表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/70

さようならは言わない。あなたは僕の中で、物語として生き続けるから。

あれから1ヶ月。

今年ももう終わる。


年内最後の通学の日。涼子に会いに来た。


『どうかしら?そのあとは?』


『三井とは接点はほとんどないよ。視線は感じるけどね。』




『いい気味ね。ぜーんぶ、自分のものにできると勘違いしている糞女がっ!はーはっはっ!いい気味よぉっ!!』



ベッドに寝たまま笑いとばす。

それほど涼子は元気がないのか。



『萩島も学校を辞めて、三井は失意のまま卒業を迎える。私の復讐はこれで完結したのよ!』



『ああ、そうだな。涼子。』



俺の手を握りしめてくる。その手はすっかり痩せ細ってしまった。力もない。



『涼子、ご飯食べてるか?』


『要らないわ。食欲ないもの。』


『そうか・・・・。なあ、何かして欲しいこととかないか?買ってきて欲しいものでもいい。』


涼子のこんな人生・・・・一つでも多くの願いを叶えてあげたい。





『太一クンには叶えてもらったもの。私の願い。』



『それだけで、、いいのか?』



『いいのよ。私はそうしたかったから。』



悲し過ぎる。人生の終幕の願いが、かつて自分をいじめた女たちへの復讐なんてーーーー



『でもね、この身が滅んでも意思は残るの。あいつらを許すな、滅せよ、されば己の魂は救われるってね。』



『・・・。』


『肉体としては死ぬけど、意思は残るわ。意思を引き継ぐ人も残る。だから、せめて一泡吹かせられたらってそう思ったわ。』



『涼子・・・・ごめんな。俺が弱いばかりに。』


『いいのよ。結果良ければって言うじゃない。』



涼子の顔色はどんどん悪くなる。

『はあ・・・疲れちゃった。ちょっと眠ろうかしら。』


手を強く握りしめる。お願いだ、涼子。

生きてくれ、俺の為に。


ガラッ!



『羽生様、本日の面会時間は終了です。』


看護師に告げられた。後ろ髪を引かれる思いだが、仕方ない。



『涼子、また来るよ。口づけしても?』


『嫌よ、恥ずかしい。』



『そうか、、じゃあまた。』


『ええ・・・・・。』



俺は涼子の病室を後にした。













私は病室で1人になる。


『羽生くん、別にあなたが他の人を好きでも、寝取られても構わなかったのよ。だってね、私ね。』




病室から見える景色を目に焼き付ける。













『あなたのことも復讐の対象としか、見てないから。』


目を閉じる。深い、深い闇の底へ誘われるように眠りに落ちていく。大丈夫。あとは任せるわ。


あとはあの人に。










♦︎♦︎♦︎♦︎

俺が洞島の死を知ったのは、明朝9時からのホームルームでの担任の淡々とした連絡によってだった。





俺はホームルームを終えて、図書館にいた。

窓越しに空を見上げる。雲一つない快晴。


そうこんな日だった。



涼子と俺が出会ったのはこんな晴れた日だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ