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1.プロローグ

 頭痛がする。

 誰もいない自分の部屋で、私はよろめきながらも頭痛に耐えようとした。

 

 (あ……だめ………)


 すぐに意識が遠のいてしまった。

 

 

 次に目を覚ました時には頭痛も引いていた。

 ベッドから起き上がろうとした瞬間傍にいたメイドは驚いたように目を見開き、飛び出すように部屋を出ていった。

 何かあったのかなと思いながらも今の状況を整理した。

 

 

 

 私は、意識が遠のいた後に夢を見た。

 だがそれは、ただの夢ではなかった。

 前世で私は病気で病院のベッドに寝たきりだった。



 そんな寝たきりの入院生活はとても大変だったが、時間を持て余していた私が始めたのはその時に流行っていた乙女ゲームだった。

 そして最後に視界に移ったのはベッドの傍にあった心電図だった。

 波形が直線になりかける一歩手前で意識が途切れていた。


 

 (え……じゃあ私死んだの!? じゃあここって……)


 

 まさかと思いながらも自分の姿を確認するべく、部屋にあった鏡台を覗き込んだ。

 そこに映っていたのは、銀色に青が少し入ったような髪に紫色の瞳を持った少女だった。

 自分で言うのもあれだが美少女だった。


 「だ、だれ……」


 それが(現世)の自分の姿を見た第一声だった。

 内心では自分だとわかっていても、前世の姿とはかけ離れていることに一番驚いた。


 

 (これってあれよね……異世界転生ってやつ……本当にあるとは思わなかった) 

 




 --バンッ!


 扉が勢いよく開かれ驚いた。

 


 「「クリスティーナ!」」


 扉が開くと聞こえたその名前は、不思議と自分のことを指しているのだとわかった。



 (でも……どこかで聞いたことのある名前なのよね)



 自分の名前を呼んでいる二人は涙目になりながらも私を抱き寄せた。

 その後ろには、先ほど飛び出て行ったメイドの姿もあった。

 ということは私が目を覚ましたことを報告しに行っていたというところだろう。


 「無事でよかった!」

 「あのまま目が覚めないのかと思ったわ!」



 「お父様……お母様……」


 

 そう、この二人が今の、つまり現世での両親だった。

 前世で私は両親を早くに亡くなっていたため、久しぶりに両親のぬくもりを感じた気がした。

 私は心配してくれる二人に悪いなと思いながらも少し嬉しく、そのまま二人の背中に腕を回した。








 



 後で両親に話を聞いてみたら私は高熱で三日程目が覚めなかったらしい。

 それでみんなあんなに心配していたわけだった。

 納得だ。

 

 (そういえば、私の名前って今はクリスティーナなんだよね……)


 

 前世は、鈴木和子という、和風よりの名前で過ごしていたのもあり、外国風の名前に少し憧れていた。

 


 (少しうれ……ん? クリスティーナ?)


 

 嬉しいと言おうとしたところで今更ながらに気が付き、大声で叫んでしまった。


 

 「待って…私って悪役令嬢なのー!?」



 ……そう、自分が乙女ゲームでいう所謂悪役令嬢だっていうことを。


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