第七話 攻略
エアコンです。最近読んでくれる方が増えているようです。
嬉しいばかりです。
「弱いなぁ」
「そうですね」
俺は一瞬で倒せる敵たちにウンザリしていた。
その上今のところランタンバットしか出て来ていない。いっその事ランタンバットを脅してランタン代わりに使っても良いくらいだ。
爽快なのは良いが、どうにも緊張感が足りない。
「これはさっさとダンジョン攻略して宝をかっぱらうか」
俺たちはまた歩き出す。
ん? これは水が滴る音では無いな。べちゃべちゃ音がする。
これはまさかあの有名な……
「スライムが居ますね」
「言いたかったのに!」
リンは「?」という顔をしたがそれを忘れるべくスライムを斬る。
背後に回らなくても大丈夫だな。
スライムの液体が飛び散り、ドロドロと流れる。
気のせいかも知れないが、片手剣が赤く光っている。
血か? でもスライムもランタンバットも血は飛び散らなかったな。
「リン、この剣……赤くないか?」
「もうですか。それが“バースト”ですよ。敵を斬っていると剣が光り出し、一時的に攻撃力が2倍になります。恐らくその色の濃さだと次の戦闘でMAXみたいです」
「今いるのは地下1Fだから、ラストフロアは何Fかな?」
「初心者ダンジョンですし、3F位かと」
「よし。突っ走るぞ!」
俺は急に思いっきり走り出した。最後がどうなっているか知りたかったかもしれないし、弱い敵に痺れを切らしたのかもしれない。
探し始めてからすぐに階段を見つける。
地下2Fも同じ様な造りで相変わらず敵が少ない。
というか今のところいない。
「あっ、地下3Fにボスの反応アリです!」
「どうせクズだろ」
「そうかもしれませんが」
しばらく歩いても敵は出現しなかった。
「敵、いないねぇ」
「あっレベルが一定を超えるとモンスターが襲って来る確立が激減するそうですよ」
「それすごい大事な事だったんじゃ……」
そうか。モンスターにも“戦いたい相手”と“戦いたくない相手”がいるのか。
おや? もう階段か。強さはとにかく雑魚よりは緊張する。
しかも階段の下から明かりが見える。
今までより明るいフロアか。
そう思って中へ入るとやはり遠くに何かがいる。
ボスか。
「あれなんだ?」
「どうやらスライムですね」
洞窟とはいっても明るいので段々ボスの全貌が明らかになって来た。
「でっデカイな……」
とても大きなスライムだ。
しかし優雅にスライムを観察するのはもう難しそうだ。俺たちに気付いたか……
巨大スライムは襲って来るが、避けるのはさほど難しくない。
素早く後ろへ回り、剣を刺す。
「何!?」
「どうしました?」
「こいつ剣が刺さらない!」
「調べてみます!」
恐らくこのスライム、光沢からしてかなり身体がヌルヌルしているようだ。
剣が刺さらないとなると、片手剣では詰みか……
そんな事を考えながらひたすらに避けた。
「ご主人様! このモンスターはクイーンスライム。身体に張ってある粘着質の液体で剣での攻撃が当らないようです」
「勝機は無いのか?」
「いつかスライムを飛ばして来る攻撃をするはずです。その時にスライムをタイミング良く斬ってバーストを発動させましょう」
そうか。と思う。
しかしクイーンスライムは一向にスライム飛ばしをして来ない。
そろそろ疲れて来た。決着を着けねば。
……もしかするとクイーンスライムから離れたら攻撃を行うかもしれない!
俺はクイーンスライムに背を向けて走り、距離を取る。
敵も負けじと向って来るが、追いつかない。
そしてクイーンスライムはスライムを飛ばして来た。
……チャンスだ!
俺は飛んで来たスライムを次々に切り裂く。
そして……
ボワっと剣が赤く染まる。
バーストだ!
俺はクイーンスライムに向って走り、すれ違い様に身体を裂く。
途端に液体が流れ出した。
勝利だ!
【ダンジョンを攻略しました。アイテムをメニュー画面から受け取って下さい】
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