34話.精霊ホワイトローズの策略
精霊ホワイトローズさんが連れて来たのは・・・。
ベットに潜り込むと瞼を閉じたふりをして部屋の様子をうかがった。だが、特に変化もなく時間が過ぎていく。
”僕の思い過ごしだったのかな・・・”。
そんなことを考えながらだんだんと瞼が重くなってきた頃。
「カル」
「カル。起きるの」
「カル。カル」
”来た、来た、来た!”。
”精霊ホワイトローズさんだ”。
”いや、まだ起きるのは早い。ホワイトローズさんがベットに手をかけたら飛び起きるんだ”。
カルのベットの元へ精霊ホワイトローズが静かな足取りで近づいてくる。カルは、カウントを始めた。
”3、2、1、今だ”。
カルは、ベットから勢いよく飛び起き床に着地すると身構えた。手には枕を持ち枕を盾の様に構えた。
「はあはあ。毎回、毎回、ホワイトローズさんにベットごとひっくり返される僕ではありませんよ」
精霊ホワイトローズは、カルが寝ているベットに手をかけてベットごとひっくり返そうとしていた。
だが、カルの息は荒かった。精霊ホワイトローズは、カルが熟睡する頃を”わざと狙って”来ることは分かっていた。しかし寝入りを襲われるとさすがに体力を激しく消耗する。
カルは、息を整えながら必死な形相でホワイトローズさんの次の行動を見守った。
「カルは、ほんの少しだけ成長したの。でも、まだまだなの。だからカルを助ける仲間を連れてきたの」
よくよく見ると精霊ホワイトローズさんの横には、人族にして20才前後の女性が立っていることに気が付いた。
灯りのない部屋な中でも分かるくらいの美人さんで、髪は金髪、身長は高いけど体つきはほっそりやせ型、でも・・・胸がかなり大きい。
どこかの国の軍服の様な服を着ていて、黒い色で統一された服は、なぜか大きな胸を強調するような形をしていた。
でも、腰にぶら下げているのは恐らく"鞭"。なんだか怖そうな武器を持っている。
「彼女は、でも良い娘なの。カルが頑張って打ち解けるの」
「・・・・・・」
カルは、何か裏があるのでは勘ぐっていた。いきなりこんな美人のお姉さんを連れてくるなんて”おかしい”。
それは、正解であった。精霊ホワイトローズは、神である剣爺がゴーレムをカルの側に置いたことにいら立ちを覚えていた。カルを自身の側に引き入れようとしていた時に、カルを守る様にゴーレムを作ったのだ。これでは、カルを自身の側に引き入れることが難しくなってしまう。
ならば、女性の魅力を使ってカルを籠絡すればよい。カルもお年頃で女性に興味がある以上、魅力的な女性を側におけば、簡単に落とせると踏んだのだ。
「彼女は、魔人メデューサなの。彼女の目で見たものは全て石化するの。目線を合わせなくても石化することができるの。でも安心するの。カルだけは石化できないプロテクトがかけてあるの」
「それにカルは、彼女に関する管理者権限を有するの。カルは、彼女に対する全ての実行権限を有するの。服を脱げと言えば服を脱ぐの。カルが子供を作りたいと言えば作るの。そのために胸も大きくしたの。カルは胸の大きな女性が好きなの」
精霊ホワイトローズさん。なんだかとんでもないことを口走っています。その後も一方的に話を続け、例の発注書をテーブルに置いて姿を消しました。
精霊ホワイトローズさんの話が長かったためカルは、話の途中で自身のベットへと戻りうつらうつらしながら話の続きを聞いていた。
剣爺が作ってくれたゴーレムさんはというと、寝る必要がないとかで部屋の扉の前に陣取って警備をしてくれています。
本当は、寝る素振りでもしてもらえると気が休まるんだけど、寝る必要のないゴーレムに寝る真似をしろと言うのもちょっとあれかなって思って、好きな様にしてもらっています。
精霊ホワイトローズさんが居なくなった今、部屋の中にいるのは、僕とメデューサさんのふたりだけ。
そういえば、廃鉱で見た魔人メデューサは、髪の毛が多数の蛇で上半身は女性で下半身が大蛇だったけど、目の前に立っている魔人メデューサさんは普通の女性に見える。
あっ、そうだ。メデューサさんも寝るんだよね。領主の館は、空いてる部屋が多いからどこかに部屋を・・・。
カルは、ベットから起き上がろうとした時、彼女は、カルの目の前でおもむろに服を脱ぎ始めた。
「あっ、あの、なんで服を脱ぐんですか!」
「私、魅力ないですか。精霊ホワイトローズ様の元でいろいろ勉強しました。子供の作り方。殿方の喜ばせ方。いろいろです」
メデューサさん、部屋に灯りがついていないのに、頬を赤らめて恥じらっているのが分かるくらい頬を赤らめています。
やっぱり自分が言った言葉が恥ずかしかったみたい。そんな言葉を言われた僕も恥ずかしくて頬が赤くなっているのを感じる。
「とっ、とにかく服を着て」
精霊ホワイトローズさんは、メデューサさんが僕の命令ならなんでも聞くって言っていたけど、あれは嘘だ。だって僕の目の前で服を脱ぐのを辞めないんだもん。
さらに全裸になったメデューサさんは、カルのベットの中へいそいそと入ってくる。
「なっ、なんで裸でぼくのベットに入るの」
パジャマを着てベットから上半身を起こしていたカルを、どうやったのかは分からないがいつの間にか裸にしてしまったメデューサは、カルをベットに寝かせると、おもむろにあそこを握りだした。
「あっ、やめて・・・やめてください。僕のを握らないでください」
「ダメですか」
「ダメです。いけません」
カルは、この状況をなんとしても阻止したかった。この行為を許してしまったら、毎晩の様にこの行為が続く気がしてならなかった。
「では、私の火照った体は、誰がいさめてくれるのですか」
「そっ、それを僕に求めるんですか」
メデューサさん、そんな綺麗な顔で・・・、潤んだ目で僕を見ないでください。僕も男なんです。これ以上は無理なんです。自分を抑えきれる自信がありません。
「とっ、とにかく今日はダメです」
「わかりました。では、明日にします」
「カル様の性癖は、精霊ホワイトローズ様から教えていただきました。明日、それをご披露いたします」
「えっ、なんでホワイトローズさんは、そんなことまで知っているの」
「精霊ホワイトローズ様は、カル様のことを24時間見ています。監視されています。覗かれています。今更です」
「おやすみなさい」
「・・・・・・」
さっきまでの大胆な行動が嘘の様に、今度はあっさりと寝てしまった。この人はいったいどんな人なんだろう。
カルの疑問は、いつまでも尽きなかった。
寝始めたメデューサさんと同じベットで寝るカルは、これからどう接していいか戸惑っていた。
だが、メデューサさんは策略家の才能を持っていた。それも男女の営み方面に。
カルのベットで裸のまま寝息をたてていたずのメデューサさんが、カルの体に手を回し足を絡め始めた。
「なっ、なんで裸で僕に絡みつくんですか」
「抱き枕です。カルの体は抱き枕にちょうどよいのです。私、抱き枕がないと眠れないんです」
なんと言い返してよいのか分からないカルだったが、さらなる行動に出たメデューサさんに思わずカルの顔が真っ赤になった。
「あの。なんで、その・・・僕のを握っているんですか」
「ちょうど握り易いのです」
「・・・・・・」
いつしかメデューサさんは、カルのベットの中でまた寝息を立てていた。
起こすのもかわいそうだと思い、そのままの姿勢で寝ようとするカルだが、メデューサさんは、カルのあそこを握ったままだ。
メデューサさんの手は、たまに力を抜き、たまに力を加え、たまに上下にしごく。それを寝息を立てながら本当に無意識でやっているのか不思議でならなかった。絶対起きていると思うのだが寝息は本物に思えた。
結局カルは、朝まで寝付けず寝不足のまま起きるはめとなった。
さあ、次回はお約束の修羅場です。修羅場をやらないと眠れません!