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退学


すっかり秋は暮れて、冬の寒さが身に染みる。

冬は太陽が登っている時間も夏に比べると短い。

太陽光にあたると分泌されるセロトニンが少ないのだろうか。なんとなく、憂鬱だ。


私は冬が嫌いだ。世の中は、クリスマスやら正月やらイベント目白押しだけど、そんなもの一時の享楽に過ぎないのだ。



だから、私は太一と肌を合わせた多幸感を噛み締めて帰省先から帰り、学校に登校した。


太一がまた学校に戻ってきたら抱きしめてもらいたい。それだけで、全ての苦しみや悩みから解放されるのだ。



ガラ!


『おはようー。』


・・・。

クラスメイトが全員こちらを一瞥し、何か話をしている。朝の挨拶に対する返事は一切ない。


何か変だ。


だが、どうすることもなく席に座る。



『痛っ!』


椅子に座るや否や、臀部にチクリとした痛みが走る。



立ち上がって見ると、画鋲が椅子につけられていた。



辺りを見回す。誰とも目が合わない。何かヒソヒソ話す声や笑い声が聞こえてくる。状況が把握できない。そうだ、行馬。行馬はどこだ??

行馬の席は空席だ。携帯を取り出し、メッセージを送る。




『なんか、クラスの様子が変なんだけど。』



メッセージを送る。返事は来ない。通話を試みるも、留守番電話になる。



『いったい何が、、、、、』



机から何かが落ちている。



拾いあげると・・・・



『え?なんで、こんな写真が・・・?』


それは、三井があの下品な男とホテルに入る姿とそれを撮影する私の姿だ。その写真にはこう書かれている。



『萩島は、三井と羽生のストーカー。』




『萩島さんさあ!』


クラスメイトの1人が語気を強めて話しかけてくる。


『三井さんだって大変なのにさあ!助けてあげないで、写真撮ってさあ!この写真使って羽生と三井さん別れさせたんでしょ?最低だよねえ!』



『え・・・?』




『三井さん、男に無理やりホテルに連れ込まれてさあ!傷ついているんだよ?なんでさあ!』


『サイテー。』


『この男も萩島が手配したんじゃねえの?』


『うわー。レイプじゃん。サイテー。』




え・・・。だってこれは。




三井はクラスメイトに慰められながら、泣いている。


『わ、私怖かったのぉ・・・。でも、なんか体動かなる薬飲まされて。。。萩島さん、見てたなら、、助けて欲しかった・・・。』



三井は両手で顔を隠して泣いている。




『この犯罪者!』

『死んじまえ!』

『最悪ー。発想が虫けらだわ。』



体中から血の気が失せる。



『な、、、んで、、、』


いや無理だろう。あんな時間に、あんな場所にいる三井をなぜ疑わない?!


『み、三井さん、あなた、だってクラブでDJして、、、そのままその男、持ち帰った、じゃない。。』



『酷い。』

『サイテー。』

『言い訳するな、犯罪者。』



罵声が胸を貫く。

『い、、、や、、、』



『そうだっ!三井、お前の仇で今から萩島をみんなでヤッちゃわない?』


誰かがそんなことを叫ぶ。



『そうだっ!同じ目に合わせてやれ!』


『萩島を抑えろっ!』


『犯せ!』




三井は、、、

両手で顔を隠している。かすかに見える口元は

ニヤリと口角が上がっていた。



















どうして、こんな事になったのか。

私は何もしてないのに。

どうして。







なぜ、今日に限ってロングホームルームだったのか。しかも、担任は休み。

私は、ボロ雑巾のように扱われて学校を出た。






『う・・・うう・・・太一ぃ・・・・。』


もうこの学校にはいれない。残り半年もないのに。最悪の思い出を引きずって校門を出た。



歩く。

鼻血に涙、顔も汚れた。


『お願いしまーす。』


青髪の女性がティッシュを配っている。

大検予備校のティッシュだ。


『せめて、顔はキレイにしなきゃ。』


ティッシュをもらい、目の前にある公園のトイレに入った。



丁寧に、丁寧に。

起きたことがなかったかのようにするために、

顔を拭き、ティッシュを水で濡らして血で汚れた箇所を拭きとっていく。





『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!』



冬は嫌いだ。

こんな憂鬱な冬なんか。

大嫌いだ。

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