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嫉妬

そんな練習の日々が続いた、ある日。

萩島と行馬は相変わらず俺と三井が流している音を聞いているだけだった。


(荻島・・演奏したくないのかな?)


練習中はなんだか荻島はとてもつまらなさそうな表情をしているのだ。



『なあ、三井?』


『うーん?なあに!?』


大音量なので、声が大きくなる。

『萩島とかにも触らせないかー!?』


そう言うと、楽しそうな三井の表情が一瞬消えたかのような気がした。しかし、すぐに笑顔になる。



『みんなでやる文化祭だからね。みんな演奏出来た方がいいよね。』


『ああそうだな。おーい、萩島!!』


手招きをする。


萩島はあたりをキョロキョロし、人差し指で自分を指した。


うなづいてあげる。


少し両人差し指をツンツンとあわせていると、

行馬にせなかを叩かれて、椅子から倒れた。


行馬にちょっと怒りながらDJブースに近づいてきた。



『な、何よ?太一?』

腕を組み、目線を逸らす萩島。


『いや、萩島もやらないか?』


『え、でも、ワタシ、わからない。』


少し棒読みなのは何故だろうか。

『羽生くんが教えてあげれば??』


三井が後ろから、ボソっと耳打ちする。

『ほら、人に教えると復習にもなるし。』


三井の顔は特に見ないで、頷く。


『俺が教えるよ!萩島!』


♦︎♦︎♦︎♦︎

太一が手招きしてきた。


『え!わ、私?』


背中がパチーンと叩かれる。


『行ってやれ!萩島っ!』


『た、叩かないでよ!わ、私だって・・・。』


女の子だから。

たぶんこんなにドキドキしているのは、

太一に対して女の子になっているから・・・。


恐る恐る近づく。


『萩島もやろうぜ!』


『わ、私はその、、、』


目の前で三井さんが太一に耳打ちする。



『俺が教えるよ!萩島!』


ニカッと笑う太一。そんな顔、しないで。

ズルい。


ときめきは束の間だった。

三井さんもニコニコしている。しかし、目は座っていて見開かれていた。


三井玲奈の女豹たる部分なのだろうか。



(ば、バレてないいよね。)



『あ、ありがとう!太一!じゃあ教えて貰おうかな!』



♦︎♦︎♦︎

ステージを見る。

萩島を立たせて、後ろから手添えで羽生が手取り足取り教える。


羽生が手添えするたびに縮こまる萩島。


それを後ろから明らかに怒気を纏いながらも、

無理やり口角をあげる三井。



『これをこう捻ってやるんだ。そうそう、こっちは優しく撫でてやる。』


『む、難しいよ、わ、私初めてだから。』


あーあ、見てられない。

萩島は完全に女の子で、三井も女の子だ。羽生はただ文化祭に向けて楽しんでいるだけ。


『こ、こうかなっ!?』


『ああ、いいじゃないか。上手だ。』


ただDJやってるだけなのに、、


三井は明らかにブチギレそうだ。





『はあ、俺がこの状況巻き取らないとダメか。』

うまく巻き取りうまくいくよう、立ち回る。



三井と羽生は上手くいかないとダメなのだ。

羽生は三井が好きなのだ。

羽生は、萩島でなく三井を選ぶのだから。

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