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10.ギルド




 私は精霊魔法のほかに、武術と体術を習得した。

 そんな私が次にやることは、実戦である。


 

 この世界には魔物という存在がいる。

 種類は数えきれないくらい多く、またその被害も年々増えてきているのだ。

 そういった魔物は討伐しなければならない。

 それらを依頼され、こなす専門の機関があった。


 もちろん依頼されるのは魔物の討伐だけではなかった。

 日常で困ったことの手伝い、雑用、薬草の採取といった安全の依頼もあった。

 その専門の機関というのがギルドというところだった。

 


 ティナは冒険者ギルドに登録して魔物の討伐をすれば、実戦の練習にもなる。

 そして依頼達成でもらえる報酬であるこの世界のお金を得ることができるのだ。


 お金は、もし国外追放されてもいいようにその後の生活費にするつもりだった。

 練習もできてお金も入る、一石二鳥とはまさにこのことだ。




 そう思い、私は部屋にあったフード付きのローブを着て顔が隠れるくらい深くかぶった。

 そうして誰にも見つからないようにして屋敷を出た。

 人生初のお忍びである。



 向かった先は、街の冒険者ギルドの受付だった。


 「すみません、冒険者登録したいのですが……」


 「わかりました。ではこの魔道具に手を置いてください。この水晶型の魔道具は大体のランクを教えてくれます。登録時になれる冒険者の最高ランクはⅭランクです」



 魔道具に手を置いた瞬間光った。


 「ランクは……Ⅽランクです! では説明に入らせていただきます」


 「はい、お願いします」




 冒険者ランクはSS~Eランクまであるらしい。

 SSが一番高いとのことだ。

 ランクを上げるには、自分のランクの依頼を15回以上達成するかその上のランクの依頼を7回以上達成するということだった。

 だが、一番上のSSランクに上がるためにはある条件を満たしていなければならないそうだ。



 「では、こちらの紙に名前をお書きください。偽名でも構いません」


 偽名でもいいのはありがたい。

 私は紙に「ティナ」と書いて受付のお姉さんに渡した。



 「はい、登録は以上になります。こちらは身分の証明にも使えるのでなくさないようにして下さい。依頼はあちらの掲示板にありますので、気に入ったものがあればこちらに持ってきてください」


 そういってお姉さんは免許証くらいの大きさのカードを渡してきた。



 「ありがとうございます!」

 


 お礼を言ってから私は掲示板の方へ向かった。







 私は掲示板でできそうな依頼を見ていると────



 「ねえねえ、君ー。俺たちが冒険者について詳しく教えてやるよ」



 ガラの悪そうな人たちに目を付けられた。



 「いいえ、結構です」


 「つれないこと言うなよー。ほらあっちへ行こう」



 私の背中を押して無理やり連れて行こうとしたので強硬手段に出ようとしたとき…


 「ティナに触るな!」



 レイが瞬間移動して助けてくれた。

 私をかばう姿はとてもかっこよかった。


 

 「っ!? チッ……お前ら行くぞ!」


 レイを見た瞬間、ガラの悪い人たちはギルドを出ていった。

 レイはコチラに向き直り心配そうな顔をしていた。



 「大丈夫か? けがはないか?」


 「ないです。助けてくれてありがとうございました!」


 「はぁー…ティナに何もなくてよかった……」


 私にけががないとわかると安心したような顔になった。



 





 その後私はレイと相談してどの依頼を受けるか決めた。


 「すみません、これをお願いします」


 受付のお姉さんに受けようと思った依頼の紙を出した。


 「わかりました。ただいま手続きをしますので少々お待ちください。………あの先ほどは大丈夫でしたか? 助けに行けずにすみませんでした」


 「いえいえ、連れに助けてもらえたので大丈夫です!心配して下さってありがとうございます、えっと……」


 「サナです」


 「サナさん!」


 手続きが終わるまでサナさんと軽く雑談をした。



 「ではサナさん、行ってきます!」


 「いってらっしゃい、ティナさん」


 

 私はギルドを後にした。


 「ずいぶんと楽しそうだな」


 今まで気を利かせ、黙ったままだったレイが話しかけてきた。


 「はい! 初めて家の人以外と仲良くなれたので!」


 「そうか」


 そう言って私に優しく微笑んだ。



 --私たちは依頼されたところへと転移した






 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 なんだあいつは!?


 俺は新人の冒険者を久しぶりに見かけた。

 そいつはフードを深く被っていて顔は見えなかったが、かなり高そうなものをたくさん持っていた。

 見た感じもガキだったからうまく騙せば、そいつのものを奪えるかと思っていた。



 だがその途中でガキを庇うように転移してきた男がいた。

 そいつは殺気を隠そうとせずに俺を睨んだ。

 その時の殺気は尋常じゃなかった。


 俺は、そいつから逃げるように子分を連れてギルドを出た。

 子分たちは何が何だかわからなかったみたいだが、長年冒険者をやってきた俺はすぐにわかった。

 あの男はそこらの魔物なんかよりも断然強いということを。


 俺は内心であの二人に近づかないと誓った────


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