3年越しの初夜を迎えて
太一がうちに来た。
シャワーを浴びてる。いや、浴びてもらった。
その前には、私がシャワーを浴びた。だって臭いもの。
『悪いな、萩島。シャワーまで借りてしまって。』
少し顔を熱らせて出てくる、太一。
乾きかけの髪をタオルで拭きながら出てくる。
VネックのTシャツから見える鎖骨を見る。思わず生唾を飲み込む。私はフリフリのタオル生地のホットパンツにパーカーといった装いで部屋にいた。意識してるのだろう。かわいい私を見てもらいたいという下心が滲み出る服装だ。
間がもたない。
『ううん、いいの。なんか、飲む?』
『そーだな。何ある?』
冷蔵庫を開ける。
缶ビール、お茶あたりか。
『太一、ビールとか飲む?』
酒で酔わせて・・・なんていう下心が見え見えかもしれない。酔った勢いで・・・ならそんなに問題はない。いや、それでいいのか。私は太一の心も欲しいはずなのだ。
『いいね。萩島と飲むのは初めてかな。』
『そーだね。太一はお酒飲むの?』
『サークルの飲み会でちょっとね。家では寝る前に飲む事はあるかなあ。』
『そう、、なんだ。』
『じゃ、乾杯。』
缶ビールを合わせる独特の音。
ゴクゴク飲む太一の喉元を見る。高校時代に比べて痩せたのか喉仏がよくわかる。飲むたびに喉仏が動くのを見る。体から水分が抜けていくような感覚だ。粘液質がドバドバと流れていくのがわかる。
『はあ、ビールも美味いな。』
『太一も少しオッさんになったのかな?』
『大学生でオッさんはひどいなあ。』
『ごめん。ごめん。でも雰囲気変わったよね。』
『ああ。見た目はね。根っこは変わってないよ。』
『そうなんだ。』
三井さんとはどうなったんだろ。
別れたまま?気になるなあ。
『萩島はさ、、、』
『え・・・・?』
太一が少し顔を近づける。
『綺麗になったよな。この3年で。』
歯を見せて笑う太一。
・・・・っ!
ズルい。
血流が急激早く流れていく。アルコールだけでない。急激に体温が上がっていく。少しまるまった姿勢になり、視線を床に落とす。
なんで、そんなことをさらりと・・・・。
ジワジワと高鳴る欲が垂れ流しになる。
もうだめだ。私は、太一を抱きたい。
太一を一瞥する。
『なんだ?顔赤いぞ?熱でもあるんじゃないか?』
自分のおでこを、私のおでこにくっつける。
鼻や唇が触れそうな距離。飲みかけのビールを床に落とす。
『熱はなさそうなんだな。』
慌ててビールを拾う。
ティッシュで溢れたビールを拭こうと手を伸ばす。
『あっ・・・・・!』
またつんのめる。
太一が私を抱き抱える。しかし、太一も体重を崩して倒れる。
『ご、ごめん・・・・。』
『大丈夫か?萩島。』
私が太一を押し倒したような形で重なる。
太一の心臓音が聞こえる。
太一はそのまま私を包む。
『え・・・・?』
『萩島の体は柔らかいんだな。』
『な、何を・・・・。』
『なあ。萩島。俺もその男なんだ、、、あの時は三井がいたけど、本当はお前を・・・。』
『・・・・っ!!』
電気が消える。
『ひゃっ!停電?ブレーカーは?』
立ち上がろうとするが、太一に引っ張られる。
『あ・・・・。』
そのままベッドに倒れ込む。
『ちょうどいいじゃないか・・・・??』
暗がりの中、重なる2つの体。
その夜は3年越しの夢を見ながら、私と太一は朝を迎えた。




