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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第2章》 都市が増えました。
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35話.そして修羅場

修羅場です。自分には来てほしくないですが・・・。


早朝、カルの部屋を訪れる者の姿があった。


ルルである。


昨夜は、少しお酒を飲み過ぎたせいか頭が痛い。でも、何か大切なことをカルに言った様な気がしていた。そう、ルルはお酒の力を借りてカルに告白をし、さらに結婚という言葉まで出した。だが、それを言ったはずのルルがそれをよく覚えていなかった。


カルの部屋の前で警備をしていたゴーレムは、ルルが部屋に入ろうとするのを身振り手振りで必死に止めようとした。


そう、ゴーレムは、深夜の出来事を壁越しに聞いていたのだ。このまま誰かが部屋に入れば修羅場になることは明白。


剣爺が作ったゴーレムは、話すことはっできないがそれ以外のことは人以上に出来る。


結局、ルルを部屋を止めることができなかったゴーレムは、壁に手を付いてうなだれていた。


ルルが、カルの部屋の扉を勢いよく開け放ち、寝ているカルのシーツを勢いよくめくった。


「カル殿。朝早く申し訳ない。今後の都市の運営について話を・・・話を・・・話を・・・」


シーツをめくったベットには、カルと裸で抱き合う見慣れぬ女性がいた。女性は、カルの体に絡み付き、カルのあそこを握ったまま寝ていた。


カルはと言うと、青ざめた表情でルルの顔を見るしかなった。


「おっ、おはようございます・・・」


「おっ、おっ、おんな!」


「カル殿、カル殿、カル殿!そっ、それはあんまりではないか。昨晩の・・・それなのに女を・・・女を連れ込むなど・・・など・・・カルのバカー!」


ルルは、大声で叫びながら走り去ってしまった。






その後、リオが自室にこもり大声で泣き叫ぶルルの姿を見かねてカルの部屋を訪ねて来た。


既に服を着ていたカルとメデューサに事情を聞いたリオだが、ルルがヘソを曲げてしまい職務に支障をきたしているということで、関係者だけの緊急会議が開かれることになった。


会議の出席者は、カル、メデューサ、ルル、リオ。レオは、都市防衛のため城塞都市ラプラスに戻っているので欠席となった。


席の前には、誰がどのような立場なのかが書かれた札が置かれた。


カルが座る右側の席の前には、”二股野郎”と書かれた札。


カルの隣に座るメデューサの席の前には、”女狐”と書かれた札。


対してテーブルを挟んで左側に座るルルの前には、”NTR”と書かれた札。


奥の中央の席に座るリオの前には、”審判”と書かれた札。


ルルは、目を真っ赤に充血させ、時折鼻をすする音を響かせながらハンカチを握りしめ、目線は、会議テーブルの一点だけを睨み続けていた。


対してメデューサは、清ました顔でカルの世話をかいがいしく焼いていた。鬼人族のルルを目の前にしても全く動じない肝っ玉の据わった女性である。


奥の中央の席に座るリオは、会議テーブルに置かれたベルを鳴らすと開口一番会議開催を告げる一声を上げた。


”チン”。


「お忙しいなかようこそお集まりいただきました!」


「では早速ではありますが、カル殿をNTRした女狐が現れました。武道は強いがそっちは奥手で乙女なルル様。それでも昨晩、食事に誘いお酒の力を借りて告白をしたとの情報が。そうです、ルル様はカル様が大好き!」


「しかし、その夜。カル様の部屋に見知らぬ女が現れ、カル様をあろうことか寝取る暴挙に出ました。かなりの策士です」


「ではいったいカル殿は誰のものか。それをを決める会議を開催したいと思います!」


「まずは、カル様。今回の状況を簡単に説明していただきたい」


なぜかハキハキとした口調で楽しそうなリオの声が会議室に響き渡る。リオは、この修羅場において蚊帳の外にいるため実に楽しそうな顔をしていた。


気まずいのは、カルのみ。どんよりした空気の中、カルは席を立ちあがると昨晩からの経緯を説明した。


「はい」


”チン”。


リオは、目の前にあったベルを鳴らした。各人の発言が終わるたびにこのベルと鳴らしてメリハリを付けようというのだ。


「なるほど、なるほど。では、カル殿は、この女狐とは行為に及んではいないと」


「はい」


”チン”。


「では、魔人メデューサさん。あなたは、どうしてカル様とその様な行為に及ぼうとしたのですか」


リオの言葉に凛とした態度で大きな胸をはりつつ、メデューサは堂々と言い放った。


「簡単なことです。カル様の子供が欲しいのです」


「カル様の遺伝子には他の男共にはない秘めた力があります。その遺伝子を持つ我が子をお腹に宿す。これこそが女の至福の時なのです。そのためなら、どんな行為でも受け入れます。あんなことやこんなこともです」


話を聞いていたリオは、耳を塞ぎたくなるほどの男女の営みをこれでもかと解説する魔人メデューサの話に思わず身を乗り出して聞き入った。


だが、魔人メデューサが説明する男女の営み話に耳を疑い、そんな行為など絶対にするはずがないと思い込んでいるルルには、全てが嘘に聞こえた。


”チン、チン、チン”。


リオの前にあったベルがなぜかルルの前に移動し、そのベルを連続で鳴らすルル。


「ええい、カル殿はそんなことを望んではいない!カル殿はもっと紳士的で・・・女性に免疫がなくて・・・そのあれだ、女性に優しいのだ。私は、私は・・・そんなカル殿が好き・・・に・・・なったのだ」


思わず顔を真っ赤にしながら告白に及んだルルだが、目の前にいる魔人メデューサは、ルルをあざ笑うかの様な顔をしていた。


”チン、チン、チン”。


ルルの前にあったベルだが、今度はがなぜかメデューサの前に移動し、そのベルを連続で鳴らすメデューサ。


「さすがお子様です。惚れた腫れたで純愛を貫きたいのですね。いいでしょう。そうやって目の前の男に手を出さない女を男が選ぶと思っているのですか」


「だいたいあなたの胸はなんですか。そんな板みたいな胸で殿方が喜ぶと思っているのですか!」


魔人メデューサの目線が自身の胸に注がれているのを感じたルルは、思わず胸を両腕で隠す仕草をした。


「異世界では、”貧乳はステータスだ”とほざく女もいるようですがそれは間違いです。目の前の女の様に少しばかり膨らんだ胸で殿方がよろこぶと思っているのですか」


”チン、チン、チン、チン、チン、チン”。


メデューサの前にあったベルがなぜかルルの前に戻っており、そのベルを連続で鳴らすルル。


「なっ、なんだと!」


「殿方は、大きな胸に顔を埋め至高の時を過ごすのです。それができない女など、どこの殿方が相手にするものですか」


魔人メデューサの大きな胸をさらに強調した様な服をこれでもかとルルに見せつけ、両手で自身の胸を押し上げて見せた。


さらにしてやったりという表情を浮かべ、ルルの真っ赤になった顔をこれでもかと言わんばかりの上気した表情を浮かべて見つめる。


ルルは、血がしたたるほどの力で唇を噛みしめた。もうだめ我慢の限界。こんな女にカルを取られたらカルは一生不幸になる。


ルルの頭の中は、カルのことでいっぱいになりすぎて冷静な判断などできない状況になっていた。


”チン、チン、チン、チン、チン、チン”。


「言わせておけば・・・」


どこから持ち込んだのか、ルルが愛用しているミスリル合金製の破壊槍を手に持ち、いつでも攻撃できる体制でいる。


会議室に入る時に、最悪の修羅場だけは回避するためと、一切の武器の持ち込みを禁止たはずであった。だがルルはそれを破り破壊槍を持ち込んでいた。


「ほう、誰かの板の様な胸と同じ武具で魔人メデューサであるこの私に勝てると思っているですか。ふっ、可笑しくて腹が痛いです」


「私が、その気になれば目の前にいる板の様な胸の鬼人族の女など、一瞬で石化させられます」


「やれるものならやってみるがいい!」


「ほお、では、お言葉に甘えて」


ルルは、愛用のミスリル合金製の破壊槍に魔力を流し込み、相手を瞬時に爆破可能な状態で破壊槍を構えた。


対するメデューサは、被っていた帽子をテーブルの上に置くと、金色だった髪の毛はいつしか無数の蛇へと変わっていた。


”チン”。


ベルは、いつの間にかカルの目の前に移動していた。


「やめて、やめて!」


「僕を取り合うのはやめてください。僕はまだ子供です。でも、僕はどっちを取るとかよく分かりません。そいういうのはもっと大人になってからだと思います」


その言葉にこの場の審判役を勝手に買って出たリオが反応した。


”チン”。


「ほう、つまりカル様は、どっちも取らないというころですね。ですが、それだとこの場が収まりません」


「ならば、審判であるこの私が采配をいたします。もし、それが不服と言うのであれば、改めて会議を開かせていただきます」


「よろしいですね。では、私の考えを述べさせていただきます」


だが、この後に及んでルルが吠えた。


「カルのその顔や首のキスマークは、その女狐のものだ!」


「そこまでやっておいて何もしていないなんて信じられる訳がないではないか!」


ここでカルは、疑問に思った。このキスマークを付けたのはルルさんだ。馬車の中で暴挙に及んだのを覚えていない?


「あっ、あの。このキスマークは、ルルさんが馬車の中でつけたものです」


カルは、シャツを脱ぎ、胸をはだけて見せた。


「この胸のあちこちに付いているキスマークもルルさんのものです」


「なっ、なにを。私は、そんな淫らな行為などしてない」


ルルは、真っ赤な顔をしながらカルの言葉に反論してみせた。


「ルルさんは、僕と結婚すると言って馬車の中で暴れたんです。それで、結婚の約束だと言ってぼくの鼻をかじって歯形を残したんです」


確かにカルの鼻には、誰かの歯形がくっきりと残っている。


「昨晩、酔いつぶれたルルさんを部屋に運んだ時、ルルさんのメイドさんも僕の鼻の歯形を見てます。思いっきり笑われました」


ルルは、顔を真っ赤にして会議室から走り去ってしまった。


結局、どう転んでもどちらかにわだかまりが残るのは明白だった。ならば、どちらにも転んでもらうことになった。


「判定。引き分け!」


リオがそう宣言した。


「カル様は、まだ14才です。そういった行為は、16才の成人を向かえてからの方がよいと思います。体のこととか精神的なこともありますから」


「メデューサさんも、その辺りをご理解していただけますよね」


「・・・分かりました。そう言うなら仕方ないです」


「ルル様には、私からそう言っておきます」


だがカルには、昨晩の出来事は、仕組まれたことの様にお思われてならなかった。


ルルさんが昨晩レストランに誘ってカルに告白をした。その深夜に精霊ホワイトローズさんがメデューサさんを連れて来た。


あまりにもタイミングが良すぎる。


メデューサさんが言っていた。カルのことを精霊ホワイトローズさんが絶えず監視していると。


ならば、今後もことある毎にこういった事が起こると考えていた方がよいと。


でも、メデューサさんが毎晩ベットに裸で入って来たらどうしよう。あれを毎日されたら拒否できないと心の弱い自分にがっかりだったり、そうでなかったり・・・悩んでしまうカルであった。


すみません。修羅場って書いてて面白いです。


次回、注文書の魔獣集めのためにアグニⅡのギルドへ向かいます。


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