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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第2章》 都市が増えました。
36/218

36話.冒険者ギルドでの出来事

アグニⅡの冒険者ギルドで魔獣の情報収集をします。そして、お約束の出来事が。


結局、ルルさんとメデューサさんの件は、リオさんの采配で一応の決着がついた。一応だけど。


とりあえずその話は置いておこう。


いろいろあったけど、昨晩の件でもうひとつ大事なことがあった。


精霊ホワイトローズさんが置いていった”注文書”ね。




注文書


下記の通り御注文申し上げます。

納期:本日より7日後の23:59まで


納品名


オーガ 10体 金貨100枚

※個体差は不問とします。


上記記載の品物納品後に発注者から発注先へ金貨100枚を支払うものとする。


納品先:盾内

※納期を守れない場合は、以後、盾の使用を禁止いたします。


発注者:盾に封印されし精霊ホワイトローズ。

発注先:城塞都市ラプラス領主カル殿。




相変わらず注文書の最後に可愛い妖精の絵が描かれていた。


精霊ホワイトローズの注文書にあった”オーガ”という魔獣がそもそもどういった魔獣なのか、それがどこにいるのかさえ知らないカルは、冒険者ギルドに行って情報収集をすることになった。






城塞都市アグニⅡの冒険者ギルドに向かうため商店街の通りを歩く3人。


ゴーレムさんは、黒いローブを着て金属の体が見えない様にしているし、冒険者でも同じ様なローブを着た人がいるので目立たない。


メデューサさんは、異国の軍服の様な服と軍服とおそろいの帽子をかぶっている。でも大きな胸を強調するように胸と胸の谷間が強調された服なので、通り過ぎる人達の目線がメデューサさんの胸に集中しているのが痛いほどわかる。本人はそれを承知しているみたいで、わざとやって楽しんでいるみたい。


そういえば、あることに気が付いた。ゴーレムさんとメデューサさんの名前を知らない。


ゴーレムさんに聞いてみたところ、身振り手振りで名前はないというので”カルロス”さんと付けてみました。ゴーレムのカルロスさん。へへへ・・・。


メデューサさんも名前はないので付けてくださいとのこと。さて・・・メデューサだから”メリル”さんと付けてみました。


城塞都市アグニⅡの冒険者ギルドの建物は、城塞都市ラプラスのギルドと大して変わらない感じでした。ただ、ギルドの建物の前に座り込んで建物に入る冒険者達をにらみつける人達はいったいなんなのでしょう。凄く気になります。


カルは、城塞都市アグニⅡの冒険者ギルドは、初めてだったので物珍しそうにギルド内の掲示板に張られている依頼票を真剣に見ていた。掲示板の前には、数人の冒険者が依頼票を真剣に見ていて、ある人は、依頼票内容をメモしたり、ある人は、掲示板から依頼票を取ると受付の列に並んでいた。


それ以外にも、椅子に座り食事をしたり飲み物を飲んでいる人達が大勢いる。


カルも掲示板に貼られている依頼をいくつか覗き込んでいる時だった。ある依頼票が目にとまった。





”石化事件の調査”。


城塞都市ラプラス領内の南部に広がる森林地帯にて原因不明の石化現象が発生している模様。


この地域を訪れた冒険者が魔獣や人などが石化したものと思われる多数の像を目撃している。


この石化が魔獣によるものなのか不明なため、これらの調査を行っていただくものである。


依頼者:城塞都市ラプラス及び城塞都市アグニⅡ冒険者ギルド(共同依頼)

依頼料:金貨20枚

依頼対象:Bランク以上の冒険者チーム




あれ、これってミスリル鉱山の廃坑にいたメデューサさんのことだよね。でも、そのメデューサさんは、僕の隣りにいるから依頼達成になるのかな。カルは、そう思った瞬間、この件については一切口外できないということに気が付いた。


あの廃坑からは城塞都市ラプラスの収入源であるミスリルが採掘できる。でも、そこに調査対象の魔獣がいないと分かると廃坑に出入りする人達が出てくるかもしれない。そうなるといろいろ面倒なことになるからあの廃坑は、領主権限で出入り禁止しておく方がよいかな。


ミスリル鉱山を狙っていた城塞都市アグニⅡの領主もいなくなったことだし、あの廃鉱の周囲に人が出入りできない様に柵でもしておこうかな。それ自体にどんな意味があるか誰も分からないはずだし、あとでルルさんに相談してみよう。


それ以外の依頼票を確認してみたが、オーガについての情報は得られなかった。仕方なくカウンターでオーガについて確認することにした。


カルは、カウンターに自身の冒険者証を出すと、受付の女性に話しかけた。


「あの、すみません。教えて欲しいことがあります。オーガってどこにいる魔獣でしょうか」


その瞬間、ギルド内の空気が一瞬で氷ついた。だが、それを感じ取れなかったのはカルただひとり。


受付の女性の顔は笑って対応してくれているけど目が怖い。


「オーガですか。オーガはこの都市の近くにある通称”中級ダンジョン”の16階層以降に出現する魔獣です。Bランク以上のチーム推奨となっております」


ギルドの受付嬢は、カルがカウンターに置いた冒険者証に記載された内容を確認しながら、相変わらず引きつった笑顔で対応してくれた。だが、カルの冒険者証に記載された内容を見た途端、顔色が変わった。




冒険者:カル・ヒューズ


ランク:F


HP:F


MP:F


知力:B


器用:B


速さ:A


筋力:E


幸運:A


信仰:A


職業:神官、城塞都市ラプラス領主。城塞都市アグニⅡ領主。


スキル:御神託を授かりし者。

    神器使い。

    盾の魔人オーナー。

    盾のダンジョンオーナー。

    精霊と仲良しさん。

    神のゴーレムオーナー。

    魔人メデューサオーナー。


捕獲魔獣:

 スライム:118。オーク:44。魔人メデューサ:1


チーム:薔薇の花束(Aランク)




「あっ、あの城塞都市ラプラス領主、それに城塞都市アグニⅡ主副領主とありますが・・・」


カルは、以前ルルさんがラプラスの冒険者ギルドでやった仕草をまねてみた。つまり右手の一指し指を立て、それを唇の前に置いたのだ。


「あっ、失礼しました」


「あの、オーガを狩りに行くおつもりでしょうか」


「オーガを狩る?いえ、オーガを捕獲しに行くつもりです」


「ということはティムするということでしょうか。でも、魔獣使いのスキルをお持ちではないようですが・・・」


「えーとですね。そこについては言えないんです。領主の機密保持条項といいますか」


僕の盾に封印されている精霊ホワイトローズさんの依頼でオーガを捕獲するなんて言ったところで信じてもらえないし、いろいろ説明が面倒だからいつもの適当な嘘でごまかします。


「あっ、失礼しました」


「もしかしてチーム薔薇の花束で行かれるのですね。でしたら問題はございません」


「いえ、ダンジョンに行くのは、チームで僕ひとりだけです」


「はあっ?でもカル様はFランクです。オーガはBランク以上のチームでの狩りが推奨されています」


「あっ、分かりました。領主様であればチーム外の護衛の方々とご一緒にダンジョンに入られるんですよね。そうですよね」


受付のお姉さん。作り笑顔だけど目が笑ってない。


「護衛は、ゴーレムのカルロスさんとメデューサのメリルさんの2人です」


「いえ、でも、それ・・・えっ、メデューサ?メデューサがいるんですか!」


受付の女性の悲鳴にも似た言葉に、僕の隣りにいるメリルさんが頭にかぶる帽子を少しずらして、無数の蛇の姿になった髪の毛を見せると”ニコッ”と笑顔で会釈をする。


それを見た受付のお姉さん。石化された訳でもないのに体が硬直したみたいに動かなくなった。


「オーガは、16階層以降ですね。ありがとうございました」


カルは、受付の女性に礼を言うとそのまま中級ダンジョンへ向かうつもりでいた。オーガが強い魔獣だという認識を全く持っていないので簡単に狩れるくらいの気持ちでいた。


3人が冒険者ギルドから出ていこうとすると、カル達を見ていた冒険者が話しかけてきた。


「おい。ねーちゃん。いいケツしてんなあ。これからオーガを狩りに行くなら、俺のオーガを倒してからにしてくれねえか」


椅子に座りテーブルでエールを飲んでいた3人の冒険者が笑いながら、下品な言葉を発しつつカルの後ろを歩くメリルのお尻に手をかけた。


冒険者ギルドでは、酒に酔った冒険者が女性冒険者をからかういつものやり方で、女性冒険者もそれは承知の上、だからビンタのひとつも飛ばして汚い言葉で男の冒険者を罵るのが日常の光景であった。そう、いつもなら・・・。


だが、相手が悪かった。酔った冒険者が触ったお尻は、魔人メデューサのお尻である。その魔人は、Aランク超の魔獣に分類され推奨討伐ランクは、Aランク以上とされていた。


瞬間、酔った3人の冒険者は、椅子に座ったまま石の像と化した。つまり魔人メデューサであるメリルさんが石化させたのだ。


冒険者ギルド内にいた他の冒険者は、その光景を見た瞬間に自身の獲物を手に取ると座っていた席から飛びのいた。


受付のカウンター内にいたギルド職員は、全員がカウンターと机の陰に隠れ、緊急時用の剣を鞘から抜いて臨戦態勢に入る。


メリルさんの頭にかぶっている帽子の隙間から無数の小さな蛇が現れたのを見た冒険者達は、目の前にいる女性が魔人メデューサであることに気付いた。だが、鞘から抜いた剣を持つ手は、ガタガタと震えていた。ここにいる全員が自身の死を覚悟したのだ。


この場に魔人メデューサを倒せる者などひとりもいない。恐らくこの場にいる冒険者全員が一斉に剣で切りかかり、魔術師が魔法を放ったところで勝てる相手ではない。


だが、カルと行動を共する魔人メデューサのメリルさんは、ある意味人格者であった。カルに不利益が及ばない様にと一応の配慮を行ってくれた。


「今後、この様な行為を行ったらここにいる全員を石化させます。分かりましたね」


魔人メデューサのにこやかな笑顔など、恐らく死ぬまで見ることはできない。誰ともなくその場に居合わせた冒険者もカウンター内にいたギルド職員も、額から冷や汗を流しながら無言で首を縦にふった。


「では、今回はサービスです。石化を解いてさし上げます」


魔人メデューサは、指を”パチン”と鳴らすと、席に座ったまま石の像と化した3人の冒険者は、いつの間にか元の人の姿に戻っていった。


その3人の冒険者は、自身に起こったことなど知る由もなかったが、他の冒険者に取り押さえられ、話ができない様に”口”を押さえられたままギルドの奥へと連れていかれることとなった。


カル達が冒険者ギルドから出ていくとすぐに緘口令がひかれた。この場に居合わせた冒険者達は、特に厳しくそのことが厳命され全員が誓約書にサインするまでギルドの建物の扉を閉ざした程であった。


新しく就任した領主代行の仲間に魔人メデューサがいる。その事は、ギルド長にもすぐに報告された。慌てたギルド長は、数人の部下を連れて領主の館へと走った。


この街に魔人メデューサがいる。しかも昼間に堂々と街中を歩いている。上級者向けダンジョンの中にいるのならまだ安心できる。だが、魔人が街中を歩いていると知られたら街中がパニックになる。


領主が変わった途端、とんでもない領主がやって来たと頭を抱えるギルド長であった。


ダンジョンにオーガを捕らえに向かったカル達。でも、それがとんでもないことに・・・。


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