31.二年早い断罪イベント
更新が遅くなってしまい、すみません。
それではどうぞ!
「クリスティーナ嬢! 貴様との婚約は破棄させてもらう! そしてここにいるヘレンと婚約する!」
「アルフォード様……」
「大丈夫だ、ヘレン。きっと父上も理解してくれるさ」
「そうね」
殿下の声は会場に響き渡り、一気に会場が静まりかえった。
それと同時に会場内にいるほとんどの人が私たちに注目している。
周りの目を気にしていないのか二人は腕を組んで寄り添うように立ち、ヘレン様は眉を寄せて捨てられた子犬のように目を潤ませていた。こんな目を向けられたら庇護欲も湧くだろう。
だが殿下の腕で陰になっているのをいいことに、この状況に喜んでいるような笑みを浮かばせていた。
今日は学園の卒業パーティーだが私たちのではなく、私たちの二歳上の方たちのだった。
そんな楽しい雰囲気の中こんな騒ぎを起こされて迷惑だろう。
私もそう思っているし。
「そもそも私という婚約者がいながら、なぜそこの男といつも一緒にいるのだ! それにお前はヘレンに対して様々な嫌がらせを行ったそうじゃないか。金で雇った連中に襲わせたり、四日前には階段から突き飛ばしたそうじゃないか! 今ここで謝罪しろ。しなければ国外追放する!」
「……………………」
え、どこから突っ込んだらいいのかわからない。
婚約者? 誰が誰の? 四日前私学園に来ていませんけど。
以前陛下に話した時に、撤回するって言ってたけどそれは噂に対してだけど……なんで噂の張本人が勘違いしちゃっているわけ?
まさかここまで馬鹿だとは思わなかった…………。
先ほども話したように以前陛下から撤回されていたので、そのことに対し周囲は困惑してざわつき出した。
「私は──────」
「何の騒ぎだ!」
「父上! なぜここに!?」
私の言葉を遮って会場に入ってきたのは陛下だった。
さっきから陰で出ていくタイミングを見計らっていたのに、今来ました風に登場したよ。
「アルフォード、婚約破棄はできない。そもそもクリスティーナ嬢とは婚約などしていないからな。それにそこにいるヘレン嬢との婚約も認められん」
「な、なぜです! ヘレンは光の上位精霊と契約しているのですよ!?」
「…………お前たちは怒らせてはいけない人を怒らせたというのに。クリスティーナ嬢、先日のことで怪しんでいる者も出てきているだろう。そろそろ公表してもいいのではないか?」
最初の怒らせてはいけない人というところで殿下たちは首を傾げていた。
何のことだと顔に書いてある。
そんな殿下たちを見た陛下は疲れたような顔をして聞いてきた。
確かに陛下の言う通りミア様を助けたときに転移を使ったりしているから、私が魔法を二種類以上扱えるとバレるのも時間の問題ね。
『レイ、あとであれを使ってもいいかしら?』
『あぁ、陛下には後で話せばいいだろう』
念話でレイの了承も取ったので陛下に対して話していいという意味で頷いた。
「皆の者、今まで本人たちの意思もあり話すことができなかったが今話そう。クリスティーナ・フォルク公爵令嬢の契約精霊は風の精霊と知られているだろう。だが本当の彼女の契約精霊は……精霊王だ」
陛下が言ったのと同時にレイは自身にかけていた魔法を解いた。
次の瞬間、会場はざわついた。
私たちの前にいる人たちはと言うと、ヘレン様が口元に手を当てて泣きそうな表情でレイを見つめており、テオ様はというと顔色を悪くしていた。
残りの三人はポカンとした顔で呆然と立っている。
「う、うそ…………続編に出てくるレイヴン様!?」
彼女、今続編って言ったわよね。
私が死んだ後に続編が出ていたなんて考えもしなかったわ。
続編で出ていたとしても名前を知っているということは、攻略対象だったりして……いや、ありうる。
ヘレン様はレイに近寄ってきたので私は彼女を近寄らせないために立ちはだかった。
「そこをどいてください!」
「お断りします。ヘレン様、あなたはミア様を突き落としましたよね? その前は後ろにいる皆さんとでお金で雇った人たちに私たちを襲わせようとしました。…………ここはゲームではなく、まぎれもない現実ですヘレン様」
「証拠もなく!…………え、ゲームってあなたも!?」
「証拠というか目撃者? のような方ならいらっしゃいますわ、陛下ならそのことを良く知っているかと」
私はチラッと陛下の方に目を向けると陛下は「気づいていたのか」と一言いい、誰もいないところに声をかけた。
すると一瞬で六人の人影が現れた。
今の動きもそうだが、服装が黒くて顔の口元などを覆っているからか忍者に似ている。
この中の一人が私たちの後をつけていた。
「クリスティーナ様のおっしゃる通りです」
リーダーのような人が前に出て陛下に報告した。
それを聞いたヘレン様とその周りにいる四人は、今頃になって焦ったような表情をしている。
自分たちがどうなるのか想像してそうなったのだろう。
「──────だそうだ。よってそこにいる五人の処遇を言い渡す」




