変わる季節
『見違えたなあ。』
『ん。疲れたよ、週末これでつぶれたからさあ。』
保健室のフカフカのベッドに横になる。
『萩島が突然、三井と俺をくっつける的な事言ってきてね。』
『そりゃあ、いいことだ。』
『まあ、悪い話ではないかなと。』
『次はどうすんの?三井をデートにでも誘う?』
『うーん、萩島のプランがようわからんからなあ。』
ピロン。
『萩島から連絡きたわ。』
『じゃあ行ってきなよ?たぶんこの後の動きでも確認すんじゃん?』
ベッドからのそのそ起き上がる。
『じゃあ行きますか。』
『乗り気だね。』
『ああ乗り気だとも。』
俺は吐き捨てるように言って保健室を出た。
♦︎♦︎♦︎♦︎
集合場所は駅前のバーガーショップ。
『よお、萩島っ!!』
『待ちくたびれたよお。』
上目遣いで甘えるような言葉遣いだ。
『今日はなんだ?』
『なんだとはないでしょ?行馬も来るわ。』
『そうか。』
頼んだアイスコーヒーを、萩島はストローで飲む。ストロー先には口紅のようなものがついて紅くなっている。コイツ口紅なんてしてたか?
ストローを離すと、雫が唇から垂れて、紙ナフキンで丹念に拭き取る。口紅がナフキンにつく。
『おーい、萩島!太一!』
『あ、行馬・・・。』
萩島は、何か名残惜しいような感じで声のトーンを下げる。
『はあ、今日も学校はかったるかったなあ。さてさて。三井は?』
『あれ?今日三井くるの?』
萩島に目線を送る。萩島は少し目線が泳ぐ。
『な、なんだか今日はバイトがあるんだってさ。』
『あ、そうなの。じゃあ、いいや。後で俺から伝えとく。』
『何を?』
『いや、我らが同好会の活動第二弾の企画だよ!』
『え?まだやるの?』
『当たり前だろう。文化祭で出店しよう。』
『は?同好会で出せんのかよ?しかも活動実態なんてないのに、、、』
『大丈夫。そこは生徒会とのコネを使って鷲づかみよ!!何がいいかなあ。』
『何かできんのかよ?』
『実はな、三井に一つ特技がある事が判明した。』
『特技?』
『うん、あいつ、DJの大会で優勝経験あるらしいんだわ。』
『ま、マジかよ。』
『だからミスコン女子を使い、DJブースを使う。そんでもって、ドリンクとお菓子を振る舞い稼ぎまくる!どうだっ?』
『わ、悪くないわね。私たちは何するの?』
『まあ、裏方かな。チケットもぎりやお菓子、ドリンクの手配なんか、やる。』
『DJかあ。かっこいいよなあ、あれ。』
『おー、太一が興味示すなんて珍しいなっ!そうだ、夏休み使って教えてもらえば?なあ、萩島いいよな?』
『え、あ、うん。いいんじゃない。』
『よし!じゃあ次回は、三井先生にDJ習いにいくか?』
『え、ワタシ達も!?』
『当たり前だ!実はもう三井には伝えてある。』
かくして、文化祭に向けてDJ三井より教えをこうことになったのだった。