃、俺と姫は城下町を全力疾走していた。何故なら。
「何でバレてるんだァァァァァァァァアァァアァァァッァァッ!」
番兵に追われているからだ。
向こうは鎧があるから足は遅い。だが、いかんせん数が多い。
「コレを!」
姫は叫び、巾着の中の物を一つ投げた。
走りながらソレを掴んだ。
それは指輪だった。真紅よりも紅い色をした、透明感のある指輪。
「このままだと追いつかれます! せめて、それを持って逃げて下さい!」
姫の顔色は明らかに悪かった。当然だ。
姫なんて立場の人間は、全力疾走に慣れているはず無いのだから。
俺は指輪を左手の薬指にした。
「それはいつか、貴方の願いを吸収して、貴方を助けるはずです!」
「で、でも!」
「私は処刑される心配がありませんが、貴方にはあります!」
それもそうだ。国が俺を殺さない選択をする意味が無い。
「その指輪の力で、逃げ切って下さい!」
「……」
この指輪は、所有者の願いを吸収して力に変える。なら。俺は。俺は……ッ!
「どんなに遠く離れても、少しずつでも、必ず再び会いに行きます!」
「え……?」
姫が言葉を失ったその瞬間、二人の指輪が、強く、紅く輝いた。
その時、一瞬、見た事の無い図形が、目の前に現れた気がした。
十個の実を付けた樹、とでも言えば良いのだろうか。そんな図形が、一瞬、目の前に。




