再会
『岬さーん。』
『あー、萩島さん!こっちこっち!』
岬さんと久しぶりに会う。
渋谷の喫茶店。木目のテーブルに、アンティークが取り揃えている。大きな時計があり、1時間ごとにゴーンと音を響かせる。チョビ髭のマスターが1人で切り盛りしている、渋谷とは思えない渋い店構えなのだ。
『どうっ?大学生活は?』
『いやあ、勉強は面白いですけど、なんだか馴染めなくて・・・・。』
『サークルとかは入らないの?』
『はい。なんだか、雰囲気がだめなんです。3年かけて社会不適合者になってしまいました。』
頬を人差し指で描きながら自虐的に笑う。
『社会に適合できてる人なんてそうそういないわよ。みんな、どこか外れてるんだから。』
岬さんの瞳から光が失われたような冷めた目をする。
不安そうに岬さんを見ると、私に気づいたようだ。
『ああ、ごめんなさい。でも、萩島さんは社会不適合だと思わないわ。だってこうやって社会のレールにまた乗ろうとしているのだもの。』
『岬さん・・・・。』
涙がハラリと落ちる。やはり岬さんは優しい。
『それは、そうとバイトしてみない?』
『バイト、、ですか。』
この3年は母に負担をかけた。
学費も全て出してもらっているのだ。
少しくらい楽させてあげたい。
『バイト・・・いいですね。どんなバイトですか??』
『フリースクールよ。』
フリースクールは不登校などの子どもが、通う教育機関だ。学校に行きたくても行けない子の学校の代わりだ。
自分は不登校にはなってないが、高校中退だ。
何か通ずるモノがあった。
『岬さん、、やってみます!フリースクール!』
『良かったー!知り合いのところで、ちょうど欠員が出ちゃってね。困っていたのよー!はい、これ資料。一応面接して、それから働く日決める感じよ!!』
学校に居場所のない私が、子ども達の居場所を作る。なんとも言えないが、やってみようと思う。
♦︎♦︎♦︎♦︎
茂みに隠れて、中を伺う。
よし、お邪魔虫はついていない。今日も、太一くんの行動観察を行う。何か彼にとって隙になるような出来事があれば、つけ入ることができるはずだ。
『ん?あれは・・・・。』
どこかで見たような顔がスーツを着て、教室長と話をしている。
その隣の部屋では、太一くんが熱心に勉強を教えている。子ども達は、真剣に太一くんの教えを聞いているようだ。
何か、彼の懐に入れそうなきっかけは・・・。
あ、授業が終わったみたいだ。
教室を出ていく。すると、教室長とスーツの女性が話が終わったようで廊下に出ていった。
『廊下の様子はこの仕掛けたカメラで・・・・』
カメラを写す。
『え?マジ?』
見慣れた顔。ポニーテールが健在。
太一と向き合いお互い固まっている。
『なんで、萩島が、太一くんのバイト先にいるのよ・・・・。』
お邪魔虫が現れてしまった。
萩島は3年前確かに、心をズタズタにしてやったのに。
『まだ、足りなかったのかしら?ふふふ。太一くんは私のものだから。ぶっ潰さないと・・・・。』
今度はどう料理してあげようかしら。
計画を練ることにしよう。




