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【書籍化・コミカライズ】断罪される公爵令嬢、生まれ変わってラスボスの王妃様の子どもになります  作者: りょうと かえ
ふたりで試練に挑みます!

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41.怖い森を駆け抜けます!④

 ……今は考えても仕方ありません。

 息を吸って、全速力で走る準備をします。


 フェルトはすでに長剣を抜いていて、私もランタンを左手に短剣を右手に持って。

 戦闘準備は万端です。幽霊なんて蹴散らしてやりますから。


「リリア、狙うなら頭部だからね」

「うん、一発で幽霊が消えたもんね」


 そうして私たちは次の光差す場所へと猛ダッシュを始めました。

 広場を出てすぐは何も起こらず――でもぞわっとする気配が徐々に満ちてきます。


 やがてうめき声と足音が集まってきました。

 そこかしこに冷気が漂っています。


「きてる、追ってきてる!」

「リリア、こっちのほうが茂みが少ない! ついてきて!」


 視力はフェルトのほうがずっといいです。

 彼のルート取りに従って走ります。


 泥をめくる数々の足音が近づいたので後ろを振り返ると、幽霊の大群が迫ってきていました。まだ距離はありますが……。


「根の下を通るよ!」

「うん!」


 意識を前方に戻して、大木の浮かんで曲がった根の下をくぐります。

 が、その出口にぬっと幽霊の腕が突き出てきました。

 先回りされています。


「――っ!」

「うぅうう、ううっ」

「邪魔だよ!」


 そこでフェルトが屈みながら剣を幽霊に突き刺し、撃退します。

 頭部を一突きされた幽霊が霧散しました。


 おお、躊躇せず最適解を!


「強い……!」

「よし――走り抜けよう!」



 同時刻、大広間ではパーティーが継続して行われていた。

 ラーグ大公は諸侯と会談しながら会場を見渡す。


(場が温まり、人の島も固まってきたか……)


 ここからが本番ともいえる。

 普段やり取りしない諸侯に切り込むにはいいタイミングだ。


(あの爺様が私になびけば、この国を牛耳るのもたやすいというのにな。しかし世は上手く行かないものだ)


 ヴェラー大公の周囲にはやはり人が多い。

 先の大戦の英雄が車椅子に乗ってきているのだ、心打たれる者も多いのだろう。


 そこにノルザがラーグ大公に耳打ちをする。


「……王妃様と両殿下がおられませんが」

「ふむ……。私の奇策に慌てふためき、今後の成り行きを考えておるのだろう」

「本当に大丈夫なのですか? これであの子を取り戻せるのでしょうか――」


 心配するノルザにラーグ大公が心中で毒づく。


(まったく、おめでたい男だ。お前にリリアを任すわけがなかろう。こんな無能ではなく、もっとちゃんとした駒にリリアを仕立てなければならんのだからな……)


 しかしノルザをそばに置くことは、リリアを確保する正当性において重要だ。

 少なくとも、今は。適度に機嫌を取ってなだめるしかない。


「まぁまぁ、ワインでも飲んで落ち着け」


 現時点ではラーグ大公の思惑を超えたことは何も起こっていない。

 彼の頭脳はこの場にいる全員を把握している。


(不確定要素があるとすれば、あのリリアだけだが……。所詮は八歳の子ども、何もできまい)


 硬軟を使い分けて謀略を巡らす。

 その裏で、ふたりの冒険譚が進んでいることなど夢にも思わないのであった。



「ふぅ……」


 こうして1回目よりは苦労せずに私たちは光差す場所に到着できました。

 ルールを把握すれば、こうしてスムーズに進みます。


 この場所も倒木と小川、小休憩できそうな場所です。

 ここでまた休憩して、と。


 疲れても休めば元気がわいてくるのは、子どもの身体のおかげでしょうね。

 少し休めば大丈夫です。


「……これで残りはひとつだね」

「うん、気を付けようね」


 フェルトの話では最後の光差す場所には幽霊の王がいるとか。

 そこを越えた先にゴールがある、と信じましょう。

 十歳向けならばそれくらいの難易度だと思いますし。


 体力を回復させ、再び私たちは次を目指します。

 幽霊を通り抜けて……さすがに慣れてきました。


 森を走り、沼を踏み越えて――次の光差す場所へと向かいます。

 フェルトの剣のフォームも洗練されてきた気がします。


 たまには私も幽霊を刺したりしますが……。

 フェルトは迫りくる幽霊を斬り捨て、道を開いてくれます。

 彼がいて本当に良かったです。


「そろそろ次だね」

「はぁ、はぁ……うんっ」


 そして茂みをかきわけて、そこにいたのは。

 確かに幽霊の王――五メートルほどにもなる、半透明の巨大な幻でした。


『……リリア』

 

 私は唖然として幽霊を見上げます。

 その幽霊の顔は忘れるわけがありません。

 私の継母、憎きあのハーマでした。

【お願い】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 毎回、読み終わるごとに明日が楽しみでたまらなくなります。 2人とも偉い!頑張って!
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