はじまりはじまり〜!
「ここはどこだ?」
「私は誰?」
「今何時⋯⋯?」
「お風呂の温度は39度?」
「カレーは中辛布団は⋯⋯」
「羽毛?」
ざわめく暗闇。見知らぬ声に動揺する人々。
「あの、電気つけてください! 暗いんで!」
誰かがそう言うと、一瞬にして全ての明かりが点いた。部屋の大きさは40000坪ほどで、中には2000人を超える変なのが集まっていた。
「変なのって言うなし」
そう、彼らは私が生み出したキャラクター達だ。心が通じており、悪態をつけば一瞬で文句が帰ってくる。
「分かってるなら言うなよなハゲ」
私はハゲていない。
まあそんなことはどうでもいいんだよ。
今から、あなた達には殺し合いをしてもらいます。
「「「「「イヤですけど」」」」」
じゃあいいです。
「「「「「いいんだ」」」」」
さっきも言いましたけど、あなた達は私が生み出したキャラクター。我が子同然なのです。
「我が子に殺し合えって言ったのかよ」
「酷いやつだな」
「酷いやつといえば、日樋谷恒夫っていなかった?」
「いたいた、5、6年前に出たキャラだよな」
「酷い名前だよなぁ、我が子に殺し合いさせるだけのことはある」
あの。
「なんだ? 言い訳タイムが始まるか?」
「アホー」
「鼻くそおいしい」
「病気になるからやめなさい」
「お母さんかよ」
「病気にならないから食べていいよ」
「お父さんかよ」
「お父さんじゃないだろ」
「鼻くそおいしい」
「両方の意見が出ている時、自分に都合がいい方を採用する人は信用出来ない。どう考えたって鼻くそは食べない方がいいのに」
「それな」
「なれそ」
「ナレソナレソ」
「滝沢ナレソ」
「ぴーなっつオーシャンハンバーガー」
「テスト40点」
「良い鬼」
すごい喋るやん。
「そりゃ2000人いたらそうなるよ」
「もっと絞った方が良かったって」
「全員出そうとすんなよな」
だって我が子同然だから⋯⋯選べないよ。
「なんで殺し合いさせたんだよ」
「最低だな」
「もう辞めちまえ!」
「そうだバカヤロー!」
「責任取れー!」
「辞めろー!」
させてないよ! 冗談言っただけ!
「ぴーなっつぴーなっつ!」
「トイレから中継です。私は今ズボンとパンツを下ろして便器に座り、かれこれ35分うんちを我慢しています」
「ぴーなっつぴーなっつぴーなっつ! おしり」
君たちの親として、ひとつだけ訂正させて!
「なんだよ」
「今さら父親面すんなよな」
母親です。
「そうなんだ」
「ちんちんついてるのに?」
ついてても女なの!
「LGBTってやつだよね」
「知ってるよそれ!」
「オールスターだと楽しいね」
「楽しいけど、誰が喋ってるか分かんないんだよな。今のところ名前出てきたキャラ日樋谷恒夫だけだし」
そのことなんだけど、日樋谷恒夫じゃなくて、悪井谷恒夫だし、世に出してないキャラだよ。
「な、なんだってぇー!」
「でもよ、でもでも!」
「日本エレキテル連合?」
「違う!」
「でもさ、世に出てなくても俺らの仲間だよな! って言いたかったの!」
「そうだそうだ! 世に出てなくてもここにいていいだろ!」
そう言うけどみんな名前間違えてたよね。
「ぐぅ⋯⋯」
「の音も出ないわ」
なんだかんだ仲良しだねみんな。
「そりゃみんな兄弟みたいなもんだからね」
「そうそう、家族だもん」
「アヌより優れたオチョーチョなぞ存在しねぇ!」
「北チョ神拳のやつおるやん」
「それ作者だよ。前に活報で言ってたもん」
朝ごはんにカレーパンを食べます。
「自由だな」
「朝から高カロリーだな」
安売りのやつだから許してよ。
「カロリーの話してんだけどな」
「ていうかカレーパンってなんで揚げるの? あげない方が美味しくない? 百歩譲って揚げるとしても、パン粉まぶす必要なくない? そのせいで油くどいしカロリー爆上がり坂係長だよ」
「うん」
イカ食いてえ。
「カレーパン食べながらそんなこと思うなよ」
「別にいいだろ」
「は?」
「ひ?」
「ふ?」
「へ?」
「俺こういうノリ嫌いだわ」
「ほ?」
「邪魔すんなよハゲ」
「ハゲ⋯⋯?」
「え、ハゲだよね?」
「ハゲです」
「あんまハゲハゲ言ってるとハゲの人読んでくれなくなるよ」
「俺らも行く道だし、今ハゲてる人らも昔はハゲハゲ言ってたんだから」
「決めつけは良くないな」
「鬼滅って言った?」
「言ったけど言ってないよ」
「タバコ吸ってくるわ」
「あれ? 喫煙者のキャラなんていたっけ」
「確かガベジョラが吸うはず」
「他は?」
「うーん⋯⋯」
「余命十月十日の主人公の周りのヤツらはみんな吸うよ」
「殺し合いとか言ってた会場にそいつらまで呼んでんの? 中学生だろ」
「ていうかもう死んでるだろ」
作中で死んだ人には生き返って参加してもらってます。
「やっちゃダメなことやってる」
「代表作のキャラも?」
やめといたほうがいいかな。
「やめといたほうがいいよ」
「顰蹙買うよ」
「やめなくていいよ」
お父さん!?
「お前の中で父親は悪い助言をする存在なんだな」
「ぷしゅ〜〜〜」
カレーパンのあとは紅しょうがを食べます。
「キモっ」
「キモっ」
「キモっ」
「キモっ」
「キモっ」
お前らそんなキャラじゃないだろ! 5人が5人同じセリフ言うなんて、そんなふうに育てた覚えはないぞ! さっきの「は? ひ? ふ? へ? ほ?」も許せねぇわ。
「ちんちん!」
「ちんちん!」
「ちんちん!」
「ちんちん!」
「ちんちん!」
ちんちん!