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好奇心と献身的な愛に酔いしれる

母が拘束されていた、荒屋。

私はやはり気になって母にも行馬くんにも内緒で観光客のフリをして訪れていた。青髪は目立つのでウィッグをつけて、ハイキングスタイルで羽生村の方へ行く。


しばらく歩いていると、羽生村の手前あたりだろうか。工事用のバリケードが幾重にも重なってあり、人が通れないようになっていた。バリケードの隙間から覗くとワイヤーのようなものや、センサーが張り巡らされている。



バリケードの横には、荻羽生村は来た道を戻り右の道へ、と書かれていた。



ここを通るのはかなり難しそうだ。

センサーにワイヤー、バリケード、、きな臭さ満点だ。


なんとかならないものだろうか。



ズボンに入れてる携帯がバイブする。

携帯を見ると、例の探偵からだ。

『はい、もしもし。うん、ああそうなの。へえ。わかったわ。詳しくは帰ってから教えてちょうだい。』


行馬くんのつての探偵は仕事が早い。

行馬くんのつてか。(・・・)



バリケードを一瞥し、来た道を戻る。

今は得られた情報をもとに計画を練り上げて

お母さんにプレゼントするだけ。私ができる親孝行。




お母さんの境遇を教えてくれたのは、行馬くん。

お母さんが荻羽生村で起きた悲劇の被害者であると。事細かに教えてくれた。私の遺伝子は羽生太蔵のものがあることも、お母さんがこの村を逃げて来たことも、全部教えてくれた。


行馬くんはすごいのだ。


だって、|私が知らない洞島のルーツ《・・・・・・・・・・・・》まで教えてくれたんだから。




♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

洞島涼子高校3年の時。


自宅リビングで1人酒を飲んでいた。


私はあの村に、復讐がしたい。

娘があの村の奴らにいじめを受けていた。行馬くんに守れるはずもなかった。彼は引き続きお勤め(・・・)中心の高校生活だった。

そのかわり涼子は味方がいたようだ。味方というか涼子のことが好きな男の子。彼もまた、荻羽生村の人間。


彼は涼子を守ることをせず、見殺しにしたようなものだ。かつての旦那様のように。それでも、語る涼子。



『太一くんがね!太一くんがね!』


彼のことを語る涼子は嬉々としていた。だからこそ私の過去に彼女を巻き込んではならない。



しかし、燃えたぎる復讐の炎が鎮まらない。

荻羽生村に火でもつけてやりたい。



『おかーさん。』


『ああ、涼子。遅かったわね。』


『うん。今日はね、お母さんにプレゼントを用意したの。』


『プレゼント?』


包装紙に包まれたA4サイズくらいの書籍だろうか。



『ありがとう、あとで見とくわ。』


『今あけて。』


涼子はニコニコしている。涼子は天才だが、こういう子どもらしさを垣間見ると安心する。



包装紙を丁寧に開けた。そこに書かれていたのは




荻羽生村消滅計画



パラパラと捲る。涼子が知らないはずの私の過去。私すら知らない荻羽生村の実態や血縁関係。

これさえあれば、荻羽生村に復讐ができる。

私は瞬きせず、猛烈なスピードで、読み切った。

呼吸が荒くなる。肩で呼吸していた。涼子を一瞥する。涼子は笑っている。なんで、この子がこれだけの情報を知った?荻羽生村の暗部まで。誰が?まさか。



『岬さん。』


『き、行馬くん。』


行馬くんしかいない。彼は荻羽生村の人間だ。でもなぜ復讐に加担しようとする。村の人間のはずなのに。なぜ?



『聞いたよ。施設の人から。』

『聞いたって何を・・・・?』

『岬さんが東京に来るまでの話を。』


ボランティアがそこまで聞けるのか?


『ボランティアだけど、支援は必要だから、最低限の情報は把握してるさ。でも、岬さんすら知らないことが書かれている。なぜだろう?そんな顔してるよね。そんなことは簡単。調べたのさ。探偵でも雇えばなんとかなるんだよ。』


探偵・・・。でも、これは、戸籍やらなんやら本人じゃないとリーチ出来ない情報まで記載がある。



『そうそう。探偵と言ってもただの探偵じゃないよ。法律的にはアウトな事をしているんだ。』 


『そんな。そうまで、してどうして!?行馬くんは何の為にそこまで・・・・。』


そう言うと、行馬くんに抱き寄せられる。


『あらあら。私はお邪魔ね。』


涼子が部屋を出て行く。



『僕はね、岬さんの為になることがしたいんだ。そのくらい愛してるんだ。岬さんの為なら、外道にでもなんにでもなれるんだよ。』


口づけをされる。ソフトでなく、甘ったるい大人のキス。身も心も蕩かされていく。私はふわふわ漂うような多幸感に包まれてゆく。



私を掛け値無しに、包んでくれる彼に酔っているのかもしれない。夢うつつになりながら私達は体を重ねていった。


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