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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第2章》 都市が増えました。
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40話.新しい仲間(2)

カルは、治癒士のライラさんを伴ってラプラスの魔法アイテム屋へと向かいます。


次の日。


馬車は、城塞都市ラプラスの城門前へとやって来た。


城門を警備する警備隊の前にさしかかると、カルが馬車の中から外へと顔を出した。


すると、警備隊が一斉にカルに向かって直立不動の体勢で敬礼をはじめた。


カルは、右手をひらひらを振りながら、馬車は城門から都市の中へと入っていった。


「あの、都市に入る時に身分証の提示とかいらないんですか」


「うん、僕に関してはいらないんだ。ライラさんも僕の関係者だから問題ないよ」


「はあ」


城塞都市ラプラスに到着したカルは、その足で下町にあるいつもの魔法アイテム屋へと向かった。


「お兄さん。お久しぶりです」


「おう、領っ、いやカルか。ひさしぶりだな。最近、顔を見なかったがどこに行ってた」


魔法アイテム屋のお兄さんことゼクトは、”領主”という言葉が口から出かかった。だが、カルの口からその言葉が出るまでは、カルを名前で呼ぶと決めていた。


「城塞都市アグニⅡです」


「おー、そういえば、アグニⅡの領主にラプラスの領主が勝ったらしいな。ラプラスの街は、その街の話でもちきりだぞ」


「まさか、カルがあれをやったのか」


「へへへ・・・」


「おまえすげーな」


「なので、また大量発注しますのでよろしくお願いします」


「おう、分かった。この店の客は、ほぼお前さんだけだからどんな注文でも受けるぜ」


「ありがとうござます」


「で、一緒にいる娘はあれか、彼女か?それになんだあの胸のデカい美人は?」


「ははは、そうならいいんですが、ふたりとも僕の仲間です」


「治癒士のライラです」


「メリルです。カルがいつもお世話になってます」


ライラは、少し引きつった表情で、メリルは、満面の笑みを浮かべて挨拶を交わした。


魔法アイテム屋のお兄さんは、カルをカウンターの内部に引っ張り込むとふたりの女性を背にしてカルと小声で話を始めた。


「おい、どうやったらあんな美人をふたりも仲間にできるんだよ。俺が冒険者をやっていた頃なんて、チームは男ばっかりでむさくるしかったんだぞ」


「ははは。まあ、いろいろあったんですよ」


「そうだ、僕、城塞都市アグニⅡのダンジョンで大怪我を負ったんです」


「ところが、ポーションもハイポーションも効かないし、治癒魔法も回復魔法も効かなくて死ぬ寸前でした」


「まじか。それじゃもうダンジョンなんて無理だぞ」


「そうなんです。せっかく19階層まで行ったのに」


「はあ、まて、まて、まて!今19階層と言ったか。お前さん、冒険者になったばかりだろ。Fランクだろ。どうやって19層まで行ったんだ」


「メリルさんが転移魔石を持っていたんで、こうサクッと」


「まじか」


「おまえさん。あそこの19層って言ったら上級冒険者の狩場だぞ」


「あんなところに冒険者Fランクのお前さんが行ったら一瞬で死ぬぞ」


「あー、やっぱりそうなんですよね。でも、ファイアーウルフをを30体以上仕留めたんですよ」


「まじか!」


「まさか、おまえさん魔剣とか持ってるのか。雷撃を出すやつとか炎を出すやつとか」


「いえ、僕の武具はこの大盾だけです」


「バカいえ。こんな大盾で何ができるんだ」


「えっとですね。お兄さんには、魔法アイテムを作ってもらっているから教えます。こんな事ができます」


カルは、大盾から金の糸を1本出すと飾ってあった剣を金の糸で持ち上げて見せた。


「おいおい、なんだよそりゃ」


「これだと、どんな魔獣でも倒せます。でも普段は魔獣を倒さなくて、大盾に食べてもらってます」


「大盾に食べてもらう?」


「こんな感じです」


カルが持つ大盾の表面に”くち”が現れ”くち”から赤く長い舌が蛇の様にはい出してきた。


「おいおいおい!」


舌は、店主の体を嘗め回しながらゆっくりと店主の顔に近づいた。


店主の顔が青ざめ大粒の汗が流れ落ちた。


赤く長い舌は、店主の頬を数回撫でると、店主の体から離れていった。


「魔人さんあいがとう。もう戻っていいですよ」


カルの言葉を聞いた魔人は、するすると長い舌を”くち”の中へと戻すと、大盾の表面から消えていった。




「わっ、わかった。お前さんが城塞都市をふたつも手に入れた理由がわかった」


「俺もおまえさんに魔法筒をさんざん売って儲けた身だ。いまさらお前さんをどうこう言うつもりはねえ」


「だが、これだけは言っておく。お前さん、いつかそいつに食われるぞ。悪いことは言わねえ、どこかでその大盾を使うのをやめるこった。忠告はしたからな」


「はい。肝に銘じておきます」


「で、店の前で見張っている黒いローブを着ているのも仲間か」


「はい。ゴーレムのカルロスさんです」


「ゴッ、ゴーレムって、ありゃ普通の人みたいに動いてるぞ」


「へへへ、いいでしょう。どこで手に入れたか秘密です」


「そっ、そうか。・・・もしかして胸の大きな美人も何か訳ありか」


「メリルさんですか。メリルさんは、メデューサです」


「・・・メデューサって言ったら魔人の類だぞ。目線を合わせると石化する超強力な魔人だ。人がどうこうできる話じゃねえぞ」


「メルさん、とてもいい人ですよ」


「おまえさんの仲間は、人外ばかりなのか」


「いえ、僕の仲間は、ルルさん、リオさん、レオさんもいます」


「ルルさん、リオさん、レオさんって、みんな鬼人族じゃねえか」


「あー、そうですね。そうなると人族の仲間は、ライラさんが初めてです。そうライラさんが僕の初めての人です」


「おまえ、何を口走ってるんだ。その意味分かって言ってんのか」


「すみません、分かってないです」


「素直でよろしい」


「まあ、ライラさんは、僕の治癒士です」


それで、お兄さんにご相談があるんです。


そういうとカルは、魔法アイテム屋の店主であるゼクトにライラの治癒魔法を見てもらった。


「我の力の源たる精霊に願う、癒しの風よ吹け、命の泉よ湧け、守りの光よ導け、守護の力を貸し与えたまえ、精霊の癒しの力よ、かの者を守りたまへ」


カルの体が光り出し、いくつもの魔法陣がカルの体を包んでいく。


「ほう、これは精霊魔法か・・・」


「確かに魔力を練るのに時間もかかるし詠唱も長い。これでは、治癒士としてダンジョンでの活躍には向かないか」


「しかし、この魔法はすごいぞ。回復魔法、治癒魔法、防御魔法を同時に発動している。これは中階層以降に出現する魔獣と対峙する時に使えばすごい役に立つ魔法だな」


「ただなあ、ダンジョンの低階層の魔獣と戦う時に使う魔法ではないな。勿体なさすぎる」


「ライラさんの話では、治癒魔法の効きが悪いとか、詠唱に時間がかかると言ってチームの人達が彼女を追い出したらしいです」


「はあ。彼女を追いだしたチームは本当に勿体ない事をしたな。階層が深くなればなるほど彼女の恩恵にあやかることができたはずだ。見る目が無かったというか経験不足だな」


「カル。お前いいパートナーを見つけたな。彼女のこと大切にしろよ」


「はい」


「それでなんですが、ライラさんの治癒魔法を魔石筒に封じることはできないかなって」


「普通の魔石筒では無理だな。さっきも言ったが3つの魔法をひとつの呪文で詠唱しているからな。だったらこの新しい魔石筒を試してみるか」


「これは、魔石を3つ使用したものでな。魔法を同時に3つ封印することができるんだ」


「目的は、同じ魔法を同時に3つ解放することで威力を3倍にするつもりなんだが、やってみて損はないと思うぞ」


「まだ試作品でな、多少割高なのは目をつぶってくれ」


「お兄さんありがとう」


カル達は、そう言って魔法アイテム屋をあとにした。


4人は、ラプラスの下町を抜けて領主の館の前へとやってきた。


「あの、ここは城塞都市ラプラスのの領主の館ですよね。どうしてここに来たのですか」


カルは、領主の館の門の前まで来ると、警備を行っている者達に挨拶をした。


そういえば前回、領主の館を出る時は、城塞都市アグニⅡの兵隊1000人がラプラスのミスリル鉱山を奪う目的で攻めてきて、それを迎え撃つためにラプラスを出たままだ。


となると、ラプラスを出る時にいなかったゴーレムのカルロスさんもメデューサのメリルさんも治癒士のライラさんもいなかったことに今になって気が付いた。


カルは、領主の館の事務管理棟に赴き、3人の身分証と入館証の作成手続きを事務官にお願いした。身分証と入館証はすぐにできた。


「では、カルロスさん、メリルさん、ライラさん城塞都市ラプラスの領主の館へようこそ。この身分証と入館証は、絶対に無くさないでくださいね。無くすと領主の館に入れなくなるし、紛失届、抹消届、再発行と面倒なことがいっぱいになるから」


カルは、まだライラの問に対する答えを言っていなかった。


「あっ、メイド長さん。僕専属の職員を3人雇ったんだけど空いてる部屋を都合してもらってもいいかな。まだまだ空いてる部屋ってあったよね。ふたりは、護衛でひとりは治癒士なんだ」


カルは、領主の館の通路で合ったメイド長に3人の部屋の割り当てをお願いした。3人の部屋は、カルの領主の部屋からは少し離れて別棟となった。


「カルロスさんは、ゴーレムだから寝る必要はないって言っていたけど、部屋は用意したから使ってね」


「それとメリルさん。一応リオさんが決めたことは守るということでよいですね。僕のベットに忍び込まないでください」


「抱き枕がないと眠れないんですけどだめですか」


「だめです」


「ライラさんは、この部屋でお願いします」


「あっ、あの、カルさんは、領主の館で、その何をされている方なのですか」


「あれっ、言ってなかったかな。僕は、この城塞都市ラプラスの領主をしています。お飾りだけどね」


「領主!」


「ライラさん。部屋代とか取るつもりないから安心して。それと、夕食と朝食は、食堂で食べられるから。食事代もないから」


「それと、ライラさんのお給料なんだけど、冒険者の時の収入ってどれくらいあったの?」


「収入ですか。良くて週に銀貨で2~3枚というところでした」


「そうか、ならとりあえず週に金貨2枚でいいかな。月に8枚ね。治癒魔法を魔石筒に封じてもらうのもお願いするから、そういった作業とか、アグニⅡや村への視察の時も同行してほしいから、そういった時は別で考えるね」


「えっ、週に金貨2枚なんてもらいすぎです」


「その金貨は、ライラさんに僕の命を救ってもらうための対価です。そう考えると少ないくらいです」


「この都市の運営資金は、税収だけでは賄えないんだ。だから僕がある事をして補填しいるけど、僕がいなくなったらこのラプラスもアグニⅡも運営資金がなくなってやっていけないんだ。だからライラさんは、ある意味このふたつの都市の要でもあるんだ。その要の対価に週に金貨2枚なんて安すぎるくらいだよ」


「・・・・・・」


「それとライラさんも女性だからいろいろ必要なものがあると思います。これがその準備金です。その、服とか下着とかそういったものを用意してください」


カルは、ライラに準備金として金貨10枚を渡した。


「えっ、こんなにもらえません」


「実は、僕も少し前まで領主じゃなくて遠くにある村に住んでいたんだけど、つぎはぎだらけの服を着ていたらいろいろ問題があったんだ。だからライラさんも領主の館に出入りするための服を用意して欲しいんです」


「それと村の視察に行く時に魔獣と戦うこともあるから、武具も買っておいてください。お金が足りなかったら言ってね」


「じゃあ、部屋で休むなり買い物に行くなり好きにしていて。今日の夕食は6:30だったかな。大食堂でみんなで食べようよ」


そう言うとカルは、レオに報告があるからと言って領主の館の奥へと去っていった。


ライラは、部屋に入ると部屋の間取りを見てまわった。


フカフカのベットと机と椅子。それに応接テーブルとそれ用の椅子。


冒険者として泊まった宿屋のふたり部屋に比べても4倍ほどもある部屋だった。部屋には扉がふたつあって、ひとつはオークインクローゼット、もうひとつはシャワー室だった。トイレは、共同のものを使うように言われた。


ライラは、最近の自身に起きた出来事を思い出していた。


7日前は、3つ目のチームを追い出されて途方に暮れていた。


6日前は、城塞都市アグニⅡを出で城塞都市ラプラスを目指した。


5日前は、街道脇で野宿した。持っていた固いパンで空腹を満たした。


4日前は、街道脇で野宿した。でも、食べるものがなくお腹が空いて殆ど眠れなかった。


3日前は、お腹が空いて喉がかわいて街道で何度も倒れてしまった。


2日前は、とうとう動けなくなった。でも、カルさんに拾われて馬車に乗せてもらい御飯まで分けてもらった。


今日は、領主の館に部屋をもらって住んでいる。


「私、今まで恵まれていなかったけど、これからは期待していいのかな」


そんな言葉が、口から出た時。


”コンコン”。


扉をノックする音がした。


ライラが扉を開けると、そこにはメリルが立っていた。


「ライラさん。いろいろ買うものがあるでしょう。これから買いにいきませんか。女同士じゃないと話せないこともありますよね」


「あっ、そうですね」


ライラは、メリルとふたりで領主の館を後にラプラスの商店街へと向かった。


カルは、今後ライラの精霊魔法によっていろんな恩恵を受けることになる。それは、単に精霊回復魔法という枠の中に納まりきらないほどの恩恵を。


それは、また別のお話で・・・。



いきなり人生というか運が好転する時ってありますよね。あれって実は、怖いですよね。


でもフジテレビとテレビ朝日の朝の星占いの順位が違うのってなんででしょう。


以前、同じ星座で他方が最下位で他方が1位とかあって・・・。


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