5話『朝の風景』僕たち付き合っています。
やっぱり新作ラッシュは楽しい反面疲れる…
朝、美少女が起こしに来てくれる。
そんなギャルゲーや小説みたいな男なら誰でも一度は願うような夢を僕、小野町仁は体験していた。
「早く起きなさい」
パシュッ!!
「ウオワッ!?」
僕の朝は赤沙汰朱の銃撃から始まる……。
「……はぁ」
「何よ、溜め息なんてついて」
「銃撃されて起こされるなんて非日常を望んだ覚えは無いんですが?」
ちなみに登校中の会話だ。
「私は貴方を監視又は殺害するように言われたのよ」
えーと?
例の赤沙汰が所属している『反夜遊同盟』って所からなのかな?
「あぁ…殺害できないから監視する方向にシフトチェンジしたと」
「そう」
「できれば、銃撃だけでもやめてくれませんか?」
「それはいやね、私は貴方を嫌っている。故に四六時中貴方と居たくない。よって隙があれば殺すから、わかった?」
「わかるかぁ!?」
そんな訳で何故か美少女と生活を共にする事になりました。
命の危険が伴っているけど……。
「最悪だぁ…」
「それは私の台詞よ」
どうしてこうなった!?
別に監視するとかは、いい。
僕だって美少女と行動を共にするなんて願っても叶わない事だもん。
でも銃撃されるのはちょっとな…。
そもそも銃撃される原因って、胸をさわってからだろ?
あれは事故であって僕の意思は全く無かった訳で全て場外ホームランかました奴が原因じゃね?
たくっ…誰だよ。
「おう!!仁!!聞いてくれよ、昨日俺練習試合で場外ホームラン出しちまってよ!!」
「お前かぁぁぁ!?」
教室に入ると坊主頭の野球部が自慢げに話し掛けてきた。
「な、なんだよ元気だな」
お前のせいでこっちは射殺されかけたんだよ!!
「そんな事より仁!!ありゃどういう訳だ!?」
クラスのムードメーカーの男子が話に割り込んできた。
おい、そんな事ってこっちは命に関わる問題なんだよ。
「なにがだ?」
「なんでお前があの赤沙汰と一緒に登校して来たんだよ!?」
「………えーと?」
あれ?
なんて説明すればいいんだ?
監視する為?
さすがに信じないだろ……。
説明に困っていると、赤沙汰がこちらを盗み見ている事に気が付いた。
(おい!!助けて!!)
アイコンタクトで助けを求める。
彼女にも面倒が降りかかる問題なんだ、頭良さそうだしベストな助け船を出してくれる筈!!
プイッ。
あ、目そらしやがった!!
………オーケー、オーケー……ならこっちも考えがある。
僕は赤沙汰の肩に手を回しニヒルな笑みを浮かべ宣言した。
「僕たち付き合っています」
「「なぁぁにぃぃいぃぃ!?」」
校庭に響く二人の声。
赤沙汰は顔を顔を真っ赤にし、僕の腰に手を当てた。
おいおい、冗談なのに満更でも無いんだな?
そうだよね?
そうだと言って!
だからその手に持っている物をしまって!!
記憶が正しければそれスタンガンじゃね!?
思っていたけどツッコミに銃器を使うのはどうだと思うよ!?
ここは可愛らしく平手打ちとかしてくれない!!
あ、ちょっ!?
スイッチ押さないで!!
ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁい!!
体に電流が走り意識が薄れる中僕は誓った。
赤沙汰朱に冗談を言うのはやめよう…。
こうして僕、小野町仁と赤沙汰朱は付き合っていると学園中に知れ渡った。
寝ぇむれ寝ぇむれ、可愛い我子、はよ寝なければ、火の鬼怒りて、火だるまだ…。
寝ぇむれ寝ぇむれ、愛する我子、はよ寝なければ、水鬼怒りて、溺れるぞ…。
寝ぇむれ寝ぇむれ、愛しい我子、はよ寝なければ、空鬼怒りて、切り刻む…。
寝ぇむれ寝ぇむれ、恋する我子、はよ寝なければ、地の鬼怒りて、埋められる…。
そして物語がようやく始まった……。
次回から本格的に小野町仁が暴れちゃいます!!
では次回、『子守唄編』で会いましょう!!
御意見、感想、質問等お待ちしています!!むしろ下さい!