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エイプリルフールということにした。

萩島玲、中学2年の時の話だ。

私達がまだ、故郷の荻羽生村にいた頃だ。


私達の村は、学校が1つしかなく小学校も中学も一緒になっている小さな学校だった。


そんなところで私達3人はずっと一緒だった。



幼なじみ。

心地よい関係。


いつまでも続くと思っていた。


小学校のときは泣き虫だった太一も、

中学になると体が大きくなりすらっとしたスタイルになって男の子から男になっていくのがわかった。


体育着から見える腕。少し血管が浮き出ていて、

体育のバスケをしているとそこに目がいく。

シュートの際に少し見える腹筋。



『わ、ワタシ、何を見てるの・・・!』


『萩島あ!』


『わ!何!?行馬!』


『いや、走り幅跳び、次お前の番だぞ?』



『・・・わ、わかってるわよ!』



私の日常は気がついたら、羽生太一という男に支配されていったのだ。




いつもは3人だが、たまたま行馬が用があっていないと2人で帰ることもあった。


畦道を2人で歩く。



『行馬は今日も、東京だっけ?』


『うん。すごいよね、ボランティアか、なんかでシングルマザーの支援でしょ?すごいなあ。』


うちの中学は社会貢献活動を授業として認めており、好奇心旺盛な行馬は、よく上京していた。



『ねえ、太一は中学卒業したら、どうするの?』



『うーん、俺は家からは学歴ちゃんとつけろって言われてるからなあ。上京して高校いって、大学行った後金融機関に勤めたら村に帰るよ。』


『そっか、羽生家の時期当主だもんね。凄いなあ。』


『いやー大したことないよ。しがらみ多くて大変。萩島はどうすんの?』


『私はわからない。高校は出なさいって言われてるけど。』




『じゃあさ!じゃあさ!行馬と3人で同じ高校行かね?』


『ええ!』


太一と一緒にいられる。



『で、でも太一の行く学校、頭いいんでしょ?』


『大丈夫だよ!今から勉強すれば!そうだ、萩島を特訓する勉強会やろうぜっ!!ウチだと無理だから公民館の空き部屋とか図書館でさっ!』



『で、でも。』


手を引かれる。



『いいから!善は急げだ!!』



その時から太一の笑顔は私を掴んで離さないのだ。

この笑顔が向けられなくなったら、私は。。。





私は一度冒険した。


中学3年の4月1日。太一との帰り道。

農道脇の桜の木の下で。





『太一、あのね。聞いて欲しいの。』


『な、なんだよ?改まって。』



『あのね、私ね、ずっとね、太一が・・・』


『え?』




『好き・・・・。』




言ってしまった。引き返せない。

太一は慌てているのがわかる。突然の告白。






『おーい、萩島!太一!』


なんというタイミングか、行馬が東京から戻ってきた。





『あ、ああ!これドッキリだな!やだなあ、萩島!エイプリルフールにしてはびっくりしたぞ!おーい、行馬あ!』


『え・・・・。』


『ん?なんかお取り込み中?あ、それよりさ!見てよ!バナナたくさん買ってきた!』


『バナナ好きだな、行馬。』



行馬にバレた!?



行馬はこちらを一瞥すると高笑いした。


『まあ、よくわからないけど、太一は毎年エイプリルフールの餌食になるからなあ!萩島、あんまり揶揄うなよー!』



違う。この気持ちは嘘じゃない。

言うんだ。本当に太一が好きだって。



口を開く。


言うんだ!














『やだなあ、太一。本気だと思った?』









私の意気地なし。



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