表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.201~No.300】

午後の公園 【月夜譚No.238】

作者: 夏月七葉

 子ども達の声に笑みが零れる。天を突くような元気な声は明るくて、こちらまで楽しくなるようだ。

 散歩の休憩がてら公園のベンチに腰かけた男は、走り回る小さな影に癒されていた。

 こうして子ども達が遊んでいる声を五月蠅いと言う輩もいるが、それは子どもが元気いっぱいであることの証拠ではないか。仮に学校や保育園が静寂に満ちているのを想像してもらいたい。この上なく不気味であろうが。

 それにそういう人間に限って、屋内でゲームでもしていれば、子どもなんだから外で遊んでこいと言うのだろう。理不尽極まりない。

 しかし、この辺りの住宅街はそういった苦情がないらしい。子ども達は伸び伸びと、自由に遊べている。

 ぽん、と男の足に何かが当たった。見てみると、サッカーボールが転がっている。

 それを持ち上げて視線を転じると、少し離れたところに申し訳なさそうにもじもじとする少年がいた。小学校低学年くらいだろうか。

「君の?」

 男が声をかけると、こくんと頷く。

 周囲を見回してみるが、彼と共に遊ぶ友人も見守る親も見当たらない。一人で遊んでいるらしい。

 男は先ほどとは違う種類の笑みを浮かべた。

「――君、良かったら一緒に遊ぼうか」

 もうすぐ夕焼けが迫る。帰る合図の鐘の音は、少年には届かなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ