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俺の好きな人

『たーいち!』


『なんだ、バナナ星人。』


保健室でサボってると行馬がやってきた。


『バナナ食うか?』


『いらね、さっき貰ったから。』


『?ああそう。ところで三井ちゃんとは最近どうなのよ?』


『どうもこうもないよ。普通。』


『もうその、、したのか?』


『しないよ。まだ付き合ってそんな期間たってないし。』


『えー、そうなのか。家行ったんじゃないの?』



『ああ行ったよ。でも、そんなんじゃないから。』





『萩島も心配してたぞ。』



『そう、、、萩島がね。』


あの時の萩島は俺に抱かれにきたのでなく、抱こうとしてきた。別に萩島くらいの女子なら抱いても構わない。ただ、抱きに来た事実が憎い。

それに品行方正でないのだ、今の状況ならば。



『最近ずっと学校休みなんだよな。太一、なんか知ってる??』


『・・・。いや、知らない。』



『そうか。見舞い行ったんだけどね。図書委員と。元気なかったなあ。』



図書委員と?


保健室の閉まっているカーテンの方を一瞥する。



『まあ、いいや。また見舞い行くけど、お前も行く??』



『・・・今はまだ、行かない。』


『あっそ。じゃあ、また。』



行馬は立ち上がり、保健室を出ていった。



アンタもわかっているだろう。俺は、三井との付き合う経緯も萩島に呼び出された経緯も気に食わないのだ。俺が欲して、俺が組み伏せて従わせる。そうして、犬のように服従させたいのだ。

かつ品行方正にそれを行う。


今の状況だとかなり分が悪い。

どうも同じ学校に2人いるとなると厳しそうだ。

学校だから厳しいのだ。



わかるだろ?だから、アンタがこの筋書きで望むような展開にするには、やはり萩島の俺への執着心と三井の虚栄心、自己肯定感の低さからくる他者を蹴落としたい潜在意識を使うのが1番だろう。



そうだろう?





カーテンを開ける。



『図書委員さん?それで、あんたは萩島に近づいて何か焚き付けたわけだよな?』



『あら。あなたがあの時萩島に抱かれてれば、三井が勝手に暴走してくれたのに。』


青いウェーブのかかった髪。バナナだけでは補いきれない栄養のなさからくる、華奢な体。顔は西洋のドールのように造形が美しい。少し抱きしめたら折れてしまいそうな体。俺が屈服させたい女はそこにいた。




『涼子、愛してるよ。』


『ふふ、、まだだめよ。あなたに服従するにはまだ敬意の念を抱けないもの。私をもっと楽しませて。』


涼子は俺の胸板を服越しに指でなぞる。



洞島涼子。

俺が本当に欲しいオンナ



♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

『いやあ、、DJ Rem、よ、よかったよ。』


男はだらしなく抱きついてくる。

『ちょうど、リビドーが高まっていたからよかったの。』


『そ、そうか。タバコ吸うか?』


『要らない。それより、もう1回。』


男を組み伏せた。



私に組み伏せられる男。

体も私より大きいくせにだらしない。

私なんかにーーーー








『お前なんかーーーー』








くっ。

男の首を絞める。


『Rem、なかなかマニアックだね。』


男の顔が青くなっていく。

私の腕をペチペチ叩く。



ギリギリのところで離す。



『はあ、はあ。いやいや、危なかったー。死んじゃうところだったよ。』



『あーごめん、ごめん。』


興醒めだ。あたりを見渡す。男のつけていたベルトがある。


『これで叩いたら痛いのかしら?』






叩く。


私なんかに屈強な男が。

私なんかにーーーー






『お前なんかーーーーー出来損ないなんだから。』




私はそう、出来損ない。


男は嬌声をあげつづける。




私は三井の出来損ない。


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