太一は勘違いをする。
太陽が光を窓越しに差し込む。
冷気が漂う。顔だけが冷たく体全体は温かい。
太一の体温を感じながら、よく眠る事ができた。
太一の寝顔。長いまつ毛。キレイな髪。きめ細やかな肌。
穏やかだった血流が一気に全身に駆け巡る。
冷たかった顔も一気に火照る。
太一の目が開かれる。
『ああ・・・・萩島。おはよう。』
『太一・・・。』
何気なく太一の胴に腕を絡ませる。そこにはやらしさなどなく、ただ温もりを求める為だけに。
『さて、俺は村にもう少しいるよ。この村での用も終えたいから。』
『・・・?ただの帰省だったんじゃないの?』
『親父と話をする。』
『太一のお父さんか。厳しい人だよね。』
『ああ・・・・ただ厳しいよ。』
『太一・・・・。』
『また学校でな。』
太一は診察室の扉を開けて去っていった。
♦︎♦︎♦︎♦︎
『父さん。ただ今帰りました。』
『ああ。座りなさい。』
何畳あるのだろうか、数えたことはないがだだっ広い和室に座している羽生家当主。
羽生太蔵。
50過ぎだが、筋肉質な体で日焼けマシンでも入って過ごしているのか、色黒だ。
目は鋭くこちらを睨むように見る。
『・・・・あんまり変わってないな、太一。』
『・・・・。』
『品行方正というより、ただの思春期の拗らせた性欲ザルだな。』
『・・・・。』
『お前はわかっていない。なぜ、私がこの年になっても女に困らないか。』
『それは、当主の権威を・・・。』
『そんなもので、女を陶酔させることは叶わない。』
『では、暴力ですか?』
『暴力か。時にはそれに走る時もあったな。しかし、あれは私の失敗であった。そういう時もあったが、、、、あれも愛ゆえにだ。』
『青髪の使用人。』
『・・・・。』
『女を強姦して、孕ませることすらも愛というのか??』
『なるほど。お前はそう見えたのか。』
『そうでしょう?村八分まで追い込んでおいて・・・。』
『村八分?何のことだ。』
『・・・・。』
『よくわからないが、、、お前はやはりまだまだだな。一つ教えてやる。』
『何でしょうか?』
『別に1人じゃなくていい。ただ、ただ女を愛せ。愛するのだ。愛するのだ。それが当主たる男の器に近づく道筋だ。』
『・・・・。』
よくいうよ。
青髪の使用人を強姦し、孕ませて追い出した張本人が、愛を語るだなんて。なんてお門違いなのだ。
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看護師が来る。
愛すべき人。
『太蔵様。息子さんがいらしたのですか?』
『ああ。あやつは思考が歪んでいてな。』
『そうですか。』
看護師は私に口づけをする。
舌を絡ませる口づけ。
『何というかな、お前が私に抱きついてきただけでそれを隷属した犬のように勘違いしているかのような目つきだ。そしてただの情事を見て、お前を組み伏せているかのように感じているようだ。』
『あら、それは旦那様の歪んだ見方ではないのですか??』
『いやーーーー』
看護師を抱き寄せる。
『私とあの青髪の使用人との情事を、奴は"強姦"と言い切ったのだからな。』




