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スキナヒトガホカノオンナニケガサレタ

授業終わりの図書館。

私はある男とそこにいた。



爪を噛む。

最近はとにかく受験に向けて追い込みをかけている。


勉強を教えてくれるのが太一だったのなら良かったのに。


『萩島!ここちげえぞっ!』


『わっ、ああえー!なんでよっ、合ってるじゃない!!』


『いやいや・・・。』


行馬が勉強を見てくれている。







『なあ、萩島?なんで、予備校通うなんて嘘ついたんだ??』


『いやあ、なんか太一と三井さんの邪魔じゃん?私達。一応、幼なじみに気を使ってあげてるというか。』



嘘だ。

いつも、お昼ご飯デートや、帰宅デートをつけている。


あまりにも辛すぎるから、極力関わりを避けたくなったのが本音だが、、


覗き見ないと気が済まないのだ。


まだ大丈夫。

まだ大丈夫。

一線はまだ超えてない。



それを言い聞かせる為に。

何の為にやるのだ。


彼氏彼女なら近いうちにそんなイベントくらいあるだろう。





『いや、萩島も気使えるようになったんだなあ。』


『どういう意味よ。』


『怒るなよ。ほら、集中力落ちてるんじゃないか?バナナ食べるか?』


『要らないわよ!なんで、図書館にバナナがあるのよ!!』


『さあ?図書委員さんもバナナ好きなんじゃないか??』



教材に向き合う。

数学だ。難しいが、行馬が私の理解度を確かめながら単元を選ぶので、ちょうど良い負荷なのだ。

だからこそ。太一と三井さんの事を気にする余白が出来てしまう。


いくらか時間が経った。


ガラッ!



『ああ図書委員さん?もう閉館時間ですか?これは、これは失礼しました。』


行馬はぺこぺこする。


『・・・。』



図書委員と目が合う。いくらか気まずい。

向こうは明らか目を逸らす。



『はいはい、さっさと出て行きますよーだ。』


カバンに教材を入れ、立ち上がる。



『じゃあ図書委員さんまた。』


行馬は図書委員に手を振る。

図書委員は手をふり返す。



忌々しい。





『あー!?』


行馬が廊下の窓際に駆け寄る。



『あれ、三井さんと太一じゃね?』


『え・・・・?』


図書館からしか見えない死角になっている部分。

ちょうど家庭科室のまん前。家庭科室はこの時間誰もいない。






(まさかね・・・)



『おい、萩島。』


『わっ、な何よっ!』










『ちょっと覗き見しない?』




♦︎♦︎♦︎



ある夕方。誰もいない校舎裏。

冷えたコンクリートに座る僕と彼女。


彼女は体を僕に委ね、絡みつくように抱きしめてきた。いや、抱きしめられにきた。


僕は、彼女と手を繋ぎキスをした。


『えへへ、キスしちゃったね!』


流れるショートボブからはシャンプーの匂いがする。それはとても官能的で刺激的だ。ここが学校の校舎裏でなければ理性が外れていたかもしれない。


彼女は言う。


『ねえ、もっとさ、見せつけてあげようよ。』


『え?』


フレンチキスでなく、舌を絡ませる大人のキス。


彼女は誰にみせつけるのか。

今まで見せたことの無い様な妖艶な表情で僕を見つめる。



あたりを見渡す。

誰もいない。



いったい誰に見せつけていたのだろうか。

『今度はさ、羽生くんち、でしようよ。』


この空間を支配するのは僕と目の前のショートボブの僕の彼女だけ。

そう信じているから、大人のキスは続いていく。



しかし彼女の視線は遠くの植木のあたりに。

悪戯な笑みを浮かべながら、執拗にキスを続ける。その姿は妖艶で官能的で、そして彼女の業の深さを感じるものだった。




『れ、玲奈、なんなら今からでもいいぞ?』


『ダメよ。今日は女の子の日だから。』



『ああそうか。』



『ふふ、やっぱりしたかったんだね?太一クンのえっち。』



『いや・・・あのっ!』


『いいの。私がしっかりオンナとして見てもらえてるって事でしょ?』


『うぅ。』


『今度の土曜日。』


『え?』



『泊まりに行くね。』


突然の申し出。



『あ、あとさ。金曜日とかよく寝ておいてね。じゃあ、帰ろ?太一。』








♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


『わあ、いよいよだなっ!なあ、萩島。』


『・・・・。』


『萩島?』



『生々しい現場見ちゃったね。うん、ぶっちゃけちょっと気持ちわるい。帰るね。』



萩島は走り去っていった。

地面に目を落とす。

何か濡れたような後がポツポツと。


土を湿らせていたのだった。

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