表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星からのプレゼント  作者: ハイダウェイ
3/4

3話

ショートストーリーなので 次回で完結です

「あのー・・・さっきフラれたって言ってましたけど・・・デートだったんですか?」

何か話さないと、って考えた末に出た言葉がそれだった。

言ってから、「何でそんな事聞くの?」って自分に突っ込みを入れたくなるぐらい後悔してると笑いながらその男性が答えてくれた。


「いつもの事なんですよー。 時々仕事帰りにここで待ち合わせをするんだけど・・・フラれてばっかり。それより・・・君はよく一人で飲みに来るの?」


「そんな事ないんです・・・ここには一度来たきりだし、普段も飲みに出るなんてほとんど無いから・・・」


「そうなんだ。 じゃあ今日は特別? ボクは良い日に来たってわけだ。何か良いことでもあったの?」


「全然・・・どっちかって言うと逆かな。ちょっと気分転換みたいな感じです・・・よくいらっしゃるんですか? ここには」


「そうだなぁ、週1ぐらいかな・・・ね?マスター」

そう言いながらワイングラスを傾ける姿は、ちょっと大人って感じがした。

オシャレな会話と美味しい料理を食べながら、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。


「じゃあ、明日早いんでこの辺で・・・あっ・・・お名前聞くの忘れてました。ボクは渡辺純也、すぐそこのS商事に勤めてます」


「あっ・・・私は、節子って言います。今日はありがとうございました!とっても楽しかったです・・・」


なんだかスゴく寂しい感じがした。

もちろん、彼女と待ち合わせしてたんだから好きになったりしちゃいけないんだけど、もっと色んな話をしたかった。

彼はどちらかといえば聞き上手なタイプで、自分の事はあまり話さなかったから尚更だったのかもしれない。

私はその後30分程お店に居たけど、ワインを3杯も飲んだせいか、少し頭が痛くなってきて店を後にした。


「ジュンヤさんかぁ・・・素敵な人だったなー。優しそうだし・・・」

湯船に浸かりながら一昨日の会話を思い出していた。

またあのお店に行ったら会えるのかなぁ?・・・でも、彼女と一緒に居たら・・・

そんなどうにもならない事ばかり考えてる自分が少し嫌にる。

私も恋がしたい・・・本気でそんな事を考えていた。


「占いに書いてあったラッキーカラーとか身に着けてみようかなぁ・・・」


翌日、近所の大型スーパーで紫色のグッズを探してみた。


「紫とか・・・全然無いし・・・」

そんな事をブツブツつぶやきながら何気なくCDショップを覗いてみる。

別に欲しいCDがあるわけじゃないけど、雰囲気が好きなので時々入るのだ。

この日の店内にはハードロックの曲が流れていた。

知らないバンドの新譜が出たらしく、キャンペーンをしているみたいだった。

おすすめコーナーをボーっとしながら歩いていると、Purpleの文字が目に入ってきた。


「Purple? 紫じゃん!」

そう思ってジャケットに手をやると、そこには{Deep Purple}と書いてあった。


なんか聞いたことあるような名前だ。しかも紫にディープまでついてる・・・

かなり気になって曲名をじっと見てたら、後ろで聞き覚えのある声がした。


「節子ちゃん、そんなの聴くんだぁ」


「えっ?・・・あっ! ジュンヤさん!」

もう心臓が飛び出すんじゃないかっていうぐらいビックリして、その場に立ち竦んでしまった。


「パープル好きなの? 節子ちゃん」


「はい・・・」

私なんで嘘ついてるんだろ? そう思いながら彼の反応を探っている・・・


「へー・・・年に似合わず渋いの聴くんだねー。ハードロックとか好きなの?今度さー・・・ライブやるんだよね。聴きに来ない? もちろん招待するから!チケット代とか要らないし・・・」


「バンドやってるんですか? 行きたいです!」


彼にライブの日時や場所を聞き、私は夢見心地で家に帰ってきた。


私を誘ってくれるなんて・・・

ひょっとしたら彼女とうまく行ってないのかも?

そうでなければ招待するなんて言わないよね?

そう思う心と、ミュージシャンだから誰にでもそんな事言うんじゃない?という考えが交互に現れ、食事も取れないほどだった。

それでもライブ当日までにロックの事を少しでも知っておきたくて、CDを何枚も買い、youtubeやネットを観ては毎日予習を欠かさなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ