37.盗まれた帝国の魔道具
皆さんこんにちは!
新しく連載で『気づいたらもふもふに囲まれていました』を投稿いたしました。
そちらと並行して書いていくので、今後ともよろしくお願いします(*^^*)
「コホンッ………先ほどは失礼した。俺はこのバルジーナ帝国第一皇子、ルカ・バルジーナだ」
「いえ、こちらこそ失礼いたしました。私はティナと申します。右から順にエミリーとレイです」
私たちは戸惑いながらも、自己紹介から始めた。
街でルカ皇子は何をしていたのかしら? 待って、今ルカ皇子って言った?ルカってあのルカよね。ヘレン様が話していた攻略対象の名前よね。
まさかと思ってレイの方を見ると、私と同じことを思っていたのか微妙そうな表情をしていた。
「実はこの事態は一ヶ月ほど前からなんだ。それまではとても豊かな国で街も活気にあふれていたんだ」
「何かこうなった心当たりとかはあるんですか?」
「……心当たりというか、この事態に陥った理由はわかっているんだ。それには少し昔の話をしなければならない」
ルカ皇子は昔の、このバルジーナ帝国建国当初の話をした。
この国は元々今のような気候だった。
けれど初代皇帝は友人である隣国の初代マルクス国王の契約精霊であった精霊王にある魔道具をもらった。その魔道具は何種類もの魔法が封じられており、国全体に結界を張るためのものだったそうだ。
皇帝はその魔道具を使い、帝国の気候は良くなった。
それから民と協力し合って皇帝自ら土を耕し、種をまき、ともに汗を流してこの帝国をここまで大きく豊かにしたと言われている。
これは国民の間で絵本にされているほど、有名な話だ。
「けれどこの国を支えてきた魔道具が無くなった────いや、何者かに盗まれたのだ。それからは見ての通りこの有り様だ。………本当はその人物も知っているのだが、証拠がないと訴えられないような身分でな」
「因みにその人物はどなたかお聞きしても?」
「お恥ずかしながら────────なんだ」
私たちは驚きで声が出なかった。
なぜその人物が魔道具を盗むのか、と思ってしまうのは当然だった。
それならば証拠を集めて本人に聞くまでだ。
「ルカ皇子、私たちにも協力させてください。事情を知ったからには放っておけないというか………」
「ありがとう!」
ルカ皇子はそう言いながら私の手を握った。
けれど次の瞬間、ルカ皇子が握っていたはずの私の手はレイが握っていた。
そして全身の毛を逆立てた猫のように警戒して私を少し持ち上げたかと思えば、自分の膝の上に乗せた。
私を後ろから抱きしめるように手を回し、そのまま目を閉じて私の背中に顔を埋めた。
「……ひゃっ!」
「可愛い……」
エミリーはまたかというように軽くため息をつき、ルカ皇子に至っては今更ながら私たちの関係を察したようで私たちと皇城で会う前に言ったことを思い返しているのか、顔が次第に強張る。
しばらく沈黙が続いたが、それを破ったのはルカ皇子だった。
「ま、まあとにかく……魔法具のことよろしく頼んだ。もし必要ならば皇城の部屋を貸そう」
「ありがとうございます。魔法具のことならば任せてください」
き、気まずい。
一先ずこれで解散とはなったが、今後ルカ皇子とあっただけでも今日のことを思い出しそうだ。
こんな状態で証拠なんて見つけられるのだろうか……そんな思いが頭をよぎったが、その心配はすぐに消えることとなる。




