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【書籍化・コミカライズ】断罪される公爵令嬢、生まれ変わってラスボスの王妃様の子どもになります  作者: りょうと かえ
王宮暮らしが始まるみたいです

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12.予定を考えます

 フェルトと話すのは本当に楽しい。

 でも満腹感と疲れ。

 それに心地良いフェルトの声が合わさり、私は眠気に負けそうになっていた。


 こくっ、こくっ……。

 頭が眠気で上下する。

 

 フェルトはそれを見逃さなかった。

 本当に私を見ています。


「ふふっ。今日は終わりにしよっか。また明日もあるしね」

「……うん。ごめんね。眠くって」

「気にしないで。明日もいっぱいお話しようね」


 フェルトと約束をして、その場はお開きになった。


 人のいなくなった寝室で横になる。今日は本当に色々なことがあった。

 あの散々な日は終わって、これから新しい生活が始まる。


 ラスボスな王妃様はとても良い人で。陛下もフェルトも私を受け入れてくれた。

 それに報いるような人生を送らないと……。


 とりあえず、遅れている勉強を頑張ろう。

 八歳ということは、日本では小学二年生か三年生のはず。

 一日五時間くらいは勉強時間だ。

 サラリーマンに比べれば、楽だろうけれど。

 ここで油断してはいけません。


 私は気を引き締めて――すやぁと眠ったのでした。




 朝になりまして。


 起きて、びっくり。

 とてもお腹が空いています。


 昨日、あれだけのことがあったのに。

 もうお腹が空いていた。


 この身体、もしかして本当に食いしん坊なのでは?

 

 食べた量はそれほどでもないかもですが。

 消化力はかなりの素質を感じる。

 

 朝はまず侍女の手伝いを受けながら、洗顔やら。

 魔道具のおかげで清潔感あふれる水があるのはとても良き。


 あとはお医者様も来て、体調チェック。

 特に問題はないようで一安心。


 で、朝食の時間になり――。

 またも陛下、王妃様、フェルト様が私の部屋にお越しになった。


 朝食のメニューはあっさり鶏肉シチュー。

 とても美味しそう……。

  

「はい、どうぞ」 

 

 ……フェルト様がまたも私にお食事を食べさせてくれます。

 王妃様も陛下も微笑むだけで、止める気配はありません。 


 なので、食べます。

 

 はむはむ……。


 野菜もたくさん。細かいパンもたくさん。

 おおおっ……!

 舌の上でクリームの妖精さんがダンスしています。


 感動。

 もちゅもちゅとよーく味わって食べます。




 そうしてフェルトにお世話されながら、食べ続け。

 素晴らしい朝食が終わりになる頃。


 王妃様がサファイアのブローチを取り出す。

 昨日、中庭で私がフェルトの前で水シャボンを出した魔道具だ。


「リリアちゃん、昨日これを動かしたんですって?」

「んぐっ……はい」


 あれ?

 もしかして何かマズいことをしてしまった……?


 と思っていると、王妃様がにこりと微笑んだ。


「これを動かすのに苦労はした?」

「いいえ……?」


 どう答えるのが正解かわからず、疑問形になった。

 最初は手間取った気もするけれど、そこを過ぎたら楽だったのは本当。


 リズムゲームのノーツを叩くような感覚でやれた。

 この例えはきっと伝わらないので、胸に秘めるけれど。


「ほら、僕の言った通りでしょう?」


 フェルトが王妃様と陛下に得意げにしている。

 どういうことかと思っていると、陛下が顎を撫でた。


「むぅっ、なんと素晴らしい……」


 素晴らしい?

 首を傾げていると、真面目な顔に戻った王妃様が答えてくれた。

 

「実はね、この魔道具はもっと年上の子のためのものなの」

「……はい?」


 なんですと?

 そんな話はひとつもなかったような――。


「ごめん、リリア。僕も知らなかったんだ」

「そう、ローラ先生もフェルトに秘密にしていたの」


 言われて思い出しました。

 あのローラ先生なら、あり得えるかも。

 というより、やりそうでした。

 

 つまりは昨日、ローラ先生の用意した高難度課題を私は意図せずクリアした――ということなのでしょうか。


「このサファイアのブローチは十二歳向けかしら。ローラ先生はそう仰っていたわ」

「ヒルベルト、十二歳でもこのブローチを起動させるのは難しい。

 魔力はあまり必要ないが制御にコツがいる」

「そ、そんな課題だったのですね」


 十二歳ということは中学生くらい……?

 八歳からしたら結構なハードルの気がします。


 でも、これぐらいで調子に乗ってはいけません。

 私の勉強が遅れているのはまぎれもない事実ですから。


「これは凄いことよ、リリアちゃん。

 勉強については焦る必要がないくらい……だと思うの」

「……それはどういう意味でしょうか?」

「王宮に慣れる時間が必要じゃないかしら。

 私はそう考えているんだけれど……」

「余も同じ考えだ」


 王妃様と陛下がやや心配そうな顔をしている。


 ふむふむ……?

 どうやらこの会話は私の今後についてのようだ。


 趣旨としては『もうちょっと休んだら』かな?


 もしかして、だけど。

 王妃様と陛下は私が無理をしてサファイアのブローチを発動させたと深読みをしているのではなかろうか。


 フェルトは多分、純粋に私について認めてもらいたいだけ、だろうけど。


 確かに大人からすれば不安かもしれない。

 十二歳用の課題をクリア。それはいいとして。

 私に不安や焦りがあるのではないかと……。

 

 不安や焦りがあるのは事実だけれど、無理はしていない。

 むしろやることがないのはちょっと嫌かも。


 王宮である以上、ほっつき歩くわけにもいかない。

 それなら、きちんと学びの時間を過ごしたほうがいいに決まってる。


 体調だって自分的には問題ない。

 むしろ今だってスープを完食して、ちょっと足りないくらいで。

 お腹はデザートも食したいと主張しています。


 そう、例えば今フェルトが食べようとしているプリン。

 ぷるっぷるで美味しそう。


 なので気遣きづかいはありがたいと思いつつも。

 はっきりと伝えよう。


「……私としてはなるべく早く、勉強を始めたいと思います」

「本当に無理はしていないかしら?」

「大丈夫です」


 王妃様は迷ったようですけれど、私の意思を尊重すると決めたようでした。


「わかったわ。でもちょっとでもおかしいなって思ったら、言ってね」

「うむ……無理はしてほしくない」

「わかりました。体調には気を付けます」


 ということで、今日から勉強がスタートです。


 無理はせず。

 でもしっかりと前に進みましょう。


 せっかくのやり直し人生なのですから、悔いを残さないように。


 で。

 体調的には全然問題ないことですし。


 えー……と。

 フェルトの食べているプリンを、私も食べたいのです。

お読みいただき、ありがとうございます!!


皆様のおかげで日間1位になれました、本当にありがとうございます!!

読者の皆様に、厚く御礼申し上げます!!!


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[気になる点] 12歳なら小学生です。
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