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僕の盾は魔人でダンジョンで!  作者: 純粋どくだみ茶
《第1章》 僕は、おかざり領主になりました。
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27話.盾のダンジョン探訪

精霊ホワイトローズがダンジョンの最奥で何をやっているかが明らかになります。


カルは、夜遅くに寝室の壁に大盾を立て掛けた後、盾の正面に立ち盾に話しかけた。


「精霊ホワイトローズさん。僕の街に他の街の領主が大勢の兵隊を送ってくるそうです。兵隊の数は、僕達の街の倍以上と聞き及んでいます。このまま戦ったら多くの人が死ぬし多くの人がケガをします。戦った兵士の家族も不幸になる人が沢山でると思います。でも、僕はそれを避けたいんです。なんとかできないでしょうか、力を貸してください」


すると白いフリルのついたドレスを着飾った精霊ホワイトローズさんがカルの前に現れ、開口一番でこう言った。


「カルは甘いの。戦いというのは、誰かが死ぬものなの。それを誰も死なないようになんて無理なの甘すぎるの甘々なの。あまおう苺のパフェくらい甘いの」


”あまおう苺のパフェ”とは何。カルに理解不能なキーワードが出たが、そこはあえてスルーした。


「・・・でも、手がない訳ではないの。カルに見せたいものがあるの。一緒に来るの」


精霊ホワイトローズは、カルにそう告げると、右手を差し出した。カルは、一歩前に出ると精霊ホワイトローズの右手を軽く握った。


気が付くと、どこかの石畳みの回廊の中にいた。


「ここは、盾のダンジョンの中なの。カルに初めて見せるの」


カルの手をひいた精霊ホワイトローズは、盾のダンジョン1階層を歩いていく。回廊の両脇には、多数のスライムが並んでいるが、精霊ホワイトローズとカルには、全く攻撃をしてこない。


「不思議?カルは、盾のダンジョンの持ち主なの。だから魔獣達は攻撃しないの。でも、カルは強くなるために戦いたいというなら魔獣達も協力するの」


しばらく歩くと下層へ向かう階段が現れた。精霊ホワイトローズは、僕の手を引きながらその階段を下りていく。


「ここが2階層なの。ここは、素早いスライムが沢山いるの。素早いスライムに体当たりされると痛いの」


この階層でもスライム達は、回廊の両脇に並び僕達を攻撃もせずに見送ってくれた。


3階層は村の視察の時に精霊ホワイトローズさんが貸してくれた炎の魔法スライム。4階層は、氷の魔法スライム。5階層は、雷の魔法スライム。どの層階も回廊の両脇に100体以上のスライムが並んで僕達を見送ってくれた。


5階層から6階層へと向かう階段の隣に”EXIT”と大きな看板が掲げられた扉があった。


「あの扉からダンジョンの外に出られるの。ここが1階層から5階層のダンジョンの出口なの。でも私達は違うところに行くの」


そう言うと精霊ホワイトローズは、”EXIT”と掲げられたダンジョンの出口の扉の横の壁を押した。


すると小さな扉が現れ、僕達は、そ小さな扉をくぐった。


小さな扉の先には、草原が広がり夜空には星が瞬いている。


「すごい。ダンジョン内に草原があるんだ」


後ろを振り向くと、さっきくぐった小さな扉は、レンガ作りの壊れた壁に張り付いていた。


しばらく草原を歩くと小さな木造の家が建っていて精霊ホワイトローズさんは、その家の扉を開けて僕を家の中に迎え入れてくれる。


家の中は、テーブルも椅子もなく、いくつかの扉があるだけの殺風景な作りだった。


精霊ホワイトローズさんは、扉を開けると僕の手を引いてその中へと引き入れた。






扉の先には、巨木が生い茂る森が広がり、巨木の間には、斜めに置かれた硝子の丸い筒の様なベットに寝かされた妖精さんが遥か先まで並んでいた。


なぜ、硝子のベットに寝かされているのが妖精さんだと分かるのかって。それは、背中から半透明な羽が生えているのが見えるから。


妖精さんが寝ている硝子の丸いベットが並べられた森の中央の道を歩く。先へと進むと森の巨木はどこまでも高く、天にも届きそうな高さに見えた。


森の道を進むとそこには、ひときわ綺麗な妖精さんが硝子の丸いベットの中で寝ていて、さらにその両脇にも同じ様な硝子の丸いベットが並び妖精さんが寝ていた。


「この中央の妖精が、管理妖精、両脇の妖精がリソース妖精なの」


そして精霊ホワイトローズさんが振り向き、森の巨木の間のベットに寝かされている妖精さん達に向かって両手を差し出して言った。


「ここに眠る600体の妖精が計算妖精なの。計算妖精は、1妖精当たり128コアに匹敵するの。つまり76800コアなの」


「76800コアに対して、魔獣の遺伝子解析を行う計算プログラムを配布して一斉に解析プログラムを実行するの。それを1日中実行するの。魔獣の遺伝子解析はあっという間に終わるの」


えーと。僕には、何を言っているのかさっぱりです。


「魔獣の遺伝子解析が終わったら、遺伝子操作を行って最適な魔獣を作り出すの。そして遺伝子組み換え後のシュミレーションプログラムも計算妖精に投げるの。魔獣に必要な魔石の構造解析プログラムも、解析結果に基づいて作成した人工魔石のシュミレーションプログラムも投げるの」


「精霊界広しといえども76800コアを誇る精霊分散システムを構築しているのは、私だけなの」


「ここで解析した魔獣の遺伝子と魔石の構造解析を元に新しい魔獣と新しい人工魔石を作っているの」


「カル、こっちなの」


精霊ホワイトローズさんは、近くの巨木の根本にある小さな扉を開けると、その中へと僕を引き入れた。


扉をくぐるとそこは、薄暗い大きな部屋になっていて、壺や皿を焼く大きな窯の様なものが何十と並んでいた。でも、僕が見たことのある窯は赤土色だったりレンガ作りだったけど、ここの窯は剣と同じ金属でできてるみたい。


カルは、興味本位で窯らしきものに近づこうとした時、精霊ホワイトローズが警告を発した。


「足元の赤い線から先へ行ってはダメなの。その先に入ると強力な磁場で被爆するの。被爆したら即死なの」


カルは、一歩前へ出した足を元に戻した。


「ここで人工魔石を製造しているの。真空無重力状態の窯の中で魔石結晶を蒸着して大きく成長させているの」


「小さい人工魔石から魔人復活に使う巨大人工魔石まで量産できるの」


「カル。今度はこっちなの」


精霊ホワイトローズさんは、別の壁にある小さな扉を開けてカルを導いた。


その中は、柱のない白い大きな部屋となっていた。白い大きな部屋の先は遠すぎて良く見えない。


その遥か彼方まで広い部屋の一角に縦型の硝子の筒の中に多数のスライムが入れられていた。小さいものから大きなものまでさまざま。


カルは、硝子の筒がどれくらいあるのかざっくり数えてみた。縦に1、10、100、さらに横にも1、10、100。1万を超える硝子の筒が並んでいる。


「ここで魔獣を量産しているの。この魔獣達は、異世界にあるダンジョンを運営する精霊達に販売しているの。カルが捕まえた魔獣達は、ここで作られる魔獣の遺伝子の元になっているの」


「・・・・・・」


カルからは、言葉が出なかった。僕が捕まえた魔獣達が異世界に売られている?大丈夫なの?おかしな事にはならない?もう頭が変になりそう。


「カル。盾のダンジョンは、生産した魔獣の評価を行う場所なの。だからカルには、もっと強い魔獣を捕まえてきて欲しいの。今度、また注文書を出すの。カルには期待しているの。ここで蓄えた力で魔人を復活させるの。凄く楽しみなの」


「カルには、協力してもらっているから魔法スライムを貸し出すの。雷の魔法スライムを100体貸し出すの。魔法スライムが100体もあれば国のひとつくらい滅ぼすのは簡単なの。もし、カルが自ら世界征服をすると言ってくれれば、魔法スライムを1千体でも1万体でも用意するの。カル。カルが世界征服するって宣言するの・・・するの・・・するの・・・」






気が付いたら僕は、部屋のベットで寝ていた。窓の外は暗く夜空には雲ひとつなくて星はとても綺麗に輝いていた。


あれは夢だったのかな。


ふと、ベットの横を見るとスライムさんが寝ていた。


でも夢?の中で精霊ホワイトローズさんは、100体の魔法スライムを用意してくれるって言ってた。


けれど、僕は他の城塞都市と戦争をしたい訳じゃないんだ。ただ、城塞都市ラプラスとそこに住む領民と周辺の村々を守りたいだけなんだけど。


僕のことは、周りの人達にどう見えているんだろう。


僕は、子供だから頼られてはいないと思うけど、でも城塞都市の領主になった以上この街を守りたい。


でも戦争で多くの人が犠牲になって欲しくはない。どうすれば誰も死なずに戦争を終わらせることができるんだろう。


カルは、あまりにも重い責任と人々の命を守りたいという思いと、戦いを回避したいという思いで頭がいっぱいになっていた。いつしか頭から勢いよく湯気を出したカルは、深い眠りについていた。


カルは、魔法スライム100体を借り受けることができました。両都市とも準備は着々と進んでいます。


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