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9.私たちの愛娘 (エドモンド視点)



 私と妻のセリカに、娘ができた。


 私とセリカは最初政略結婚だった。

 だが、だんだんお互いに惹かれあい、今では愛しあっている。


 そんな愛しい妻との子供が可愛くないわけがなかった。

 



 娘のクリスティーナは10歳になった。


 ティナは親の欲目を抜いてもかわいいと思う。

 娘に変な虫がつかないように、常に目を光らせていた。

 縁談もたくさん来ていたがすべて断っていた。



 娘には好きになった人と結婚して欲しかったからだ。

 それに、娘が好きになった人ならば家柄を問うつもりはなかった。

 それはセリカと相談して決めたことだった。

 我が家は公爵家ということもあり、それほど金銭的にも家柄的にも困っていなかった。


 だが王家からも縁談の話が来てしまったのだ。

 さすがに、王家からの縁談はすぐに断ることができなかった。

 だから話を先にするということで王宮に行くことになった。


 いくら王家が相手でも私とセリカはそれでも意見を変えなかった。

 ティナが殿下に恋をして婚約したいというのなら話は別だが……

 それくらい私たちは娘を愛していた。

 とりあえず私たちはその婚約の件については、婚約者ではなく、婚約者候補でどうにか収まった。

 



 実際に私、セリカ、陛下とで話をした。

 途中、陛下がティナと会いたいというものだから執務室まで連れてきて会わせた。

 本当は会わせたくはなかったが……



 だが、陛下は殿下とティナを引き合わせた。

 陛下は娘が殿下に惚れれば、婚約がうまくいくかもしれないという考えがすぐにわかってしまった。

 殿下は娘と同い年にして頭脳明晰で容姿も良く、かつ王族である。

 性格に多少の難はあったものの、若い貴族令嬢たちにはとても人気がある。

 


 

 


 だが陛下の思惑は外れた。

 ティナは見た感じ殿下に恋をしていなかった。

 


 そのあともティナは殿下と婚約したい、ということを言わなかったため、私の中で()()()確信に変わった。

 それから私は、全力で婚約が成立しないように手を回した。

 そう、あくまで婚約者()()ということにした。

 こういうときに権力は役に立つのだ。

 

 

 






 その日の夕食はいつも通りに雑談しながら食べていた。


 だが、突然見知らぬ男性がティナの横に現れた。

 おそらく転移を使えることから精霊もしくは転移を使うことのできる精霊使いということが分かった。


 だが、私はあんなに人間に近い姿をした精霊は見たことはなかった。

 我が家の図書室の記録書には、上位以上の精霊は人に近いと姿を持つことがあるということが書かれていたがその記録書自体が古く、正確かどうかわからなかったのだ。

 



 とにかくティナは突然現れたその人に対し、驚いていないため彼女の知り合いという考えに至った。

 

 「ティナ、どういうことか後で説明してくれるね?」


 詳しく話を聞きたかった私は夕食後に説明を求めた。







 ティナの話をすべて聞き終わった後、正直驚きを隠せなかった。

 それは妻も同様だった。


 まさか娘が精霊を束ねる精霊王と契約しているとは思わなかった。


 それ以外にも驚くことはたくさんあったのだが、その話を聞き終わった瞬間思ったことがあった。



 --娘を守らねば、と


 こんなことがほかの貴族たちが知ってしまえば、ティナを利用しようとするやつが出てくるかもしれなかったのだ。

 それだけではなかった。

 彼女の自由が奪われ、下手をすれば恋愛結婚ではなく政略結婚をさせてしまう可能性も出てきかねなかった。


 まあ他にも貴族のバランスといったことも問題の一つでもあった。

 


 「ところで、その…精霊王と契約しているのは………」


 「他言無用、ですよね? そうします」


 

 娘が賢すぎる!

 そしてかわいいっ!

 

 心の内で叫んだ。





 



 私とセリカは部屋へ戻った。

 部屋に戻った瞬間────



 「セリカ! 娘が可愛すぎる!!」


 「あなた、ティナが可愛いのは当たり前ですけどそのテンションで直接本人に言わないほうがいいですよ? いつもの威厳がなく、少し引かれてしまうかもしれませんね」


 その言葉で想像してしまった。

 娘に引かれてしまうのはつらい、つらすぎる。


 「うっ……それは気を付ける。だが、練習場を使ってもいいと言ったときのあの嬉しそうな顔は天使のようだった!!」


 「えぇ、本当に」



 ────この夜二人は娘の話で盛り上がるのだった









 私は最初の方は練習場の隅からこっそり娘の精霊魔法の練習を見ていた。

 途中から仕事が忙しくなり、見れなくなった。


 そこで夕食の席でティナに練習はうまくいっているか、と聞いたら魔法を極めたと言ってきたのだ。

 しかも、魔法だけではなく武術と体術も、ときた。



 やはり私たちの娘は天才だ!

 そう内心叫んだ。



 ────エドモンドはかなりの親バカだったのだ。




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