月にねがう
月明かりにまどろむ窓辺
いつか見た夢の名残を見る
闇に浮かぶ銀の砂
それは川か道か
靴の先を濡らす
これは誰かの涙か
それとも柔らかな月光か
惑ったまま
どこにも行きつけずに立ち止まる
傾いていく月を見上げて
拾い上げたはずの輝きは
指先で幻になる
月明かりにまどろむ窓辺
いつか聞いた歌の音を拾う
闇に漂う金の粒
それは糸か鎖か
手の内に絡まる
これは誰かの運命か
それとも優しい月光か
彷徨ったまま
どこにも行けずに立ち止まる
消えていく月を見上げて
見つけたはずの煌めきは
靴先で露と消える
行き先を問う声に
浮かべた苦笑は何のため
どこへ行くのか
誰と行くのか
どこまで行くのか
どれひとつ答えられない
そのことには気づいていたけど
光なんてないと 気づいてたけど
月光に舞う影を追いかける
それさえもただの幻で
留めることすら出来ない
息も出来ないほど
言葉にならないほど
何も見えないほど
深い深い闇に足が竦むけど
光を探して空を見上げる
俯くことよりも
立ち止まることよりも
果てしなく探し続けることを
あの日 選んだのだから
月明かりにまどろむ窓辺
いつか願った日々の幻を見る
闇に浮かぶ灯火
それは願いか祈りか
闇に沈む心を照らす
これはいつかの望みか
それとも柔らかな月光か
希ったまま
叶うあてもなく立ち止まる
沈んでいく月を見上げて
掬い上げたはずの光は
心の奥で言葉になる
届かない 届かなくても良い
それでもずっと
心の底で温め続ける
ほのかに温もったままの
そんな言葉になる