7.ばれてしまいました
王宮に行ってから一気に色々なことがあり、疲れてしまった。
自室に戻り、着替えてベットに飛び込んだ。
その瞬間緊張が解けたらしく、眠気が一気に襲ってきた。
(あ、やばい…魔法の試し打ちしたかったのに……)
そこから記憶がなかったので、そこで寝てしまったようだった。
「はわぁぁ~~~今何時~?」
『わかんないけど~もう夜だよ~』
傍にいた精霊が答えてくれた。
すると、タイミング良くエミリーが入ってきて、夕食の時間だと教えてくれた。
私は、夕食を食べる部屋であるダイニングルームに行き、席に着いた。
お父様とお母様は先に着いていたので私待ちだったらしい。
料理が運ばれ、それらを食べる。
夕食の時間はその一日何があったのかなどの雑談をして終わる。
『美味しそうだな、ティナ』
突然頭に声が響いた。
その声の持ち主は、レイだった。
『レイ!?』
私が座っている席の隣に転移してきたらしい。
『今念話で話している』
念話は精霊とその契約者だけが聞こえる心の会話みたいなものだった。
『皆、レイのこと見えるんじゃ……!?』
『いや、姿を消しているはずだから見えないと思うぞ』
『でも見られてる気がするんだけど……気のせい?』
そう、お父様とお母様だけでなく傍に控えていた使用人たち全員が私の隣を凝視していたのだ。
もう一度言おう。私ではなく、私の隣を、だ。
つまり、皆私の隣にいるレイを見ていた。
お父様とお母様の方を見ると、目を見張るように誰だこいつは的な目だった。
それはそうだろう。
もし、本当に見えているのならば見知らぬ人、しかも男性がいきなり転移してきたのだ。
『見えてると思うんだけど、本当に姿消したの?』
気のせいだと感じられない私はもう一度確認のために聞いた。
『ああぁーー!!』
『な、なに? どうしたの?』
急に叫んだレイにびっくりした。
『昼間ティナと会ったときに一応実体にしたんだよね。で、そのままになってたっぽい』
『つまり?』
『ほかの人にも見えてるね』
実体になった精霊は、契約をしていない他の人にも見えるのだ。
しばらく続いていた沈黙を破ったのはお父様だった。
「ティナ、どういうことか後で説明してくれるね?」
「わかりました、お父様」
その日の食事はその後ほとんど沈黙だった。
夕食が終わって少ししたらお父様の執務室に呼ばれた。
執務室に入ると、両親は入ってすぐ傍にあるソファに横並びで座っていた。
二人は私を向かいにあるもう一つの方に座らせた。
「さあティナ、説明してくれ」
そう言われた私は、前世があること以外のことを大体話した。
私が契約していない精霊を認識し話せること、精霊の愛し子であること、精霊王と契約したこと。
すべてを説明をし終え、両親を見ると驚きすぎたのか顔が固まっていた。
まあ、一気に話されてそうならないわけがないのだが…
「そしてこちらが精霊王のレイヴンです。レイと呼んでほしいそうです」
「レイヴンだ、よろしく」
そう言われた両親は我に返った。
「あ、あぁ。クリスティーナの父のエドモンド・フォルクです」
「母のセリカ・フォルクですわ」
さすがに精霊王となると貴族ではトップを争うほどの人でも少し緊張しているようだった。
精霊王の身分としては国王と同等、もしくはそれ以上だから当然と言えば当然なのかも知れないが。
最初はレイのことを含め隠そうとしたが、ばれてしまったのでとことん甘えるとしよう。
「お父様、私精霊魔法の練習をしたいのです。練習場を使ってもよろしいですか?」
この公爵家には練習場という場所が存在し、そこで精霊魔法の練習や訓練などができるようになっている。
ちなみにそこには結界がはってあり、壊れる心配がないので練習する場所にはうってつけなのだ。
「あぁ、もちろんだよ。明日にでも使えるようにしておこう」
「ありがとうございます!」
「ところで、その…精霊王と契約しているのは………」
「他言無用、ですよね? そうします」
「あぁ、頼む」
他の貴族たちに知られれば、今の貴族の力のバランス大きく変わってしまうからだった。
それに私は両親に恵まれていると思う。
娘が精霊王と契約していると知れば、政治の道具として使う者も少なくはないだろう。私は、ばれたときにそれを一番恐れていたのだったが、その心配はいらぬものだったようだ。
二人は私を利用するどころか、その力を周りから隠し、守ろうとしてくれているのだ。
それには、感謝してもしきれない。
一通り説明等が終わったため、私は自室に戻った。




