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SS・掌編小説 童話・純文学

とある絵描きの物語

作者: 空クラ
掲載日:2024/02/13

 キャンパスの上に描かれたものをみて、彼はひとつため息をついた。


 ―――才能が無いのだ、おれには。


 何をやっても上手くいかなかった。

 何をやっても虚しかった。


 地平線に沈む太陽を見つめ、そっと息を吐いた。


 ―――もう、辞めよう。


 くだらない夢から逃げるように彼は身ひとつ、街を飛び出した。




 長い年月歩き続け、何かを振り払うように、幾つもの街を通りすぎた。


 絶望を抱え、現実から逃げるように歩き続けた。

 疲れはて、痛めた足を引きずりながらもなお歩き続けた。


 歳月は記憶をあいまいにしていく。


 ―――おれは何をしたいんだったっけ?

 ―――おれはどこに行きたかったんだろう。


 自分が何をしているのかわからぬままに、さらに時は流れて。



 それでも彼は歩いて・・・・・・

 歩いて・・・・・・



 とある街の幼い少年。

 行き倒れの老人をみつけて、話しかけた。

「おじいちゃんはどこから来たの?」

「遠い、遠い、場所からだよ」

「ずっと歩いて?」

「そうだよ」

「じゃあ、おじいちゃんは絵描きさんだね」


 その言葉に心が騒めいた。


「なぜ?」


 老人は小さくつぶやく。

 幼い少年は、地面を指差していった。


「だって足を引きずりながら、この星じゅうに絵を描いてるんだもの」


 みると確かに、足を引きずり歩いた後が残されていた。


 長く・・・・・・

 とても長く・・・・・・

 だけど確かに歩いた、歩き続けた道には線が刻まれていた。


 はるか遠くの記憶がよみがえる。


 絶望を抱えた日。希望を失っていく毎日。

 それでも俺は生きていた。

 確かに生きて、もがき、歩き続けていた。


 知らず知らずのうちに老人の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。



 はるか昔。

 残された絵描きのキャンパスには、地面に座る汚れた老人と、どこかを指差す子どもが、楽しそうに描かれていた。


 End

誰かの心に届けばいいなぁ。と思いながら書いています。


感想や評価が頂けたら嬉しいです。

執筆の励みになります。_φ(・_・


他にも色々短編書いてますので、よろしかったら読んでみて下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても素敵なお話ですね!
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