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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第2章》 都市が増えました。
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48話.城塞都市アグニⅠ(1)

カルが城塞都市アグニⅠを目指して砂漠を横断している頃、各城塞都市では・・・。


カルが国境の砦へと向かった頃、城塞都市アグニⅡの庇護下の村々で不審火が多発した。


村の防衛のため城塞都市アグニⅡから村々へ警備隊が派遣されていく。


そのため、城塞都市アグニⅡの警備が手薄になっていた。


それを狙うかのの様に城塞都市ラプラスとの街道を行く馬車を襲う盗賊が頻繁に現れ、馬車が物資ごと略奪される事件が頻発した。


ラプラスからも街道警備に警備隊が出向き治安維持に努めたが盗賊の足取りが全くつかめず、いたずらに時間だけが過ぎていた。




ラドリア王国の街ポラリスに店を構えるベルモンド商会の会頭の執務室にふたりの男が顔を突き合わせていた。


ひとりは、商会の会頭であるハイファ・ベルモンド。


もうひとりは、傭兵団”ヘルハウンド”の副団長であるヒース。


「現在、城塞都市アグニⅡの村々にて盗賊団に扮した団員が村への襲撃を行っております」


「そろそろ村へ警備隊が派遣されます。これにより城塞都市アグニⅡの警備隊の数も半数近くに減ると思われます」


「作戦は、順調そうだな」


「はい。ラプラスとアグニⅡの街道にも盗賊団に扮した団員達に、物資の補給を行う馬車を襲わせています。そろそろ城塞都市ラプラスの警備隊も分散した頃合いでしょう」


「問題は、早々にラプラスの領主が早々に現れた場合だが」


「我々は、戦わずに引きます。ラプラスの盾の魔人使いは脅威です。強者と正面から戦うのは愚者の選択です」


「ただ、万が一に盾の魔人使いが城塞都市アグニⅠを落とそうとした場合です」


「口封じにアグニⅠにいる領主共を殺せ。それとアグニⅠに提供した資金を全て回収しろ」


「あの鬼人族の領主共は使えんからな。どのみち、アグニⅡを奪還したら次はラプラスだ」


「はい。こちらは、契約通りにことを進めてまいります」


「頼む」


傭兵団”ヘルハウンド”の副団長ヒースは、静かにベルモンド商会の会頭の執務室を後にした。






城塞都市アグニⅡでは・・・。


警備隊を統括するライオスは、領主の館にある警備隊隊の本部で各部隊からの報告を受けて頭を抱えていた。


「敵が盗賊団を装った傭兵団であることは間違いないな」


「はい。戦った部隊の話では、装備も練度も統率も盗賊団のそれを凌駕していたそうです」


「しかも特定の村を襲う訳ではなく絶えず移動しているため、我が方の部隊は、絶えず村々に張り付いている必要があり部隊が分散しています」


「この状況で村々に分散した部隊が襲われれば」


「はい。我が方の被害が増すばかりです」


「城塞都市アグニⅡの警備隊の数は、どうなっている」


「現在、200人程です。ラプラスの部隊は、街道警備と物資の輸送部隊に手を取られており、こちらに増援を送れる状態ではありません」


「それに、兵士達は休みなしで警備を続けています。この状態が長引けば、兵士達の士気にも影響が出ます」


「現在、領主殿の元へ連絡兵を派遣しておりますが、どんなに早くても往復に1週間はかかると思われます」


「領主殿が戻られるまでの辛抱という訳か。それまでにやつらが動かなければよいが」


「最悪の場合、領民から志願兵を募るしかないか」


「はい。ですが領主様は、領民への負担を強いるのを嫌がっておいでです。それに志願した者達に訓練を行ったとして使える様になるまでに早くても数ヵ月を要します」


「仕方ない。兵士経験のある者に声をかけて臨時で雇えないか確認をしてくれ。金は多少かかっても構わん」


「それがだめなら最後の手段は、冒険者ギルドにも依頼を出すしかあるまい」


「まさか、冒険者を雇うのですか」


「仕方なかろう。背に腹は代えられん」






城塞都市アグニⅠのとある家の一室では・・・。


傭兵団”ヘルハウンド”の団長ブレインは、城塞都市アグニⅠのとある家の一室で部下に指示を出していた。


「数日前、国境の砦に向かった盾の魔人使いが連合王国の砦を破壊したそうだ。既にその日から2日が経過している」


「恐らくですが、やつがこの街に現れると仮定すると、最短でもあと3日を要すると思われます」


「いや、砂漠を越えた場合、今日か明日にでもこの街に現れる」


「まさか、あのワームの巣である砂漠を越えて来るとお考えで」


「やつは盾の魔人使いだ。人知を超えた存在だ。常識を疑え。我らの敵は、そういった存在であることを忘れるな」


「はっ」


「もし、盾の魔人使いが現れるのであれば、予定を早めますか」


「ああ。作戦開始は、本日の夕刻だ。各部隊に作戦開始の連絡を入れろ」







城塞都市アグニⅠの領主の館では・・・。


そこには、ハイファ・ベルモンドが送り込んだ傭兵団の動きにいら立ちを募らせる領主と元領主がいた。


「やつら、裏で何をこそこそやっているのだ。我らに一切の説明もないではないか」


「兄上。やつらはアグニⅡの村々に火を放ち、敵兵力の分散を図ったようです。ここは、我らの兵を動かして一気にアグニⅡを奪還しましょうぞ。丁度、我らの兵も準備が整ったところです」


「おおっ、準備がよいな。ならば早速、わが城塞都市の奪還といこうではないか」




城塞都市アグニⅠの城壁の外で待機している部隊では・・・。


「たった今、領主様より進軍の命が下った。我らは、これより城塞都市アグニⅡの奪還へと向かう。城塞都市アグニⅡを占領したラプラスの連中は、村々の警備に兵力を分散しているそうだ。守備隊は、我らの半分以下だとの報告があった。我らは勝ってアグニⅡを取り戻すぞ!」


「「「「「おー」」」」」


その日の午前に、城塞都市アグニⅠから400人の兵がアグニⅡへと向かった。隊列の先頭には、鋼ゴーレム3体と土ゴーレム8体を従えて。


城塞都市アグニⅠから城塞都市アグニⅡ迄は、歩いても半日の距離しかない。午後には、Ⅰ城塞都市アグニⅠの兵が城塞都市アグニⅡの城門前に到達することになる。






その日の昼近く、城塞都市アグニⅡの警備隊本部では・・・。


「ゼクト様。城塞都市アグニⅠで動きがあったようです。斥候の話では、400人程の兵がこちらに出立したそうです。先頭には、10体以上のゴーレムを従えているとのこと」


「来たか」


「ゼクト様。兵士経験者に声をかけたところ100人程の者から隊に復帰しても良いとの申し出がありました」


「そうか!ならば、直に装備を整えて城壁に向かわせろ。午後には、アグニⅠの部隊が来るぞ!」






城塞都市アグニⅡの村々を襲う傭兵団”ヘルハウンド”の本隊。


そして城塞都市アグニⅠで領主の首を狙う傭兵団”ヘルハウンド”の団長。


城塞都市アグニⅡを守るゼクト率いる守備隊。


さらに城塞都市アグニⅡを攻略しようと動きはじめた城塞都市アグニⅠの軍勢。


それぞれが、時を同じくしてそれぞれの思惑で動きはじめた。


カルはこの時、砂漠を横断し巨大ワームと戦っていた。カルは、この戦いに間に合うだろうか。


それぞれの城塞都市で、それぞれの思惑で動き始めた面々。


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