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12.自覚(レイヴン視点)

前回のレイヴン視点の続きみたいなものです!






 ティナを人間界へ返した後、彼女は両親に連れられ国王の執務室に連れられていた。


 執務室の隣の部屋には彼女と同じくらいの男の子がいた。

 彼の容姿は良く、ティナくらいの子だとこういう男の子を好きになるんだなと思っていた。



 (………?)


 なぜかそう考えると胸の辺りが少しモヤモヤした。

 


 「この国の国王のクロムス・マルクスだ。よろしく、未来の義娘よ」



 国王のこの言葉を聞いた瞬間、先ほどのモヤモヤとした気持ちがさらに大きくなった。



 (ティナは国王の息子の王子と結婚するのか……?)



 俺はこんな気持ちになったのは初めてでどうしたらいいかわからず不安になった。



 俺の異変に気が付いたのか、近くにいた女性の上位精霊の一人がやってきた。


 『レイ様、頭を抱えてどうしたのですか?』


 「風の上位精霊(シルフィード)か。なぜだかわからないが、胸の辺りがモヤモヤするんだ……」


 『どういうことです?』



 シルフィードと呼ばれる精霊は状況がよくわからず、首を傾げた。



 「ティナが王子と結婚するのかと思うと……なぜかわからないが、イライラするんだ」


 『! まあまあまあ~! レイ様、それは嫉妬ですね!』



 シルフィードは、ぱあっと嬉しそうに笑顔を浮かべた。



 「嫉妬?」


 『はい! レイ様はティナ様が本当に好きなんですね~。だからティナ様が王子にと結婚すると思うと嫉妬するんですよ~』


 「俺が……ティナを好き?」



 『まさか……気づいてなかったんですか!? あんなに長年ティナ様を見続けていたのに? 鈍感にもほどがありますよ!』


 


 さっきの笑顔が嘘のように消え、代わりに呆れたような表情をしていた。

 俺は、横で叫んでいるシルフィードの話の内容は全く頭に入ってこなかった。


 「そうか……俺はティナが好きなんだ……」



 ────俺はようやくこの感情が何なのか、理解した



 あとから、ティナの父であるエドモンドに婚約について聞いたら、ニヤニヤした顔で婚約者候補にするだけで結婚させる気はない、と言われ内心ホッとした。


 





 俺がティナへの気もちを自覚して数日後、ティナに頼まれ魔法、武術、体術を叩き込んでいた。

 あっという間に習得していく様は教える側として嬉しかった。



 ────日が経つにつれこの思いは、どんどん膨れ上がった。





 教えることがなくなり、ティナは実戦の経験を積みたいと言い冒険者ギルドへ向かった。

 

 俺は、ちょうどそのときティナのことでシルフィードに相談していた。



 『レイ様~! 大変だよ、ティナが…ガラの悪そうな人に連れていかれちゃうの!』


 「っっ! すぐに行く!」



 精霊たちから報告を聞き、すぐにギルドに転移した。

 転移した位置がちょうどティナと報告にあった人たちの間だった。


 俺はそいつを見た瞬間今までにないほどの殺意が沸いた。

 俺の殺気を感じたのかそいつは真っ青な顔で逃げた。


 






 俺たちは依頼場所である村に転移し、魔物を討伐した。

 村長に報告に行こうとしたとき何かがものすごい勢いで近づいてくる気配があった。

 その何かは大きいはずなのに、足音が全く聞こえなかった。



 しかもそれは、明らかにティナに突進しようとしていた。

 ティナにぶつかる寸前で俺は彼女を抱き寄せた。

 もし、少しでも遅ければ危ないところだった。

 それを想像しただけでもぞっとする。



 俺はすぐに突進してきた魔物に向かって雷を落とした。






 そのあとティナは何もなかったように振舞っていたが、彼女の肩は震えていた。

 俺はもう一度彼女を抱き寄せたものの、どうしたらいいかわからなかった。

 すると今度は泣き出してしまい、俺はおろおろしていたのだが




 『そのまま頭を撫でてあげてください。それだけでも安心すると思うので』



 シルフィードからの念話が頭に響いた。

 言うとおりに頭を撫で、しばらくそのままでいた。


 「………レイ、もう大丈夫。ありがとう」



 俺はもう少しこうしていたかったが、わかったと言いながら離れた。


 こんなに離れがたくなるのは、やはり好きだからだろうか……



 







 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

《レイが精霊に呼ばれる前、シルフィードに相談していた内容です》




 私はレイ様の恋の相談に乗っていたわ。

 レイ様は自分の気持ちに気づき、戸惑っていたの。

 きっと恋なんてしたことないからよ。


 「シルフィード、俺はこの気持ちをどうしたらいい?」


 『レイ様はどうしたいのですか?』


 「俺は……できればその……気持ちを伝えたいが、ティナには迷惑なんじゃないかと思って………」



 乙女か!と言いそうになったのをどうにか堪えたわ。


 (どっからどう見てもティナ様もレイ様のこと好きだと思うのよね~。ティナ様の方は、自覚してるっぽいし……あぁぁ~もう! さっさとくっつきなさいよね、じれったいわ~)



 内心そんなことを思っていたのはもちろん教えないわ。

 でもアドバイスをあげようとしたとき、精霊に呼ばれて行ってしまったのよ。

 しかもその内容がティナ様が連れていかれるかもしれないというもの……


 

  

 レイ様、ティナ様のことになると気が気じゃないわね。

 きっとそれほど大切に思っているのね。






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