25.こんなのおかしい(ヘレン視点)
私が前世を思い出したのは学園に入学する前日だった。
前世で私が好きだった乙女ゲームのヒロインに転生したことが分かったときは嬉しかった。
私の推しではないが、それでも攻略対象の四人は好きだから逆ハールートを目指そうと思う。
続編もあるが、まだ時期ではないのだ。
学園に入り、すべてシナリオ通りに進んでいた。……進んでいると思っていた。
ゲームと同じように二人の攻略対象と同じクラスになり、アルフォード様も最初は私のことをからかっていた。
他の攻略対象たちもゲーム通りの性格でそれぞれ問題を抱えていた。
だが一人………いや、その人の周りだけは違っていた。
ヒロインを苛めたりするはずだった悪役令嬢が何もしてこないのだ。
それどころか、アルフォード様と仲良くしていても興味がなさそうにしていた。
…………どうして?
あの悪役令嬢が何もしてこなければ断罪ができない。
アルフォード様とフレッド様の攻略はゲームの知識を使い順調に進んでいるのに悪役令嬢に関することだけがゲーム通りに進まない。
どうして悪役令嬢の彼女が毎日楽しそうなの?
なぜ性格が違うの?なぜ愛されているの?
ゲームの彼女は高慢で身分が下のものを見下し、皆から嫌われていたじゃない。
そんなことを考えつつ私は彼女を見て感情的になり、決闘を申し込んだ。
結果は目に見えているのに彼女は受けた。
彼女がどんな精霊と契約しているにせよ、光の上位精霊と契約している私が勝つに決まっているのだから……
勝ったら私たちに関わるな、と意味の分からない要求をしてきた。
まあ………彼女が勝つことなどありえないと思い、そのまま流していた。
だが、決闘の結果は私が想像していたものと違った。
私は負けたのだ。
こんなのありえない!
どうしてヒロインの私が悪役令嬢に負けるのよ!
本当にゲームでも現世でも邪魔ね。
でもここまでゲームと違うのは彼女も私と同じ転生者?
まさかね……
それにしても彼女の隣にいる黒髪の男……どこかで見たことあるけど思い出せない。
攻略対象に黒髪の人はいなかった。
けれど何かが引っ掛かった。
それは後で思い出すとして、今は悪役令嬢が転生者なのか調べつつ、攻略対象たちをを攻略することを考えなければならない。
アルフォード様とフレッド様は何とか好感度を上げているが、残りの二人は好感度どころか出会ってすらいないのだ。
もうすぐ夏休み前にある課外授業までには何とかしないと……




