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8.精霊魔法



 「もう!どうしてうまくいかないのよ!!」


 私は今練習場にいる。

 そして苛ついていた。



 「まぁまぁ、最初からうまくいく人なんていないぞ」



 レイは空中に浮きながら言ってきた。

 

 私は今精霊魔法の練習をしていた。

 うまくいくかと思ったが、コントロールができないのである。

 威力は申し分ないのだ。

 


 一番の問題は、発動する方向なのだ。

 発動してほしい方向と真逆の方向に発動してしまうのだ。

 原因はよくわからない。

 


 そこを直せば完璧なのだ。

 私はとにかく苦戦していた。


 ちなみにレイは全属性の魔法、しかも全種類使うことが可能なのだ。

 つまり、契約している私も同じ魔法を使えるのだ。

 精霊王と言う名前は伊達じゃないらしい。



 「ティナ、魔法を使うには人それぞれ違うがコツが必要となるんだ。それをうまく掴みさえすれば、きちんと魔法は発動すると思うぞ」


 「コツねえ……」



 コツといわれてもすぐには掴めない。


 そこで、前世でよく流行っていた魔法ものの本でイメージするとうまくいったというのがあったなと思いだす。


 試しにイメージしながら発動してみる。

 



 しばらくはうまくいかなかったが試行錯誤して、何発目かでようやく発動したい方向に打つことができた。


 「やった!レイできたよ!」


 嬉しくてついレイに抱き着いてしまった。



 「あっ、ごめん……」


 すぐに冷静になって自分のしたことが恥ずかしくなり、俯いた。



 「だ、大丈夫だ……」



 レイは少し動揺したような態度だった。




 (迷惑だったかな………と、とりあえず今は気持ち切り替えなきゃ!)



 

 コツをつかんだクリスティーナは、それを忘れないように何発も発動する。

 そのうち、精神的にも肉体的にも疲れたのでその日の練習はそれで終いにした。



 次の日もそのまた次の日も、同じ練習を何回もした。

 一回でも失敗したらまた次の日練習に来るようにした。


 一つの属性を極めるのでさえ、難しいのにクリスティーナは全属性、それも全種類を数か月で極めてしまったのである。

 彼女は天才は天才でも努力の天才だったのだ。

 クリスティーナはコツを掴んでからの呑み込みが速かったのだ。



 実質彼女は世界最強の精霊使いだと思う。

 だが、実戦での経験はないので経験をたくさん積んだ人と戦えば負けてしまうかもしれない。

 精霊魔法だけの戦いならば、余裕だろう。

 だが、武術や体術も入った戦闘となると正直厳しかった。



 それをわかっていたかのように彼女はレイに武術、体術を乞うた。


 

 レイは長く生きていただけあって武術、体術も一通りできていた。

 さすがと言うべきである。



 さらに日が経つにつれ、クリスティーナはどんどん強くなっていった。



 「レイ、今日は何を教えてくれるんですの?」


 「いや、実はティナには教えることがないんだ」


 「え?」


 「俺が教えてやれることは、全部教えた。後は実戦でたくさん経験を積めばいいと思う」



 ドヤ顔で言われてしまった。

 こういう時にはどうやって返すのが正解なんでしょうね……



 「実戦ですか…やはり今度あそこに行ってみますか」


 私は一つ心当たりがあったので今度機会があったら行こうと思った。



 



 「精霊魔法の練習はうまくいっているか?」



 夕食の席でお父様に聞かれた。



 「はい!全種類の魔法を覚えました!!」


 「ティナ、それは一属性の全種類ということかね?だとしたらすごいじゃないか!」


 「いえ、全属性のです」


 「は?」


 席を立ちあがったお父様からまぬけな声が出てしまいました。

 お母様は声に出さなかっただけでかなり驚いているらしかった。


 「精霊魔法はすべて極めたということか?」


 


 お父様はすぐに席に座り直し、確認のためか遠回しにではなく直球に聞いてきた。



 「はい!」


 「精霊魔法を極めたのだったら、武術か体術をやってみてはどうかしら?」




 今まで黙っていたお母様が武術と体術を進めてきた。

 



 「残念ながらもう、両方とも習ってしまいました」


 「だ、誰に習ったの!?家庭教師はつけてなかったはずよ?」




 今度はお母様が席を立ってしまった。

 すぐにコホンと咳払いをし、席に座った。



 「レイに習いました。物知りですよね!」


 「レイ殿か。すごいな」



 お父様は感心したような顔をしていた。


 「それにしてもこの短期間でよくここまで覚えられたな、さすがだ」


 「えぇ、本当に。あなたは私たちの自慢の娘よ!」



 両親に褒められ、えへへと照れるような笑顔になった。



 (ふふふ、褒められるのって結構嬉しいんだよね)



 そう思ったときに頭に声が響いた。

 念話だった。



 『いい両親だな』



 --レイはそう私に言ってきた



 (両親が褒められるのは悪い気がしないわ。むしろ誇らしいわね!)






次回はエドモンド(お父様)視点でいきます!

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