第10章 1mと焼肉パーティ④
「ありがとうございましたー」
俺達六人は焼肉屋を後にした。支払いは割り勘。
俺達は全然食べてないのに、序盤の二人の戦いの時の大量注文が響き、一人当たりの金額が大変な事になっていた。
「しばらく、漫画が買えなさそうだなー」
と、工口が漏らした。全くだ。
「あー。疲れたー」
光野が腕を後ろで組みながら感想を口にした。
「確かに。どっかの二人のせいで無駄に疲れたなー」
工口は感想に文句を混ぜている。
まさか工口が皮肉を言える様になるとは。
人って成長する生き物なんだな。
「わ、悪かったよぉ」
「弱肉強食。私は別に……」
謝る朝菱と謝らない蓮宮。
「………………蓮宮」
「……ご、ごめん」
だがその蓮宮も、冷たい声と冷たい目の白天寺には敵わないらしい。
何で白天寺をそこまで恐れるのやら。
「で、工口さぁ」
「何だ?」
俺は一つ、工口に確認しておきたい事があった。
「こんなんだったが、今日の合コン、楽しかったのか?」
今日は色々あった。良い意味でも悪い意味でも。
それを工口はどう思っているのか。
「ま、楽しかったぜ」
工口は笑いながら言った。
「あっそ」
「……ねぇ、紅空。一つ聞きたいんだけど」
俺が工口から視線を逸らすと同に、蓮宮が控え目に聞いてきた。
「何だ?」
もしかして、あの事か?
「なんで一枚、譲ってくれたの?」
ビンゴだ。
今日、俺は肉を五枚食べた。
最後の二枚を巡る戦いまでに、俺は四枚の肉を取っていた。
そして、最後の蓮宮との戦いで。
俺は蓮宮よりも早く肉に手が届いた。なので、俺は肉を二枚取る事が出来た。
だが、俺が取った肉の枚数は、一。
網には一枚の肉が残った。
「え……?」
俺は蓮宮の疑問の声に答えなかった。
肉を頬張っている時に喋るのは良くないしね。
「紅空?」
「翔?」
「………………紅空?」
最後の一枚。それは蓮宮の胃に入った。
「どうして?」
もう一回尋ねられた。
「そりゃ、簡単だろ」
俺はそこで一息入れてから、こう言った。
「合コンは楽しむ物だから、だ」
こうして、俺の人生初めての合コンは終わった。
「……楽しむ物、ね」
結論を言おう。
俺の人生初めての合コンは楽しかった。




