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17.王族主催のパーティー




 (あぁ……帰りたいわ)


 なぜ私がアルフォード殿下の隣にいて、パーティーに出席しているのだろう。

 このパーティーは王族主催だから出席するのは貴族としての義務だから構わなかった。

 だがなぜ……私がアルフォード殿下の隣にいるのだ……



 王族主催のパーティーについて話されたのは二週間前だった。

 私は前世を思い出してから話し方が全然貴族令嬢らしくなかったため、お父様にマナーを教わるために家庭教師を付けてほしいとお願いした。


 マナーを覚えることは思っていたより厳しく、毎日がつらかった。

 だが自分がやると決めたことは最後までやりきりたかったから耐えた。



 ダンス、言葉遣い、この国の重鎮や貴族の顔と名前など……

 おかげで完ぺきとはいえないが、必要な最低限のマナーは習得した。

 ダンスはまだ動きがぎこちないが……

 

 


 **********




 当日の朝、私はお父様にエスコートしてもらう相手のことを聞かされていなかったため、聞きに行った。

 

 「お父様、今夜私をエスコートしてくださるのは誰ですの?」



 それを聞いたお父様はぎくっと完全に動揺した様子で言った。


 「ティナをエスコートするのは……だ」


 「お父様、相手のお名前の部分だけは聞こえませんでしたわ。もう一度お願いいたします」


 「……アルフォード殿下だ。殿下には婚約者はまだいらっしゃらないが、今一番有力なのはティナということで今夜のパーティーの相手に抜擢されたのだ」



 「そ、そんな……」


 「おい、それはどういうことだ」



 私の隣に現れたレイはお父様に問い詰めた。

 お父様曰く、自身は反対したのだが周りの貴族は私を推したためそう決まったのだとか……


 「すまない…ティナとレイ殿のことは知っているが、こればかりは……」


 「ちょっと待ってください!私たちのことを知ってるとはどういう……!?」



 私が驚いたのは無理もない。

 お父様にレイとの関係を教えていないのに知っていると言われてしまえば仕方がないと思う。


 「あぁ、実はレイ殿がな……」


 「エドモンド殿、その先は……」



 お父様はニヤリと顔に笑みを浮かばせていたが、それとは逆にレイは苦笑いをしていた。

 その先が気になったものの、レイの態度からして聞かれたくないことなのだろう。

 ということで、レイは嫌そうな顔をしていたがお父様が頼みレイは渋々といった感じで了承した。

 ただし護衛として私の傍にいるという条件付きで……




 「クリスティーナ嬢、いかがなさいましたか?」


 私は今朝のことを思い出していて殿下の話を聞いていなかった。

 というか今も考え事をしていて気づいていない。

 そんな私を見て、殿下は顔を顰めた。



 『ティナ、殿下に聞かれているぞ』


 レイが念話で話しかけてきたため、我に返った。


 

 「何でもありませんわ、殿下」


 「………そうか」


 私は殿下に差し出された腕にそっと手を添え、会場に向かった。

 この言葉からわかるかもしれないがまだパーティーは始まってすらいないのだ。

 正直この場にレイがいなかったら逃げ出していたかもしれない。



 もちろんレイはそのままの姿だと目立ってしまう。

 なので街に出かけたときと同じ姿で服は護衛のものを着て一緒にいる。


 会場に入り、陛下と王妃様が最初に踊ってからほかの貴族たちも踊り出した。

 私と殿下も一回だけ踊った。

 途中で足を踏んでしまった気がするけどきっと気のせい。


 (ダンスはもっと練習しなければね……)



 私は殿下と離れ、お父様に付き添いほかの貴族たちに挨拶をしに回った。

 一通り終え、疲れた私はバルコニーに出て夜風にあたっていた。


 「はぁ……」


 「お疲れのようだな」


 「レイ!」



 後ろから声をかけてきた人物はレイだった。

 レイと話すだけで疲れが吹き飛んだ気がする。

 楽しく話していたところに……


 「クリスティーナ嬢。そんなところに男と二人で親しくいると誤解されてしまうぞ!」



 殿下が私たちから少し離れた位置で忠告(?)し、どこかへ行った。


 「レイ、あれは何だったのかしら?」


 「さあ?」



 その後も、レイと雑談をし気づいたらもうパーティーは終わりを告げていた。

 ようやく私にとっての長い夜が終わったのだ。





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