21.入学式前日
話は約三年ほど飛びますが、その間に起きたことは少しずつ話に入れていこうと思っています!
ついに来てしまった……
鏡を覗いて見えたのはゲームでよく見ていた人物だった。
王子を攻略するときに度々邪魔をしてきた悪役令嬢、つまり私。
約三年で色々なことがあったが、それは追々話すとしよう。
私の容姿は少し変わったし身長も伸びた。目は少しつりあがり、出るところはきちんと出て、見た目はとても悪役令嬢らしくなった。
今日は学園の入学式……の前日。
学園で使う物の買い出しのために街に行くことになっている。
私のものだけではなく、レイの分もあるので彼ももちろん一緒にだ。
私たちの制服は少し前に採寸し、仕立てて屋敷に届いているはずだ。
なので私たちが主に買うのは小物類なのだ。
街にそういった小物類が売っているお店があるので、最初はそこに向かうことにした。
「わあ! これ可愛い! あ、これも!」
こういう物は、今使っているものが古くなったり壊れたりしなければ基本買わない。
だがお父様は新学期だから買い替えればいいと言うのでここはお言葉に甘えた。
レイは一切、ペンなどのものを持っていないというので全て購入することになった。
こだわりがないのか、なんでもいいと言われてしまい逆に困る。
……選ぶこちらの気持ちにもなってほしいものだ。
「レイ、どっちがいい?」
「俺はどっちでも……」
「どっちでもいいは禁止!」
「うっ……じゃあこっち」
どっちでもいいを禁止してしまえば、きちんと選んでくれることを知ったので少し楽になった。
最初からきちんと選んでという思いは胸の奥にしまい、この調子でさくさく選んで買った。
買い物が終わった時間は、お茶をするのにいい時間だったため喫茶店に寄った。
私はお茶、レイはお菓子にはまっているらしく何個も頼んでいた。
「いよいよ明日なのね……」
「嫌そうだな。何かあるのか?」
「あるにはあるんだけど……」
「話してみろ、俺も何かできるかもしれない」
「……わかったわ、でもここでは話せないから家で話す」
さすがに街の喫茶店で話すと誰が聞いているかわからないので屋敷に戻ってから言うことにした。
私はレイを信頼しているからこそ前世があることを話していいと思った。
それにレイは私に前世のことがあっても、私への態度は今までと変わらないと思う。
そう思うと安心してきた。
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自室に戻り、乙女ゲームのことを思いだした時に書いた紙を取り出した。
「信じられないかもしれないけど私には前世があったの……」
「知っているぞ」
「……え!? なんで?」
私はレイに前世があるなど話したことがなかったし、彼はすでに知っているとは思いもよらなかった。
乙女ゲームのことについて書いたときにたまたま水鏡で見てて読んだとか……?
だが私の予想とは全く違う答えが返ってきた。
「魂でわかるんだ。転生者というのは、他の人と比べると少し特徴があるんだ」
「……魂? レイが知っているのは私に前世があることだけ?」
「そうだな。内容は知らないが、ティナが何かを紙に書いているのは知っている」
「そっか……じゃあ今から説明するね」
私は全て説明した。
ここはゲームの世界またはそれに似た世界かもしれないこと。
私は悪役令嬢で断罪されるかもしれないなど…
その間レイは真剣な表情で考え込むようにして聞いていた。
「………その話が本当ならば、ティナは断罪される可能性があるのか…だがそんなことはさせない」
「ありがとう、レイ……。できるだけヒロインとの接触を避けようと思うの」
「それが一番いいな……もし国外追放されたら俺もついて行くから大丈夫だ。それに今はそのゲームとまったく同じではないだろ?」
そうなのだ。
現時点で、かなりの条件が違ってくるのだ。
まず私はアルフォード殿下と婚約していない。
殿下に対して恋愛感情は一切持ち合わせていなく、レイとは恋人同士であるので、ヒロインに対して嫉妬して苛めたりはしないはずだ。
レイにさえ手を出されなければ大丈夫なはず……
そして私は転生者である。
多少変わっていてもゲームのシナリオ通りにはさせない、そう思ったのは私だけじゃなかった。
レイは笑顔だったがいつもの優しい笑顔ではなく、どちらかといえば怒りが含まれている笑顔を浮かべていた。
その笑顔は私に向けられているわけでもないのに、ゾッとしてしまった。
「明日の朝また来る……ティナ、おやすみ」
「……っ! おやすみ」
レイは私の頬にキスし、精霊界へと戻った。
こればかりはどれだけ経っても慣れず、毎回顔が赤くなっていると思う。
私は明日入学式というのもあり、早めにベッドに入ったが緊張して結局いつも寝る時間が過ぎると、次第に意識が薄れていった。
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「絶対にティナは護る……」
俺はティナの話を聞き、改めて思った。
あの時、国王に学園に通う許可をもらっておいて良かった。
もし通う許可をもらっていない状況で先ほどティナが話してくれた内容を聞いていたら、いくらすぐに駆け付けれるからといっても心配で仕方がなかっただろう。
だが私は明日から護衛も兼ねてティナの近くにいることができる。
ティナの近くに入れるかと思うと、口元が緩みそうになったが慌てて引き締める。
そんなことを深く考えている内に、人間界ではもう朝でティナが起きだす時間になっていた。
私は学園に通う格好に着替えた。
指定の制服を着て、髪は黒髪に見えるように魔法をかけた。
短髪にしようと思ったが、初めて街に出かけたときティナからもらった髪を結ぶ紐が目に入った。
せっかくだから、つけて行こうと思い肩くらいの長さに髪を調整し、結んだ。
準備ができたのでティナを迎えに行こうと思う。




