第二話 チュートリアル
「チュートリアルを受けますか?」
「だから早く言ってくれ!」
「ではまず、ご主人様のかけていらっしゃるメガネです」
「ああ、これな」
「それはこれから先の最重要アイテムです。“グラス”といいます」
「そのまんまじゃん!」
「いいえ。それはご主人様のレベルと連動しており、グレードアップしていくのです」
「レベルってこの世界は何なの?」
「ゲームの世界ですよ。これは賞金付きの今や最大級のVRMMOですよ」
聞いた事がある。最近仕事を休んでまでそんな世界にのめり込む大人なんかが増えているらしい。
登録とかが簡単な上にチャットなどはもちろん、出入りも簡単らしい。
その上賞金付きだから一獲千金も十分に有り得る。
……あれ……賞金!? これは賞金を頂かずして何をするってんだ!
「で、どうすれば賞金を貰えるんだ?」
「簡単ですよ。ラスボスを倒すんです」
「よし! 早速……」
「しかし! 一つ問題が発生したのです。大変申し上げにくいのですが……ログアウトは難しそうです」
「!?」
思考回路が止まった。時々そういうフィクションのファンタジーとかあるけど……
ログアウトが出来ない→この世界で生きて行く
無理無理!
「いえ、ログアウト出来るんですが……バグで1000000金貨必要になりました。これはこのゲームの賞金総額に当たります。ログアウトにはベッドで寝る……」
「もういい。どうせ出来ないんだろログアウト」
「はい……しかしですね! ご主人様の能力もバグったんですよ」
「と、言うと?」
「もうさっさと冒険始めましょう! 分からない事は後でどんどん説明しますからっ」
「あんた、適当過ぎんだろ!」
「適当でもなんでもご主人様のリンですっ。ご主人様だけの物なんで、リンはご主人様にしか見えないんです」
「俺にしか見えないと」
そう言いながら何故か照れ臭そうに自分の耳を触る。
ん? ボタンか? 確認もせずに押す。
「あ、ご主人様、今そのボタンを……」
「チュートリアルをシュウリョウします」
アナウンスが流れる。
「終わりですか?」
「まだまだありますが、ご主人様がスキップボタンを押した為……」
「はぁ!?」
チュートリアルは勝手に終わったらしい。全体的に分からないけど、一つ学んだ。
変なボタンは押しちゃいけない!
「おっ?」
チュートリアルは強制的に終わり、今度は聖域が光に包まれる……
「フィールドへ、イドウします」
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