あなたが見てくれる
我が校の文化祭は、2日のうち、初日が校内のみ、2日目が地域の人も遊びに来れるようになっている。
初日は学生だけなので、ドリンクの売上がさほど見込めない。
決戦は2日目である。そこそこの人は毎年集まるが、DJブースとなると地域のおじさんおばさんでは集客が見込めないのだ。
『・・・ということで宣伝活動用のPVを作成し、SNSを使い宣伝する!!他校に人脈があるから、そこで拡散してもらうのだっ!!』
『はあ・・・。』
行馬はアイデアマンで行動力もあるのだが、学生の手には余るくらいの力量なのだ。
『で、誰がPV作るのよ?』
萩島はキリッと行馬を睨む。
その瞳が物語るのは、、
『ワタシはやらんぞ。』という明確な決意表明だった。
俺と三井がステージに立つ以上、雑用はどうしても行馬か萩島になる。
『萩島!心配するなっ!PVや宣伝動画に出るのは、三井とお前なのだからなっ!』
『え?』
『え?』
『そりゃ、そうよね。』
三井が吐き捨てるように言う。
『だって、羽生くんと行馬くんじゃ、華がないもの。』
『そ、そんなこと、、』
萩島が言いかけて黙る。顔が真っ赤だ。
『文化祭に出会いを求める男子は多いのよ。私のステージPVと萩島の売り子姿を撮影し、その動画を拡散してもらうっ!!だから、撮影はお前だ!太一っ!』
♦︎♦︎♦︎
『よし、じゃあ三井のPVはこんなものかな。』
『なんか適当な感じー。』
『いや、いや、素材がいいから良く写ってるよ。』
『まあ、羽生くんがそういうなら。』
『な、俺の時とリアクションが違う!?』
さて、なんでこんな服装させられているのか。
『なんで、DJの売り子がメイドなのよ!?行馬っ!』
『いや、文化祭にはメイド服だろ。』
『そだね、萩ちゃん、文化祭を舐めちゃダメだよ。文化祭の6割はメイドで、できてるから。』
『ぬあ!はじめて聞いたけど!?』
『撮るぞー。』
『あ、うん。』
太一がスマホをかざす。
太一がレンズ越しにわたしだけを見てくれていて
私が綺麗に写るように注意を払ってくれている。
『うん、いい感じ。じゃあ、ちょっとドリンクを俺に渡す感じで。』
カンペが渡される。
『はい!プルプルプルルンルンルン!特製、レイちゃんのミックスジュースおまちどうさまっ!!』
『はい、カット!!いやあ、いいよお、玲ちゅわあああん。』
『行馬、キモい。』
『ああキモいな。』
『ゴミね。』
『ゴミだとか、キモいと言われても客が入ればなんでもいいのだよ?ふーはっはっは!!』
行馬曰く、メイド服と決め台詞が大事なのだそう。私も最初抵抗したが、太一に言われたのだ。
『萩島、似合うと思うけどなあ。』
ズルい。いつもズルい。ちょっとイケメンになったからってズルい。
・・・太一。




