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戸惑う羽生、困惑する萩島。

いつものバーガーショップ。

ずっといた萩島はそこにはいない。


『なあ、行馬。』


『なんだ、太一?』



『俺の親父ってどんなイメージだ?』



『お前んちの親父さん?偉い人かな。』


『いや、それはそうなんだけど、、』






涼子の言葉が妙に引っかかる。



『あなたは、お父様のように品行方正で女に困らないような、女の愛し方、ちゃんと学ばないとだめよ。それに気づけない人は、私の心なんか掴めやしないんだから。』







『急にどうした?』


ストローでバナナシェイクを飲む行馬。

窓越しには、仲の良さそうなカップルが通る。

店内を見渡すと、高校生のカップルが仲良さげに話をしている。お互いの手を握り、かなり顔が近い。



『なあ、あそこのカップルってどっちが優位なんだろうなあ?』


『優位って?』



『いや、恋人ってどっちかが最初に好きになって、それからもう片方が好きになるだろ?』



『んーーー両思いってパターンは?』



『両思いになるにしろ、最初のきっかけはどっちかが先だろ??』



『うーん、そうかもな。』



『だとしたら、先に惚れた方が優位なのか?それとも先に惚れても手玉に取った方が優位なのか?わからない。』



『うーん、優位とかそんなんじゃない気もするけどよ。まあ、どっちがぞっこんかは、あれじゃわからんよなあ。』



バナナシェイクが飲み終わり名残惜しそうな顔をする行馬。








『それとお前の父さんがどう関係する?』


行馬は訝しげな表情でこちらの顔を覗く。



『いや、なんだろうな。人の心を掌握するってどんな感じなのかなあと思ってね。』




『太一。』



『なんだ?』


行馬の方を見ると、じっとこちらを見ている。突き刺すような視線で。




『恋愛はさ、上手くいってるときは、優位とかどっちが好きとかぞっこんとかはわからんもんよ。1番わかるのは、、泥沼になった時。例えば振られた方はまだ好きで、振った方はちょっといいなと思う子がいて。でもいいなって思っている子もいいけど、前の恋人にもちょっと未練があって。選ぶ立場かそうでないか、かなあ。なあ、太一。』



肩をポンと叩かれる。行馬は冷めた目で口元だけ口角をあげる。






『お前は今、選ぶ立場か?選ばれる立場か?』







♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

『こんな写真どうしろって言うのよ。』


三井がゆきずりの男とホテルに入る写真。


別れさせる為の写真だ。これを太一の机に?




『なんだか、気が引けるわ。』



自分のこんなビビりなところが、おそらく三井に太一を取られた所以なんだろう。深いため息を殺し、トイレから出る。

結局、写真は机に入れなかった。気が引けた。ただそれだけ。だってこんなの。でも、太一を抱けるのに。三井さん、許せない。だから、写真はなんとか利用したい。これで、太一は三井さんに幻滅する。そこに私が慰めて。慰めて、慰めて。慰みものになればいいじゃない。そのまま避妊しないで子どもを宿せば、太一は永遠に私のもの。ふふふ、、、これなら太一は品行方正のままよ。だって浮気でもないし、たまたま出来ちゃったんだから。いや、品行方正なら避妊はしたことにしよう。コンドームに穴をあけて、失敗したことにしよう。失敗した責任を取り、私をお嫁さんに迎えれば品行方正よ。この作戦よ。



ガラッと教室の扉を開ける。


『あ、萩島ちゃんおはようー。』


クラスメイトが挨拶をしてくる。

『うん、おはようー。』


笑顔でさりげなく。下卑た考えがバレないように取り繕う。



『あ、そーいや、聞いたー?』


『え、何を?』










『三井さん、羽生に振られたんだって。』






♦︎♦︎♦︎♦︎

『やあ、萩島。』


夕方の図書館。行馬がいつものように、参考書を開いて座っていた。



『行馬。図書委員、いや洞島はどこ?』


『洞島さん、今日は学校来てないみたいだよ。』


『・・・・っ。』


拳を握りしめて、歯を噛む。



『どうしたんだよ、そんな怖い顔して。バナナ食べる?洞島さんからのお裾分けだけど。』



『太一が三井さんを振った。』



『ああ、みたいだね。』


『写真撮った意味ないじゃない!!』



『結果良かったじゃないか。太一が傷付かずに済んで。』


呑気にバナナ食べやがって。



『筋書き通りじゃないの!どうするのよ・・・。』



『どうするも何も、普通に太一にアタックすれば??』



『だからっ!どうやって!?失敗したし、何話せばいいかわからないし、話すのも気まずいし、、、』



行馬は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。





『ふははははははははははは!!!どうやってって、それが彼女持ちを寝取ろうとしたやつの言い草かよっ!?一度の失敗で!?もう一回言えば?抱いてくださいって。太一は今、フリーなんだからさっ、別に後腐れないだろ?だいたいさ、太一は別になんとも思ってないよ?自意識過剰だよ?萩島。抱いてくださいって言えよ!!』



唐突に壊れたブリキのように錯乱する行馬。


『き、行馬・・・・。』


『いいかあ、萩島あっ。』


机を飛び越えて瞬く間に詰め寄る。



『また、三井に取られるぞ?いいのか?三井に太一が犯されても。』




全身の血の気が引く様な感覚に陥る。

そうだ。

三井に抱かれるくらいなら、何度でも何度でも。




『そう、抱いてくださいじゃないんだよ。お前が無理やりにでも抱け。終わったあとに、お前があとから言うんだよ。責任とってよねって。』



行馬は鬼気迫る表情だ。しかし、私はこれが引き金で太一に迫ることになった。そうあの時の判断ミス。私の運命はここで決まった。

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